女優・大塚千弘(27)、俳優・馬場徹(25)、中河内雅貴(28)、吉原光夫(35)が31日、東京・新国立劇場 小劇場でミュージカル『ザ・ビューティフル・ゲーム』(演出:藤田俊太郎)公開リハーサルを前に囲み会見を開いた。
1970年代のアイルランド・ベルファストの街が舞台。サッカーに情熱を燃やす少年たちがカトリックとプロテスタントとの間のし烈な争いに巻き込まれ、それぞれの運命が変わっていく3年間がまざまざと描かれる。演出担当の藤田氏は演出家・蜷川幸雄氏(78)の元10年間演出助手を務めるなど、いわば秘蔵っことして知られるだけに、その開花となる記念碑的なものとものなる。
劇中衣装で現れた4人。初日を前に、馬場は、「激動の時代の中で、若者のそれぞれの生き方が出ている作品ですし、今回カップルも多いですし、それぞれの愛の形もよく表現されてると思います。藤田さんが初演出ということで、貢献してあげられたらなと思いますし、あとは見ていただいた方の感想なので、正直に観て頂ければ」と、熱を込めた。
演出の藤田氏については、楽屋にベルファストの写真が張るほど熱心に取り組んでいることなどを話しつつ、大塚は「すごい知識のある人。いろんな資料を読んで、インスピレーションを持って臨むことができてます」というと、馬場は「すごく芸術の感覚に富んでいる方で、僕らはそれを信じてやってきましたし、初演出ですけどそんなことは関係なく、1人の演出家にぶつかっていく感じでした」と、しみじみ。
一方の中河内は、「芯の強い人ですが、遠回しに言ってきます。ストレートに言えばいいのにと思って(笑)でも、役者のプランを信じたいと思っている方で、『とりあえずやってみよう』と言って、やってみてそこからいいものを抽出していく。あえて遠回しに言ってくれるのが卑怯な人かな。でも、素敵な演出ですよ」と、暴露。
そこで吉原が、「日本では馴染みがないリザルト演出をしている方で、結果を俳優に与えないようにしようとしてるんだと思います。『泣いてほしい』と言われると、その状態を演じてしまうという悪い状態を防ぐためにボキャブラリーとかを使ってたりして、いい意味でフレッシュな、商業演劇とは思えない稽古場の雰囲気があったりして、俳優たちも積み重ねてビルドアップした感じがあります」と、解説しその場にいない本人に変わって代弁していた。
さらに、役どころについては、主人公らしい主人公を演じてと言われ、まっすぐに演じているという馬場や、大塚は、「気持ちの動きとか、恋愛に対する動きとか、置かれている状況とかが、実際にあったこともありますし、資料とかを観て、時代背景を色濃くしてやっている感じもあります。それといまどきの女の子にならないようにというのも意識していますね」と、明かすことも。
本作ではキーマンとなる中河内もしっかりと資料などを読み込んでいるようで、「プロテスタントに対して、偏見ではないですけど、とても敵対心が強くて、そこをより濃く出さなきゃいけないんで、やっています。革命家ですけど、なんとかアイルランドという国を自分たちのものにしたいという気持ちで、進行していくんですけど、後半お楽しみに頂ければ」と、アピール。
さらに、今回、唯一大人という立場で役を演じる吉原に3人の様子を尋ねると、「バシッとみんな役にはまっていて、もがき苦しみ、せいいっぱいやっている姿をみて、それに歯がゆくなっている役ですが、本当は参加したいですね」と、目を細めていた。
そんな硬い目の話だけでもなく、稽古場の様子を尋ねた際には、昨年10月の製作会見(参照記事:http://japan-newslounge.com/archives/99454)で話していた、キス話が飛び出すことも。馬場が、「俳優をやっていて、こんなにも舞台でキスしたの初めてで、それってやっぱり恥ずかしいじゃないですか。僕もこれを遠慮しちゃダメだと思って」と、恋人役の大塚を見つつ、「大塚さん明日からキスしていいですかって言って。カミングアウトするのが一番恥ずかしかった」と照れると、大塚は真っ赤になりながら、「真面目だよね~」と返すことに。
中河内も「俳優って難しいよな。リハとかどのタイミングで言うかって」と、うなずく様子も。大塚は「カップルが3組いるという設定なので、3者3様の恋愛模様があって、すごくだいたんなカップルは早くから大胆にやってました。同年代でも違うんだなと思って」と話すと、中河内が「僕なんかシングルの役なんで、みんなブチュブチュやってるから羨ましくてしょうがない」と、言い出すことに。
しかし、当の馬場はこのことに苦労があるそうで、「大変だよ!毎日ブレスケアで」といい、吉原も「ハードな稽古で10分しか休みないのに、歯を磨いてご飯を食べてというのを5分刻みでやっているのを見て大変だなと思って」と、意外とキスもハードな様子を見せつつ、馬場は「ブレスケアのコマーシャルお待ちしてます」とおどけて笑いを誘った。
ほかにも曲の演出や舞台にも工夫が込められているなど趣向を凝らしている本作は2014年1月31日から2月11日まで新国立劇場 小劇場で全14公演!
■キャスト
ジョン・ケリー:馬場徹
メアリー・マガイヤ:大塚千弘
デル・コープランド:平方元基
ジンジャー・オショーネシー:藤岡正明
クリスティーン・ワーアナー:フランク莉奈
ダニエル・ギレン:小野田龍之介
ベルナデット:野田久美子
プロテスタント少女:谷口ゆうな
トーマス・マロイ:中河内雅貴
オドネル神父:吉原光夫