俳優・三浦貴大（27）が27日、都内で行われた映画『桜並木の満開の下に』（監督：舩橋淳／配給：東京テアトル、オフィス北野）のトークショーに出席した。
三浦は、4月より舞台に出演しているため欠席した初日舞台あいさつで、臼田から、映画『東京プレイボーイクラブ』で共演しているのに、「そっけなかった」と言われた。これに対して、監督からの指示だったと、事情を説明し、「事情説明していなかったから、申し訳なかった。いまとなってはわかってもらっていると思う」と、返答した。
震災後の茨城・日立市を舞台に、突然の工場内での事故で最愛の夫を失い失意の底にいたヒロイン・佐生栞（臼田あさ美）が、その悲しみを乗り越えようと葛藤しながら進んでいくラブストーリー。
三浦は、夫を亡くす事故の発端となった新人工員の森工（もりたくみ）役を演じた。当初は、奥さんの佐生栞に謝罪してもなかなか受け入れてもらえない。しかし、そのうち、2人の間に恋愛感情が芽生えてくるという設定に、最初は、「感情の理解がなかなかできかった」と、閉口した。
「日常ではありえない設定」（三浦）に、役作りも徹底したという。一番重要視したのは、「工（たくみ）の感情の理解」だという。三浦は、役作りというよりも、「いつも自分の演る役柄の感情を理解する」というアプローチの仕方をしている。
それでも、「いろいろ考えましたね。工を演じる部分で迷った部分、わからないまま演じていた部分あった。どうしていいのか最後までわからなかった。物語を順番に追って撮っていったのは助かった。最後のシーンからだったら駄目だったかも」と、いうほど難しかったという。
監督から、「なるべく追い込まれてくれ」との指示があり、監督とともに、「精神的に追い詰めていって、孤立しているのを芝居する。生でそういうのを出せるようにしていこう」と、話しあった。
工がヒロインに手紙を渡すシーンがある。手紙の文面が写らないにもかかわらず、手紙の内容自体を自分で書き、監督にチェックしてもらったという。写ってないところでも、いろいろ細部にこだわり、「ただ感情を理解するより、文字や言葉にしてやってみるという新しい試みは、役に立った」と、新しいアプローチを見つけたようだ。
さらに監督から、「他のキャストとも仲良くしないように。孤立感を演じてください」とも言われ、撮影当初は、他のキャストからは距離を置き、一人でいるように心がけていたという。そんなこととは知らなかった臼田からは、映画『東京プレイボーイクラブ』で共演しているのに、「そっけなくて」と、言われたほどで、「事情説明していなかったから、申し訳なかった。いまとなってはわかってもらっていると思う」と、返答した。
そんな三浦の心を癒したのが、地元の人たちの食事と会話だった。1年前の4月に茨城・日立市で撮影されたが、寒かったそうで、「撮影現場は、いわゆる“ロケ弁”といわれるお弁当なので、食べるときには冷めているんです。でも、今回は、地元の人が昼食作ってくれて、出来たてのあったかいものを出してきてくれた。唯一の楽しみが食事だったから助かった」と、頬を緩ませた。
また、地元の人間の役なので、地元の人と話をしたり、家庭で作られているものをいただいたりしたことで、「工っていう人間は、ここに住んでするんだなと実感できた」と、役作りの上でも役立ったという。
臼田の印象について、「作品に対しても、役に対しても真しに向き合っている方。一緒に競演させてもらって勉強になりました。こういう風に役に向かっていけたらいいなぁ。監督と議論したり、戦ってらっしゃるなぁ」と、リスペクト。
最後に、「人間の心の葛藤とか、生きていて、あるシチュエーションでは、常識じゃ考えられない感情が湧くのが、自然に表れているので、『人間の心ってわかんねえーな』というところを感じていただけたら」と、アピールした。
公式サイト http://www.office-kitano.co.jp/sakura/
同映画は、テアトル新宿ほかにて全国順次公開中
