
先月27日に急逝した国民的アニメ『サザエさん』の磯野波平役や『機動戦士ガンダム』のナレーターなど数々の声を当てた声優・永井一郎さん(享年82)の葬儀・告別式が3日、東京・青山葬儀所でしめやかに執り行われ400人が参列した。
永井さんとの別れを惜しみ、涙を拭う参列者らが多数見受けられる中、永井さんの棺が霊柩車に運び込まれると、最後に、喪主である妻・永井彩子さんに代わって弟の永井二郎さんがあいさつした。
■永井二郎さんからの御礼のごあいさつ(抜粋)
喪主に代わりまして、お礼のごあいさつをさせて頂きます。これだけの大勢のみなさまにご列席頂いてありがとうございました。故人も喜んでおると思います。
生前、みなさまから温かい温情、励まし、いろいろと頂きました。本当にありがとうございます。あらためて厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

あのような形で突然の別れとなりましたが、これも兄の運命だと思います。天から『一郎、長い間ご苦労さん。よう頑張った。あとは、後輩に託してゆっくり休みなさい』と、こう言っていただいたと思います。
兄夫婦には子供がおりません。ただ、自宅にしつらえた稽古場で、役者を志し、また声優を志し、多くの若者が練習をし、語らい、酒を飲み、とてもにぎやかな集いをよくしておりました。私もたまに行って加わると、兄貴が『おい二郎、これが俺の子どもたちなんだよ。これが俺の家族だ』と、嬉しそうな顔で語っておりました。
最後に1つだけお願いがございます。賑やかなことが好きだった兄ですので、最後に波平の口癖だった『バカモン!』で送らせていただければと思っております。御尊師様のお許しも頂戴しておりますので、みなさん、どうか声を張り上げてお願い致します。では、よろしくお願いします……。
そして、二郎さんが「せーの!」との声を合図に、参列者の声優・一般人の弔問客らが、「バカモン!」と、息を合わせて叫び、辺り一面にこだまする。そのまま場内に、ホルストの組曲『木星』が流れだし、霊柩車が動き出すと、参列者からは「バカモン!」「佐渡先生!」「永井さんありがとう!」など思い思いの言葉とともに、霊柩車に向かって手を振る姿が見られることとなった。
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