『第5回オーディオブックアワード』授賞式が5日、都内で開かれ、大賞となる『オーディオブック・オブ・ザ・イヤー』は作家・百田尚樹氏(58)の『海賊とよばれた男』(講談社)に輝いた。
『オーディオブックアワード』は、2010年より開催されているもので、音楽を聴くように、いつでもどこでも読書が楽しめる、約10万人の会員を擁するオーディオブックポータルサイト『Febe(フィービー)』のユーザー投票で、2013年2月から14年1月という年間でもっとも支持された作品を表彰するという式典。過去、ゲストにアイドルグループ『AKB48』元メンバーの“なかやん”仲谷明香(22)も登壇するなど、盛り上がりを見せている。
百田氏といえば、『V6』の岡田准一主演で話題にもなった映画『永遠の0』の原作者としても知られ、著書『海賊とよばれた男』も累計販売部数200万部に迫る勢いを見せている作品だ。オーディオブック版の主人公・国岡鐵造は俳優・中村雅俊、ほか俳優・國村隼、声優・江原正士、川島得愛、佐久間レイ、玄田哲章、ニッポン放送の上柳昌彦アナウンサーらと、豪華布陣となっている。
まずは、中村からビデオメッセージが寄せられ、「原作は上下巻ありまして非常に長いです。時間がかかるなと思ったんですけど、あっという間に読み終わりました。この鐵造さんの魅力が光っていましたよね。この人だったら…、この人のために…、という気持ち、どんどんリーダーシップを発揮して、そういう会社を作ってしまうというものでした」と、作品への感想を寄せ、「トータルで20何時間になりました。それも今思うといい思い出になったなと思っています。受賞嬉しく思っています」と、約30時間に及ぶ重厚で熱いドラマが展開されたことを振り返りつつ、受賞の喜びを語った。
そして、おなじみの黒系のスーツ姿で講談社の関係者とともに登壇した百田氏。「出光興産の出光佐三さんの人生を描いたのですが、あまりにもすごくて、私はそれをトレースしただけのことで、私の栄誉にはなっていないと思います。中村雅俊さん、國村隼さん始め、演者のみなさまが素晴らしい。これに尽きると思います」と、謙虚に切り出す。
本作が縁で、先週までイランに国賓として行っていたそうで、「イランの日本大使館の人たちと話していたんですが、そのとき『読んでいただきました?』と聞いたら、『すみません。読んでいません。でも、オーディオブックで聴いています』と言われて。そのとき思わず本買えよって思わず言ってしまいました(笑)」とのエピソードもあったのだとか。
続けて、「私もオーディオブック聴いているんですが、聴くと夢中になります。でも、本より売れると困るなぁと(苦笑)。ありがとうございました」と、ユーモアあふれる語り口調で受賞の喜びを語っていた。
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■受賞作一覧
○優秀作品賞(文芸・ビジネスを問わず5作品)
・『統計学が最強の学問である』(著:西内啓)
・『世界の経営学者はいま何言を考えているのか』(著:入山章栄)
・『7つの習慣‐成功には原則があった!』(著:スティーブン・R・コヴィー)
・『雨と夢のあとに』(演劇集団キャラメルボックスの舞台をオーディオブック化)
・『桐島、部活やめるってよ』(著:朝井リョウ)
○企画賞(今年から創設された企画が面白いもの、理念が素晴らしいもの)
『文芸あねもねR』(企画・出演:井上喜久子、田中敦子ほか)
○ビジネス部門大賞
『スタンフォードの自分を変える教室』(著:ケリー・マクゴニガル/訳:神崎朗子)
○文芸部門大賞
『ロスジェネの逆襲』(著:池井戸潤)
○第5回オーディオブック・オブ・ザ・イヤー
『海賊とよばれた男』(著:百田尚樹)