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永瀬正敏 震災の復興状況を「もっとちゃんと知ってほしい」

永瀬正敏 震災の復興状況を「もっとちゃんと知ってほしい」
公開記念トークショーが開催された

 俳優・永瀬正敏(46)が2日、都内で開かれたドキュメンタリー作品『3.11後を生きる』(監督:中田秀夫/配給:エネサイ)公開記念トークショーに中田監督(51)、作中のインタビューに出演している岩手・山田町の三陸タラ漁師の五十嵐康裕さんとともに登場した。

 『リング』や『仄暗い水の底から』などでジャパニーズ・ホラーの代表的監督として知られる中田監督による作品。津波の恐怖体験を自らうけ、さらに最愛の家族を突然亡くし、深い悲しみの中で苦しみに耐えながら懸命に生きる人々の姿に密着したドキュメンタリーとなっている。

 永瀬から、「監督はなぜこの作品を撮ろうと思ったのですか?」と質問を投げかけると、「最初はテレビ局から震災のドキュメンタリーを撮ってくれというより、外国に向けて発信できる企画をということを、震災から2ヶ月の5月に頼まれたんです。でも、やはり、震災そのものを描くべきだろうと思って、自分で下調べしまして、岩手を中心に取材したんです。それでテレビ局の人に言ったのですが方針が違うということで、自主制作にしたんです」と、経緯とともに説明。

 永瀬は五十嵐さんをモデルにした中田監督の12分ほどの短編映画『四苦八苦』(公開未定)を主演したことから駆けつけることとなった。2011年末に作成されたというが、そのときの心情として永瀬は、「果たして映画を作っていいのかなと。震災からわりかし時間が経ってないですし、映画を撮りに行くこと自体どうかなと思った。監督と五十嵐さん含め現地の人とコミュニケーションがとれていて、作品を観させていただいて、やらせていただこうかなと思いました」と、率直な思いを。

永瀬正敏 震災の復興状況を「もっとちゃんと知ってほしい」

 続けて、出演を決める前後のことについて、「僕も何かしなきゃいけないなとは思っていたんです。何かしたい、何かしなきゃいけないんだけど、何していいかも分からないし、しないことがダメな奴なんじゃないか、行動しないことが…。あるとき、大槌町の被災された青年からメールをもらって、普段はお返事を返さないんですけど、そのときは出して、そしたら逆に『映画をやってください。映画館も流されてしまいましたけど、僕達が頑張って作るんで、そこに作品を持ってきてください。僕達を楽しませてください』って」と、その言葉が出演に向けて永瀬の背中を押したそうだ。

撮影で現地には予定より1日早く入った永瀬は、「とりあえず、少し何か持ってお芝居をしたいと思って」と、街を巡ったが、「目の前の光景が信じられないですよね。映画のセットでこれからお芝居しますよ、にしか思えなくて、余計に気持ちをつなげるのが難しくなりましたね」と、衝撃を受けた。

 気持ちを切り替えるために、街をレンタカーでめぐったそうだが、「そこでまた現実を目の当たりにしたんです。周りを見るとそこには何もない。でも、レンタカーのナビゲーションは『300メートル先のコンビニを右です』とか言うわけですよ。もちろんないんですよね」と、実体験も。

 さらに、五十嵐さんの復興はまだという話を聞き、永瀬は「きのう台湾から帰ってきたんですけど、台湾の方は『もうだいぶ復興が進んでいるだろ?』と思ってらっしゃるのですが、全然ですよというと、ビックリされるんです。そういうところはもっとちゃんと知ってほしいですね」と、思いを語っていた。

永瀬正敏 震災の復興状況を「もっとちゃんと知ってほしい」

永瀬正敏 震災の復興状況を「もっとちゃんと知ってほしい」
永瀬正敏
永瀬正敏 震災の復興状況を「もっとちゃんと知ってほしい」
永瀬正敏
永瀬正敏 震災の復興状況を「もっとちゃんと知ってほしい」
永瀬正敏
永瀬正敏 震災の復興状況を「もっとちゃんと知ってほしい」
中田秀夫監督
永瀬正敏 震災の復興状況を「もっとちゃんと知ってほしい」
五十嵐康裕さん
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