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東ちづる 災害ラジオ映画を称賛「追い詰められても人間は明るい」

東ちづる 災害ラジオ映画を称賛「追い詰められても人間は明るい」
『ガレキとラジオ』を語る東

 タレントの東ちづる(52)が11日、都内・秋葉原のアキバシアターで行われた映画『ガレキとラジオ』(監督:梅村太郎、塚原一成/配給:アルゴ・ピクチャーズ)スペシャルトークショーに梅村監督(43)とともに出席した。

 2011年3月11日の東日本大震災後、南三陸町の災害FMとしてスタートしたラジオ局『FMみなさん』スタッフの活動に約1年間密着したリアルストーリー。元サラリーマンでリーダーの工藤さん、元ダンプ運転手の和泉さんら男女9人がラジオの経験なしでマイクに向かい、奇跡を生む。スペシャルサポーターとして俳優・役所広司(57)がナレーションを担当し、主題歌は仙台在住の『MONKEY MAJIK』が「トビラ」を歌っている。

 まず、梅村監督が同作を観て、「試写でアラが気になってしょうがなかった。実は劇場版をちょっと変えてるんですね。役所さんに電話して来てもらって、言葉も変えてもらいました」と、わざわざナレーションを録り直したことを告白。これに東は「役所さんいい方ですね~!」と感心していたが、梅村監督は「物凄い怒られました」と、ベテラン俳優からお叱りを受けたよう。これには東も「そりゃ一回生み出したものをまた変えるんだからね」と、うなずいていた。

 石巻や仙台、福島など被災地を訪れ、継続的な復興支援を続けている東は、自身のラジオのレギュラー番組『Dream Heart』(TOKYO FM)の収録を仙台で行ったことを振り返り、「そのときに災害ラジオをされている人たちに来ていただいた。『最近泣いたことはなんですか?』って聞いたら、最後の方が『映画を観て泣きました』って。その作品が『ガレキとラジオ』で、監督誰なんだろう?と思ったら博報堂の方で」と、博報堂でクリエイティブディレクターを務める梅村監督との出会いを語った。
東ちづる 災害ラジオ映画を称賛「追い詰められても人間は明るい」

 同作について、東は「ジャンルが違うというか、映画として面白い。そして、考えさせられる。ニュースや新聞では伝わってこない現実の絶望や悲しみ、怒り、そして希望も見える」と、称賛。神戸出身の梅村監督は、95年1月17日の阪神大震災で被災しており、「実家が潰れて、当時学生で何もできないのが悔しかった。その後、博報堂に入社して、神戸を応援する企画を会社に出してみたけど、『10年早い』と言われて」と、苦い経験もあったが、東日本大震災後に博報堂で復興支援プロジェクトが立ち上がり、リーダーに。

 そして、「道路がつながった日にプランを持って東北に入りました。人間の心がどう再生していくのか記録に撮りたいと思って、リーダーの工藤さんや和泉さんを追いかけました」と、同作を作るきっかけを明かした。

 リーダーの工藤さんが失踪し、「あのときは僕も失踪しようかなと思いました」と、苦々しい表情を浮かべた梅村監督は、「最初はまったく(カメラを)回せなかったですね。図々しくレンズを向けるなんて」と、苦労したことを吐露。だが、「南三陸町の方って明るいんです。『うちらは全員流されてみんな失ってるので、開き直って前を向くしかない』って。避難所ってみんな一緒に暮らしていて、どこか修学旅行に近い感じでしたね」と、心情的に救われたエピソードを話すと、東も「神戸のときも報道で行ったんですけど、障害者施設に行ったりすると、実は人間って明るいんです。人間の底力は追い詰められたとき発揮しますよね」と、同調していた。

東ちづる 災害ラジオ映画を称賛「追い詰められても人間は明るい」
「伝えるより伝えたい気持ち」

 さらに梅村監督が「伝えるということと、伝わるということは違うなと思いました。伝えるというより、伝えたいという気持ちですよね。キャンピングカーを借りて、ほぼカメラマンは常駐で10ヶ月回しました。そしたら、FMスタッフがご飯とか持ってきてくれるんですよ」と、現地の人と打ち解けたことを語ると、東も「そこまでしないとカメラ回してくれないですよね。大変なんですよね、ドキュメントって。やっぱりカメラ向けると構えちゃうから」と、うなずく。

 ここで東は、震災で家族が流された元白血病患者の女性の友人との電話のやりとりを回想。「お父さんの遺体が見つかったけど、被曝しているかもしれないから、自衛隊や役所の人が処理するので、会えないと。私が『泣いた?』って聞いたら、『泣けないよちづるさん。避難所には自分だけが生き残った人がたくさんいるのに。泣けないよ!』って怒り始めたんです。電話を切って5分後に電話をすると、避難所の裏で怒りをぶちまけるようにしてうわーって泣いたんですよ。その後に『泣けてよかった。絶望するって大切だね』ってメールがきたんです」と話したところで、東も感極まり、目が潤んでいた。

 また、東は障害のある人や生きづらさを抱えた人の創作活動や表現活動の支援などを目的とした一般社団法人『Get in touch』で理事を務めており、4月2日に東京タワーでイベントを開催することを告知。当日は国連が定めた世界自閉症啓発デーであり、東京タワーなど世界中の建物がブルーに染まるとのこと。

 イベントは午後6時15分より東京タワーブルー点灯式が行われ、午後6時30分よりキャンドルリレーを開催。『ゴダイゴ』のミッキー吉野や元『THE BLUE HEARTS』の梶原徹也らが所属するバリアフリーロックバンド『サルサガムテープ』のライブもあり、現在豪華ゲストと出演交渉中という。

 『ガレキとラジオ』は4月13日よりヒューマントラストシネマ渋谷にて公開。

 

 

東ちづる 災害ラジオ映画を称賛「追い詰められても人間は明るい」
東ちづる
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梅村太郎監督
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