プロフィギュアスケーター・荒川静香（32）が12日、都内で映画「ワン チャンス」（監督：デヴィッド・フランケル／配給：ギャガ）のプレミアイベントに、英歌手のポール・ボッツ（43）、藤澤ノリマサ（31）らとともに出席した。
作品は2007年に英国の国民的オーディション番組で初代チャンピオンに輝き、その後、歌手として大成功したポッツの波乱の半生を描いた物語で、まさに男性版シンデレラストーリー。
ポールがオーディション番組で披露した「トゥーランドット」の「誰も寝てはならぬ」は、荒川が2004年に優勝を飾ったフィギュアスケートの世界選手権と、2006年に金メダルを獲得したトリノ五輪で使用した曲という実は深いご縁。この日は、ポッツがその荒川の想い入れの深い曲をしっとりと歌い上げたが、荒川は「ポールさんのパワーのなかにまろやかさと優しさがあって、包み込まれるような想い」と感嘆しきり。フランケル監督に「スケートはしたくなりませんか？」とツッコまれて、「すっかり忘れていました」とようやくわれに返った様子だ。
作品について、ポッツは「ボクが主人公の映画というのが不思議。ふつう、映画は死んでからつくられるものなのに…」と茶目っ気たっぷり。「伝えたいメッセージは人生はいろいろあるが、周りの人のサポートを受けて、前に進み続けることが大切」としみじみとPR。それに荒川も「私はアスリートなので、成功よりも失敗することのほうが多いが、それでもずっと（フィギュアスケートを）続けて来られたのは、周りで変わらずサポートしてくれた家族や友人、応援してくださるみなさんがいたから。そのなかの1人、2人がいなくてもいまの私はない」と同調。
お題にちなんで自身の”ワンチャンス”については、「トリノと思われがちですが、実は2004年の世界選手権。当時、大学4年生で、卒業したら社会人になるつもりで、スケートは続ける予定ではなかった。なのに（世界選手権で）優勝したことで、競技することを2年延ばしてくれた。だから、私の人生のターニングポイント。その後、自分の思ってもみなかった方向に進むことになった」としみじみと振り返った。
プライベートでは昨年末に一般人男性と結婚。この日は、フィギュアスケートの質感をイメージしたというエメラルグリーンのドレス姿で登場し、左手薬指にも指輪をキラキラと輝かせていた荒川だが、さっそく報道陣に問われ、「一応、結婚したので、エンゲージリングです」とニッコリ。入籍後にソチ五輪などがあったため挙式はまだというが、「まだフィギュアスケートの世界選手権が残っていますしね。全体のバランスを考えながら、時間がとれるといい。内々でやるつもり」と語るにとどめた。「これまでに友人の結婚式などに出たことはありますが、自分の結婚式のイメージと重ね合わせて考えてことがないので、まだイメージが浮かばない」とすべてがこれからの様子だ。
世界選手権にトリノ五輪、そして結婚と、これまでに次々とチャンスをものにしてきた荒川だが、人生で次のチャンスが来たら？の問いには「チャンスはいつ訪れるかわからないので、常に最善を尽くして目の前のチャンスに全力で向かっていきたい」と決意を新たにしていた。
21日公開。
