「NHKで「イナズマイレブン」パロディーはOK！？「つかさ」は「爆走兄弟レッツ＆ゴー」意識【森りょういち監督インタ2/5】」から
※ ※ ※
――この作品ってメッセージ性ってあるんですか？
森りょういち監督：実は滅茶苦茶あるんです！僕、そこはしっかり考えてました。ファンワークスのプロデューサーからは「これじゃダメです。NHKの企画通らないですよ」とは言われたんですけど、“継続は力なり”という裏テーマがあるんです。
つかさくんは主人公であるにもかかわらず勝てないんです。普通、主人公って絶対強いですよね。やられそうになってても、番組の最後で「ウォー！」って覚醒すれば、消耗した体力以上の力を出して、大体勝つんです。滅茶苦茶努力しているであろう強敵を倒しちゃうんですよね。王道パターンですよ。持ってる力みたいな。『焼きたてジャパン』だったら神の手ですし、『機動戦士ガンダム』だったらニュータイプですよ。そういうアニメはあっていいと思うんですけど、僕はずるいと思うんですよ。
今の子供たちはそれ見ちゃうと、「俺、別にそんな能力ないな」といつか気づくんです。そこで気づいたときに、「なんだ主人公になれないんだ」となって、何かに挑戦することとか、学ぶこと、生きることに、「いいや、俺、別に能力ないもん」って後ろ向きになっちゃうのは、何かもったいないと思うんです。
なので、それと真反対に主人公が弱くても、絶対的に主人公！なぜなら、彼は諦めないから。お父さんから受け継いだキングメンガー1枚しか持ってないですけど、ギガントが大好きでしょうがない。毎回負けているのに、一丁前に主人公が言うセリフしか言わないんです。「俺のギガントは負けても、俺の心は負けてねぇ！」「心のギガントでは勝ってる！」とか。周囲もギガント勝負には勝っているんですけど、「俺、気持ちで負けていた」とか、負けを認めちゃうとか、不思議な魅力をつかさは持っている。
つかさが格好いいと思えれば、失敗することが嫌じゃなくなるというか、「テストで高得点取れない俺でもいいじゃん。でも、諦めないぞ」と思えるような気になってもらえると思うんです。最近は1回失敗しただけでもだいぶ気落ちしちゃうような人が多い気がしていて、だから、つかさくらい抵抗力を持てば生きやすいと思いますし、格好いいし潔いい、なんて気持ちのいい男だと思えるんです。そういうメッセージが実はあります。
もしかしたら、最終回、つかさは勝つような感じになるかもしれませんし、負けるかもしれませんけど、それでもつかさはギガントを辞めないんですよ。なぜなら、好きだから。ですから、好きだから諦めないというメッセージを込めているんです。その諦めないことが、もっと格好いいことだよとか、良いことだよと思って貰えればと思うんです。
それとつかさはイケメンじゃないですよね。フケ顔というか。主人公＝爽やかなイケメンというのが最近でも横行しているので、爽やかでさらさらヘアーで小顔でヤサ男じゃないと主人公になれないのかと。それも否定したいなと思ったんです。みんな主人公になれる！なりたければ（笑）。
――イケメンというとエンディングにそれらしい絵のキャラクターたちが流れるという場面がありますが？
森監督：あれはつかさの思い描いてる自分なんですよ。子供のころってやっぱり自分最強って思うんですよね。アニメの主人公のようにヒーローごっこで遊んだりするんですよね。彼らの中では、ああいう風に見えているんです。
――ちなみに、あのエンディングのイケメン絵で話を作ったりはしないんですか？
森監督：それはユーザーの声が波のようにきたら、パソコンの前で製作を始めるかもしれないです（笑）。
――イメージという話になるとギガントバトルの瞬間もそうですよね？
森監督：実際、戦ってメンコがひっくり返る瞬間はリアル世界に戻るんですよね。バトルと言ってますけど、実際は数秒で終わるものなんです。すごく時間のかからないスポーツなんですけど、彼らの中ではビームが出ていると思うんです。僕、学生のころにあるカードバトルのホビーフェアでアルバイトをやってたんですよ。そうしたら、いろんな子供がいて面白いんです。主人公になり切ってて、自分の組んだデッキが最強だと思っていて、戦う前にポーズ決めちゃっている子がいたんです。むっちゃ可愛いなとか思っていたんですが、その子負けちゃったんですよ。でも、彼の中ではどこからかエフェクトの光が出ちゃってるんですよ。きっと子供の想像力ってそういうことなんです。何でも壮大なバトルになる。だから楽しいって。木の枝や傘でポンポンとやってもそうなる。純粋な子供ってそうだよねと思うんです。
いまのアニメの子供って結構、達観しているというか、世の中知っちゃっている風な気がするんですよ。そういう覚めている子供は、あんまりおもしろくないし、自分の子供はもっとバカでいてほしいなと。バカであっても、子供のころって誰も咎めないので。
※ ※ ※
メッセージ性へ熱弁をした森監督。次は面道つかさらへのキャスティングはどうだったのかを尋ねてみる……。
※「山口勝平に周囲が触発！「ギガントシューター つかさ」のアフレコ現場とは？【森りょういち監督インタ4/5】」へ
※関連記事
・アニメ「ギガントシューター つかさ」森りょういち監督を直撃！“メンコ”企画が通るまで【インタ1/5】
・NHKで「イナズマイレブン」パロディーはOK！？「つかさ」は「爆走兄弟レッツ＆ゴー」意識【森りょういち監督インタ2/5】
・山口勝平に周囲が触発！「ギガントシューター つかさ」のアフレコ現場とは？【森りょういち監督インタ4/5】
・「ギガントシューター つかさ」キリトの“M”は意味深！DVDはオシャレアイテム【森りょういち監督インタ5/5】
■作品詳細
○スタッフ
ストーリー原案・監督：森りょういち
シリーズ構成・脚本：細川徹
アニメーション制作：ファンワークス FOREST Hunting One
製作：ギガントプロジェクト
○キャスト
面道つかさ：山口勝平
小出ミル子：徳井青空
沼田マナブ：橘田いずみ
堂本あたる：愛美
桐谷.M.キリト：山口智大
■DVD詳細
○第1巻
収録分数：本編63分＋特典映像（Gigant Girls スペシャル・インタビュー、Gigant Girls ミルキィホームズ＆ブシロード7周年記念ライブin横浜アリーナLIVE映像 特別編集版、ノンテロップOP&ED、PR映像）
価格：1850（本体）+税
発売元：アスミック・エース
販売元：ポニーキャニオン
○第2巻
発売予定日：2014年9月17日
特典映像（予定）：特別番外編 『超爆裂異次元恋愛白書 メロメロシューターみるこミル子 第1話』
○第3巻
発売予定日：2014年11月28日
特典映像（予定）：特別番外編 『超爆裂異次元恋愛白書 メロメロシューターみるこミル子 第2話』
○第4巻
発売予定日：2015年1月21日
特典映像未定
○第5巻
発売予定日：2015年3月18日
特典映像（予定）：特別番外編 『超爆裂異次元恋愛白書 メロメロシューターみるこミル子 第3話』
