『株式会社リクルート住まいカンパニー』が企画・運営を行う住宅情報の総合情報メディア『SUUMO』が19日、都内で女性のための『“「自宅」で自分らしく働く”ワーキングスタイル&マネー術』トークショーを行った。
昨今、自宅の一部スペースで開業し、自身のやりたいことを好きな時にできる働き方が人気だという。参加した女性40人の内、1/3以上を占めるほど小さいお子さんを連れた若いママたちが興味を持ったトークショー。料理教室主宰、アロマセラピーサロン主宰、NPO法人代表をしている女性3人が現状を語った。
「自宅の一部を使った副業」といえば、ピアノやそろばん、習字、華道、茶道、英語教室などが思い浮かぶ。昨今では、ジュエリーデザイナーやネイリスト、アロマテラピストなど、自宅の小スペースを使い、1人でもできる職業が増えたこと。さらに、「友人や同じ趣味を持つ人、地域の方とつながりたい」や「自己表現したい」との欲求から「空き家」「空き部屋」を有効活用し、「自宅をオープン化」する“家を開く”動きが現れているという。
2014年春には、消費税が5%から8%に増税されることが発表され、物価上々、便乗値上げが懸念される中、老後に対する不安もあって、副業に興味がある人は69.2%。稼ぎたい額は3~10万円/月 78.5%(※『ケイコとマナブ』既婚女性334人に聞いた調査結果よる)にも上っていることが判明。しかし、実際の副業率となると、20代が8.1%、30代が11.6%、40代が11.7%と、低い。
会場に入って驚いたのは、参加した女性40人の内、1/3以上を占めるほど小さいお子さんを連れた若いママたちだということ。家の一部で「起業」するとなったら、金銭的にも余裕のある定年退職を迎えたセカンドライフ層が中心だと思っていた。
1人目のトークショー登壇者は、料理教室を主宰している青野晃子さん。未婚で、1LDKの賃貸マンションに居住。開き歴9ヶ月で、“開いている”スペースは1ルーム30㎡8畳+キッチン。青野さんは、「生活臭を出さないために拾い収納スペースがあり、セキュリティーがシッカリしているところ。このタイプとしては、珍しくガスコンロが三口ついているんです」と、部屋探しの時から、“家を開く”ことを前提にしていたという。
平日は派遣社員で土日の週末に隔週で教室を開いているそうで、試作品を作ったり、食べ歩きしたり、HPの更新やチラシ作製・配布と、純粋なプライベートの時間はないほど大変だが、気になる収入は、家賃が賄える程度でトントンという。さらに、2つの料理学校に通っていたので、その支払った月謝を考えると赤字。それでも、「5年後には一本でやりたい」という構想を持っている。
2人目のトークショー登壇者は、プライベートサロンを主宰している森本友紀さん。既婚者で、2LDKの賃貸マンションには、当然、ご主人も一緒に生活している。開き歴3年で、“開いている”スペースは23㎡(30%=20畳)。ご主人が理解あり方のようで、森本さんは、「遅くまでお客さんがいると、『俺、ジムに行っているよ』と、言ってくれる」そうで、ご主人・家族の理解がないとなかなかできないことだ。
1人のお客さんで3時間~3時間半を費やすのだから、1日1人が精いっぱい。森本さんは、サロンの他に、週3回の訪問アロマケア(都内福祉施設)。週2回の南青山にあるアロマテラピースクールにて講師(業務委託)をこなしながら、夜7時より施術(サロンワーク)をする。収入は、37万5000円(内訳:サロン 15万円、講師13万5000円。訪問ケア9万円)だが、支出は仕入れ代や通信費などで9万5300円かかっている。
3人目のトークショー登壇者は、オープンガーデンで園芸療法をしたり、社会福祉や地域福祉に取り組むNPO法人の代表を務めている海野真幸さん。既婚者で中学1年生と小学校5年生の子供が2人いる。開き歴4年で、“開いている”スペースは40㎡(40%)。実家の一軒家(持ち家)を使っている。
午前6時に起床し、家族のお弁当を作り、家事をこなしてから、午前10時~午後3時までオープンガーデン。土曜日は休日にしているそうだが、日曜日には、社会福祉や地域福祉のNPO法人の用事が入ってくる。収入は17万5000円だが、支出は、人件費などを含めて10万1400円と、決して大幅な利益にはなっていない。それでも「一生現役でありたい。5~10年先をイメージしている」と、前向きだ。
「家を開き、起業した」現状は決して楽なものではないが、何にも代えがたい“仕事へのやりがいと充実感”から、3人とも目を輝かせ、生き生きとしていた。
月刊誌『ケイコとマナブ』で「副業・週末開業」の特集をしたり、住宅情報の総合情報メディア『SUUMO』(http://suumo.jp/)のサイト内に、「家を開く」特集ページがある。