舞鶴市は引き揚げ事業開始70年目にあたる2015(平成27)年5月〜8月頃に予定されている「ユネスコ世界記憶遺産」登録決定に向け、シベリア抑留や引揚に関する史実の継承と平和の尊さを広く発信するとともに、「舞鶴の特色と魅力」を東京から全国に向けてアピールすることを目的に、「来てーな舞鶴2014キャンペーン」を、2014年度下期から本格的に展開する。舞鶴市が、東京での観光誘客キャンペーン(●参照記事:「艦これ」「引き上げのまち」だけじゃない舞鶴市の“味力”を東京タワーで!12月に「コッペかに汁」が!)をするのは初の試み。
会場には、『舞鶴引揚記念館』の山下美晴館長、舞鶴市観光商業課長の櫻井晃人氏、特別ゲストとして、舞鶴市全面協力の音楽劇『君よ 生きて』の脚色・演出を手がけた望月龍平氏が出席。東京タワーオリジナルキャラクターの「ノッポン兄」と東京初登場の舞鶴市公認かにPRキャラクターの「チョキまる」も応援に駆けつけた。
去る10月8日に都内で行われた「首都圏における観光プロモーション展開」に関する記者説明会で、多々見良三市長(63)は、「戦後70年近くが経ち、引き揚げの歴史も忘れられつつある。そこで、この史実を後世に語り継ぎ、平和の尊さを多くの人々に伝えていくため」に、「ユネスコ世界記憶遺産」登録決定に向けて、全力で取り組んでいくと意気込みを語った。
舞鶴市は、昨年から、『舞鶴引揚記念館』が所蔵する引き揚げやシベリア抑留に関する資料1万2000点の中から、とくに希少性、世界的な重要性、完全性、唯一性の高い570点を「舞鶴への生還 1945~1956 シベリア抑留等日本人の本国への引き揚げの記録」として、『ユネスコ世界記憶遺産』への登録申請活動を行い、今年6月に国内の登録候補に選定された。
それにともない、戦争を知らない世代にも「引き揚げ」をわかりやすく理解してもらい、平和・未來への願いを持ってもらうコンセプトから、資料を収蔵・展示する『舞鶴引揚記念館』の全面リニューアルを行う。2014年12月1日から休館し、2015(平成27)年10月リニューアルオープンする予定となっている。
改修中は、国の重要文化財にも指定されている赤れんがパーク3号棟「知恵蔵」(ちえぐら)2階で、「舞鶴引揚記念館 特別展示」を2014年12月1日から開催する。
また、12月6日(土)~14日(日)まで、東京タワーのフットタウン3階「タワーギャラリー3・3・3」において、「舞鶴引揚記念館 特別企画展示~平和のメッセージを舞鶴から世界へ~」と題した、特別展示会を行う。時間:10時~午後9時。入場:無料。
展示内容は、ユネスコ世界記憶遺産登録候補資料のうち、抑留体験画などを中心に展示。また、歌謡曲『岸壁の母』のモデルになった端野いせさんに関する資料等の展示も行う。
会期中の土曜日・日曜日(12月6日・7日、13日・14日の計4日間)には、シベリア抑留中に使用していた防寒着を実際に着用し、飯ごう・スプーンなどに触れることのできる「体験会」を実施する予定。
10月8日の記者説明会には、「京都・舞鶴港」を舞台に舞鶴市の全面協力を受けて、3月19日~3月24日まで、東京・新宿で全10回公演(●参照記事:劇団四季出身の望月龍平率いるカンパニー音楽劇「君よ生きて」開幕!シベリア抑留が題材)を行った音楽劇「君よ生きて」の望月龍平シアターカンパニー主宰で演出家にして、NPO法人OOBJ主宰の望月龍平氏も登壇。
同舞台は、現代の若者が、あることをキッカケに第二次世界大戦後のシベリア抑留の生活を体験することになる日本戦史の一端を描いたもの。
望月氏は、同舞台を「世界に残していかなければならない記憶を舞台。全国で70公演上演したい。舞鶴でも見せてあげたいなぁと思っています。舞鶴という土地を世界に知っていただききたい」と言うと、多々見良三市長も「“引き揚げのまち”舞鶴ですので、舞鶴でやっていただきたいと思っていますので、話を進めていきたい」と、開催に向けて動くことを約束した。
具体的な希望として望月氏は、「来年6月に東京公演からスタートさせ、7月以降で、北海道から沖縄まで全国を回りたい。地方のスタートは舞鶴ですね。スタートと楽日が舞鶴となったら最高です。学校の体育館などでの上演も考えています」と、戦争を知らない世代が観てもらえるような場所での公演も考えているという。
その特別展示が始まる同日6日(土)と7日(日)の2日間、東京タワー1階正面玄関前特設会場で「舞鶴を“見て・食べて・ふれあう”こと」をコンセプトとする観光物産イベント『まるごと舞鶴in東京タワー』を初開催する。
東京タワーの高さ333mにちなみ、両日とも先着333名様(合計666名様)に「舞鶴かにコッペかに汁」を無料で振る舞う。(両日とも12時~無料配布 ※当日の朝10:00から「コッペかに汁引換整理券」を配布)
さらに、舞鶴が発祥と言われている「肉じゃが」、出汁と具材にこだわった「舞鶴おでん」、地元で愛される焼肉とホルモンの専門店・八島丹山(やしまにやま)の「ホルモンうどん」、焼きちくわといった舞鶴の名物&ご当地グルメを味わえる。「舞鶴オリジナルレトルトカレー」の販売も行われる。
それ以外にも、「まいづるクイズラリー」の実施、フットタウン3階「マザー牧場カフェ」で、オリジナルスイーツを限定販売(予定)、東京初登場となる舞鶴かにPRキャラクター「チョキまる」も登場すると、親子で楽しめる物産フェアだ。
そして、舞鶴を形成するに至った明治時代からの旧海軍の歴史、舞鶴鎮守府の設置とともに建造された赤れんが倉庫や水道施設などの「近代化遺産」と「引き揚げ」にスポットをあて、その歴史と価値を一般の方々に訴求する機械として、市民参加型の公開講座「海の京都『舞鶴学』講座」を11月15日(土)に開催する。
◆会場:東洋大学白山キャンパス(8号館B1階 講義室)
◆日時:2014(平成26)年11月15(土)、午前10:00~午後4時45分
◆参加費:500円(一般) 先着80名
◆申込方法:参加される方全員の氏名、年齢、代表者の住所、電話番号を記載の上、合同会社まいづる広域観光公社へFAX(0773-77-5401)で申し込んでください。
◆講師
◇近代化遺産(舞鶴赤れんが建造物、旧海軍鎮守府)
古屋 剛氏(防衛省地方調整課長)
◇ユネスコ世界記憶遺産(シベリア抑留や引き揚げ)
黒沢文貴氏(舞鶴市世界記憶遺産有識者会議会長・東京女子大学教授)
◆問合せ:合同会社まいづる広域観光公社(TEL0773‐77‐5400)
詳細は公式Facebook「来てーな舞鶴」(http://www.facebook.com/MaizuruKankou)まで。