現在、NHK Eテレで絶賛放送中の全32話のアニメ『超爆裂異次元メンコバトル ギガントシューター つかさ』(毎週火曜・午後6時45分~)。ひとことで言ってしまえば、タイトルにある通り主人公の小学生・面道つかさが仲間たちと熱いメンコバトルを繰り広げる毎話約10分の物語だ。
しかし、このアニメ、今までの少年バトルものと何かが違う……。とにかく主人公のつかさがバトルに勝てない!本当に主人公か?と、首を傾げたくなるくらい勝てない!!そこに、子供が楽しめるようなギャグやエフェクト、30代、40代の大人も笑えるテイストが織り込まれ、どこかで観たような郷愁を感じさせるとともに、どこにも観たことのないオンリーワンの世界が展開されている。
本作を生み出した森りょういち監督とは一体どんな人物なのだろうか。待望のDVD第1巻が7月25日より発売されたということで、7月下旬、都内某所で森監督に本作を作った経緯や思い、キャスティング、物語の謎などさまざまなことを直撃した。
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――この作品ってどうやって生まれたんでしょうか?いきなりメンコというので企画は通ったんですか?
森監督:企画は映像制作やコンテンツプロデュースを手掛けているファンワークスの高山晃社長から「何か一緒にやりましょう」と言われていて、高山社長が「1分くらいのアニメをやるんで企画はある?」って、それくらいの軽いノリだったんです。1分だったら(森監督代表作の)『Peeping Life』とは違う見せ方で、無茶苦茶な作りでもポンポンポンくらいのテンポで見せられるかな、作るのも苦労しないかな、と軽いノリで考えていたんです。そこで、「企画ありますか?」と言われて、僕の中では学校が思い浮かんだんです。学校というと僕の中ではコロコロコミックなんです(笑)。少年がいて架空玩具があって、それを中心として回っている、何事もバトルなんです。世界を取り巻くおもちゃの組織があって、その世界を僕らなりのテイストで構築し直して、茶化すというか、面白がるというか、オマージュができないものかと思いまして。
そのときに、最も戦略性がない玩具ってなんだろうと思ったんです。ミニ四駆とかベイブレードとかは穴を開けてみるとか、重りをつけてみるとか戦略性や拡張性があって、そこが魅力だと思うんです。そこで全く拡張性がなくて、どうみたって何もないだろうという玩具はないかと思った時に、メンコだと(笑)。あの薄さには何も入れられないし、人工知能も、ベアリングも入れられそうにない!メンコなんだけども、番組の様相はコロコロコミックのテイストのホビーアニメという感じで、それだけで出落ちだなと思って、それで企画を出したんです。
それで1分間の企画になるのかと思ったんですけど、ちょうどNHKのEテレで企画募集のタイミングがあったらしくて。そうしたら高山社長から「メンコの話NHKさんに持って行っていいですか?」と言われて、尺の話も聞かずに「いいですよ」って言っちゃったんです。そうしたら「森さん、メンコの企画だいぶ評判良くて、もしかしたら決まりそうなんですよ!」と言われて、そこからトントン拍子に決まっちゃったんです。ものすごいスピードでした(苦笑)。
そのときに尺が10分くらいでと言われたんですが、『Peeping Life』は5分だったんですよ。5分のものをまとめて半年に1回DVDを出しているくらいの生産能力しかなかったんですけど、毎週10分くらいのアニメを作ることになって、「どうします?」と、言われて断ることできないじゃないですか(苦笑)。普通に仕事する人間からすると断るという選択肢はないですよね(笑)。だから、「やります!やれます!」って。
企画が通ったのは去年の11月でオンエアは今年の4月1日からと決まっていたので。話数もバンクもしておかないといけなくて、2月には4本ないといけないというので、かなり時間がないんです。11月からいきなりスタートしましたけど、そのとき手元にはA4のペラ3枚しかない(苦笑)。
――よくそこから巻き返されましたね(笑)
森監督:みんなで持てる力を元気玉のように集めました(笑)。あらゆる人にイマジネーションをフル活用してもらいました。普通だったら、監督のイマジネーションが下の方向に向かって浸透していくという感じなんですけど、全部をみんなで想像しました。たとえば、「ギガントってどう勝敗決まるんですか?」とか、「属性とかあるんですか?」とか、「ギガントってどんなデザインなんですか?」とか(笑)。脚本の細川徹さんも一緒になって考えてくれて、ホビーアニメっぽい、馬鹿げたものをやりたいんだと。
その中で、主人公の構成は決めていたんです。そこから、面白い意見募集みたいな感じで(笑)。絵コンテの方もフリーランスで2人の方に振ってやって頂いているんですけど、その方から、「つかさの家の資料ってあるんですか?」と言われて、本来、アニメ制作にあるべきものが何もなくて、「考えてもらっていいですよ、僕らは面白かったらOKなんで」とお願いしました。たとえば、Googleでつかさの家ってどんなんだろうと日本家屋で検索して、ちゃっちゃっちゃと「こんな感じじゃないですか?」って決まりました。そのときに「だいぶエクストリームな作り方ですね」と言われました(笑)。そんな感じで、生き物のように生まれていきました。いまは慣れてきて、みんな楽しんでいる感じです。
――ノリで作っている感じに見えるんですが(笑)
アドリブと言ってしまえばアレですけど、僕らはGroove感と言ってます(笑)。いわゆるセッションですかね。「おまえエーマイナーやってきたな、じゃあ俺こういうメロディーやるわ」みたいな(笑)。
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そんな疾走感と熱気ある製作現場を感じさせる本作なのだが、キャラクターには高橋・イナズマ・まもるや高橋・愛堂・センチといったアニメ『イナズマイレブン』や『カードファイトヴァンガード』で見たことがあるようなキャラクターが登場しており、これはEテレでやって大丈夫なのかとこちらが心配したくなるようなオマージュもチラホラ。恐る恐る、このデリケートっぽい話題を森監督に振ってみるのだが、帰ってきた答えは意外なもので……。
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■作品詳細
○スタッフ
ストーリー原案・監督:森りょういち
シリーズ構成・脚本:細川徹
アニメーション制作:ファンワークス FOREST Hunting One
製作:ギガントプロジェクト
○キャスト
面道つかさ:山口勝平
小出ミル子:徳井青空
沼田マナブ:橘田いずみ
堂本あたる:愛美
桐谷.M.キリト:山口智大
■DVD詳細
○第1巻
収録分数:本編63分+特典映像(Gigant Girls スペシャル・インタビュー、Gigant Girls ミルキィホームズ&ブシロード7周年記念ライブin横浜アリーナLIVE映像 特別編集版、ノンテロップOP&ED、PR映像)
価格:1850(本体)+税
発売元:アスミック・エース
販売元:ポニーキャニオン
○第2巻
発売予定日:2014年9月17日
特典映像(予定):特別番外編 『超爆裂異次元恋愛白書 メロメロシューターみるこミル子 第1話』
○第3巻
発売予定日:2014年11月28日
特典映像(予定):特別番外編 『超爆裂異次元恋愛白書 メロメロシューターみるこミル子 第2話』
○第4巻
発売予定日:2015年1月21日
特典映像未定
○第5巻
発売予定日:2015年3月18日
特典映像(予定):特別番外編 『超爆裂異次元恋愛白書 メロメロシューターみるこミル子 第3話』