歌舞伎俳優の市川海老蔵（35）が29日、都内で歌舞伎座新開場柿葺落『九月花形歌舞伎』の製作発表を行った。出席者は市川染五郎（40）、尾上松緑（38）、尾上菊之助（35）、片岡愛之助（41）、中村勘九郎（31）、中村七之助（30）、作家の夢枕獏（62）。
この春改装工事を終え、リニューアルされた歌舞伎座で9月から行われる『九月花形歌舞伎』。若手役者が集結し昼の部では古典の大作『新薄雪物語（しんうすゆきものがたり）』と『吉原雀』に、夜の部では夢枕原作の新作歌舞伎『陰陽師』に挑む。
左耳に推定1カラット以上の大粒のダイヤモンドピアスをつけてワイルドに登壇した海老蔵。坊主頭に特大のダイヤピアスという元巨人の清原和博の現役時代をほうふつとさせるアトモスフィアを放った。『陰陽師』では平将門役を務める海老蔵は「我が家ともゆかりのあるお役を頂戴いたしました。おのおの一所懸命力を合わせて精進できたら素敵な時が来ると思います」と力強くあいさつした。
続いて行われた質疑応答では開幕に「フジテレビの『ノンストップ！』です。海老蔵さんは寝具にこだわりがあると…」と珍質問。さすがに「えっ？！」と困惑する海老蔵。「寝具、ベッドです。舞台に影響などありますか？」と改めて聞かれると、苦笑しながら「睡眠も仕事だと思ってます。25日間舞台を勤めるということは体力勝負ですから、寝ることも仕事のひとつということでみんな一所懸命寝てます」と大人の回答だった。
実はこの質問、海老蔵をラジオでゲストに招いた放送作家の鈴木おさむが「六畳ほどの広さの布団で9000ボルトの電流が流れている」とブログに書いたことがきっかけ。別の人からも「健康に影響はないんですか？」と“海老蔵伝説”について聞かれると「一所懸命眠らさせていただいています。影響はないです」と苦笑しきりだった。
また、『陰陽師』では安倍晴明を演じる染五郎は役どころに「安倍晴明は謎の多い人物。策略、知略的な印象を与えてはいけない。存在がない存在感というか、どれだけ謎の怪しい存在でたたずむことができるか」と話し「多少プレッシャーや緊張が高まってきていますけど、僕は歌舞伎で上演するのが一番ベストな形であると思います」と意気込みを語った。
若い世代の才能が集結した大舞台に、夢枕は「観客として入り浸りたいぐらいに思ってます。僕が一番楽しい観客なんじゃないかな。楽しみにしてます！」と大いに期待を寄せた。海老蔵は「単純にすごく楽しみ。一緒の舞台に一緒で出るというのはなかなかなかった。僕もお客さんとして観たいな。こういうメンバーで毎年1回やって刺激し合って歌舞伎の未来を作っていきたい」と舞台の成功を誓った。
『九月花形歌舞伎』は9月1日から25日まで歌舞伎座で上演される。
