元プロ野球選手で、野球評論家の野村克也氏(78)が14日、東京・神宮球場で行われたプロ野球「ヤクルト×中日」(17回戦)の試合前に始球式に登場した。
映画『ローン・レンジャー』公開記念にちなみ、“キモサベ(劇中で「最高の相棒」といった意味)ナイター”と銘打たれたこの試合。野村氏は、アーミー・ハマー演じる正義のヒーロー“ローン・レンジャー”のマスクとカーボーイハットに衣装を着て登場。
変装しているため、球場に駆け付けたお客さんたちは、当初、誰だかわからなかったが、MCが「野村克也さんが駆け付けてくれました」というと、1990年~98年までヤクルトの監督を務め、9年間で4度のリーグ優勝、3度の日本一に輝いた名将がキャッチャーボックスに立ち、当時の教え子で中心選手として活躍した現ヤクルトスワローズの池山隆寛(47)一軍打撃コーチが左打席に入る“粋”な演出で、球場は大歓声に包まれた。
始球式は、ピッチャーはジョニー・デップ演じる悪霊ハンター“トント”にコスプレした元高校球児というピッチャーが務めたが、ボールが大きくそれたため捕球はできなかった。そのままグランドであいさつした野村氏は、「大勢のみなさん、あんまり多くないか、ありがとうございます」と、切り出し球場の笑いを誘うと、中日ベンチに向かって、「中日の皆さん、ありがとうございます。中日のユニホームは着たことがありませんが、またぜひ呼んで下さい。谷繁、呼んでくれるか? ありがとう、嘘でもうれしいよ」と、今年で退任の噂もある高木守道監督の後釜を狙うかのような発言に、球場中が拍手と歓声に包まれた。
最後に、「何、言うんだっけ?ヤクルトファンとともに、ローン・レンジャーともども、ご支援ご声援よろしくお願いします。非常にいい映画ですから観に来てください。僕は観ておりませんけど」と、最後まで野村節全開で、盛り上げた。
野村氏が始球式に登場するのは09年9月のクリネックススタジアム宮城(略称:Kスタ宮城)以来の約4年ぶり。ヤクルトの監督退任後、久しぶりに神宮球場のグラウンドに立った感想を聞かれると、「懐かしい。(ヤクルトの監督を務めた)9年間は最高でした」と、感慨深げ。
ローン・レンジャーのコスプレをして、キャッチャーボックスに立った感想は、「違和感だらけですよ。いい顔をマスクで隠すのが気に入らない」と、笑みを浮かべながら語った。
また、「150キロは出る」と脅されたというピッチャーの始球式が暴投となり、名キャッチングが見られなかったが、「(ピッチャーは)緊張していたんじゃない?緊張するとボールが抜けちゃうんだよ」と、解説していた。
野村氏は、自身にとってのキモサベは?と問われると、「そりゃ、サッチーだよ」と、夫人の名を挙げてご満悦。
少年時代の忌まわしい事件のせいで、復讐に燃える悪霊ハンターのトント(ジョニー・デップ)。彼は自らの悲願のため、聖なる力によって瀕死の男ジョンを甦らせる。ジョン(アーミー・ハマー)は法に基づく正義の執行を求め、復讐のために手段を択ばないトントと対立。だが、愛するものを奪われた時、彼は不思議な力を持つ白馬シルバーを従え、マスクをつけた謎のヒーロー“ローン・レジャー”として、トントとともに巨悪に立ち向かう。最後に世界を救うのは正義か?復讐か?
同作は、全国で絶賛公開中。