ハリウッド女優・菊地凛子(32)と芦田愛菜(9)が28日都内で行われた映画『パシフィック・リム』(監督・ギレルモ・デル・トロ/配給:ワーナーブラザース映画)の来日記者会見にトロ監督と共に登場。
海底から出現した凶暴なKAIJUたちにより、世界の3大都市が壊滅。人類存亡の危機に環太平洋沿岸パシフィック・リム諸国は5体の人類巨大兵器「イェーガー」を開発。乗り込むパイロット2人が、心を完全にシンクロさせた時、人間とマシンがひとつになる。人類存亡の戦いを描いたSFスペクタクル大作。
64年メキシコ生まれの監督は、故円谷英二さんによる『ウルトラマン』『ウルトラセブン』などの日本の特撮映画を始め、『鉄腕アトム』、『鉄人28号』、『マジンガーZ』、などのロボットアニメを観て育った世代だそうで、「日本文化・アニメに対するラブレター」という。
ハリウッドデビューとなった愛菜ちゃんは、「Hello!My name is Mana Ashida。Please enjoy that film“Pacific Rim”。(皆さんこんにちは。芦田愛菜です。映画『パシフィック・リム』を楽しんでください)」と流ちょうな英語で自己紹介。隣の菊地は、満面の笑みでサムズアップのグッドなサイン。監督からも驚きの笑みが漏れた。
イェーガーに乗り込む女性パイロット役の菊地は、「今までのキャリアの中で、SF映画でロボットが出てきたり、怪獣が出てきたりする映画にパイロットとして参加するとは考えていなかった。親しみある怪獣・ロボットものに出れたことは夢のようです。この映画を観ると出演していたことを忘れて、子供の様に観てしまう。
初のハリウッドでの撮影となった愛菜ちゃんは、「楽屋が一人一台のキャンピングカー。ベッドもあって楽しかった。『よ―い。スタート』じゃなくて『アクション』といわれるのでビックリして緊張しましたが、『アクション』という言い方がカッコいいです」と言うと、監督が「アクション」と、大きな声で言うと、愛菜ちゃんは笑顔。
トロ監督とは以前、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『バベル』に8年前に参加した際、2人が仲が良いことから撮影時に顔を合わせ、「作品に出たい」と、菊地が直接トロ監督に伝えていたそうだが、「8年後、夢がかなった。監督は自分のことを『トトロ、トトロ』というユニークな監督で、愛情ある監督。撮影中もスーツも重く、シーンも大変で、集中力失ったときに、トトロの歌を日本語で歌ってくれた。日本のカルチャー知っている優しい監督」と、語る。
2人を起用した理由について監督は、「凛子は、脆さも持っているし芯の強さを両方兼ね合わせている。今回の森マコは、凛子を想定して書いた。強くて女らしい女性。男性の強さは肉体的だが、女性の強さは精神的な強さ。それをよく出せる女優さん」と、菊地を想定したキャラ設定だったと明かした。
愛菜ちゃんは、「監督は優しい。『トトロっと呼んでね。トトロみたいでしょ』と、行って面白い。演技すると、『アメージング』『パーフェクト』といって頭撫でて、褒めてくれたことがうれしかった」と語ると、監督は、「プロ意識を持っている天才です。何日も泣かせてしまって申し訳ない。(自分自身を)ひどい男だと思っている。どんな年齢の俳優と比べても偉大な女優さんで、本当は50歳なんじゃないかというぐらい、賢く、準備が整っているんです。ぼくは7才ぐらいの精神年齢です」と、茶目っ気たっぷりに語った。
菊地の幼少期を演じた愛菜ちゃんとは、直接共演のシーンはなかったが、「ドラマ観ていて、豊かな表情する女優さんだなと知っていました。私の子役時代をやってくれると知ったときには、(合わな過ぎて)苦情が来るかと心配していました。可愛い子がやってくれて光栄でした。心配な感じを装って撮影現場に行き、CDにサインもらって帰ってきました」と、笑わせた。
愛菜ちゃんは、「お休みの時に来てくれてうれしかった。背の高い外国の方と堂々と英語で話しているのがカッコよかった。いっしょにお風呂には入りました」と、こちらも可愛らしいエピソードを。
日本の文化はユニークで独創的だという監督は、「怪獣やメカ、テクノロジーに対して愛情がある、心を持っている。それは世界の中で日本だけの特徴です。欧米は、偏見があり、人間に復讐するもの、襲うものという捉え方をしている。この映画は、アイロニー(皮肉)の部分ありません。ポストモダンなユーモアもない、愛情、祝福、信念がある。ゴジラの生みの親の本多猪四郎さんが、最初に作品を作るときに全員を台所に集めて、『この怪獣を信じない人はこの企画を降りてくれ』と言った。私もその気持ちで共有しています」と、リスペクト。
日本の怪獣映画・特撮映画が大好きな監督は、日本の行きたい場所について聞かれると、「中野ブロードウェイ。空のスーツケースを持ってきています。ジブリミュージアムには毎回行ってます」と予想通りの回答に会場からも笑いが起こる。菊地は、「カラオケもいいですね。監督の方がご存じなので、中野ブロードウェイをいっしょにいって、何買うか見ている方が楽しい」というと、愛菜は、「あんみつがお好きと聞いたので、一緒にあんみつ食べていきたい」と可愛らしく応えた。
この映画のメッセージについて監督は、「2人のパイロットが1つのマシンに乗って心がシンクロして人類を救う戦争に立ち向かう映画です。それと同じで、人類は地球という同じロボットに乗っている。同じ心を持っていないと動かない。人間同士愛情を持ってお互いを信頼しあうことで生き残っていけると、メッセージはいたってシンプル」と、明かした。
その後、場所を東京・江東区「ららぽーと豊洲」に移して、レッドカーペットが行われ、ドレスアップした菊地凛子、芦田愛菜と、トロ監督、KAIJUのナイフヘッドが登場。KAIJUが海の底から当時要するときの水しぶきをイメージし、大噴水が上がった。
同映画は、8月9日より新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほかにて、3D/2D、字幕/吹き替え全国同時公開予定