
『2013(第36回)日本アカデミー賞』授賞式が8日、東京・港区「グランドプリンスホテル新高輪」で行われ女優・樹木希林(70)が『わが母の記』で最優秀主演女優賞に輝いた。
『わが母の記』は親子、家族愛を描いた作品。文豪・井上靖が45年前につづった自叙伝的小説が原作となっている。昭和39年、小説家の伊上洪作(役所広司)は、父が亡くなり母・八重(樹木希林)の面倒を見ることになる。幼少期に母と離れて暮らしていたため距離を置いていた洪作だったが、妻や3人の娘、妹たちに支えられ、自身の幼いころの記憶と八重の思いに向き合うこととなり…。
和装で登壇した樹木。周りの女優を見回し「美しいというのは才能の1つなんですよ。ハンディがあるんです」と、さっそく“希林節”をさく裂。
「最初はちょい役だったんです。監督が頼んでいた方が亡くなりましたので、私のところに来ました」と話しつつ、「映画って本当に監督のものだなと思いました。真夏のシーンを撮るのに2月の撮影で雪になってしまった。そこで台本をすっと雪に書き換える。3月11日大震災の前の10日に沼津でクランクアップさせるという予知能力と運とがあって、いい出会いをさせて頂きました」と、感慨深げ。
司会の井上真央から「自分で着物は用意された?」と尋ねられると、「そんなこというと、衣装の宮本まさ江さんががっくり来ますから、そんなことはありません。半々です」と、説明する一幕も。
最優秀に選ばれてのスピーチでは、「これいただくと来年司会やらなきゃならないというのがひっついてくるんですよね。私ね、冗談ではなく、私全身がんなので来年の仕事の約束はできないんですよ。本当のところ。とにかく困りました」と、いきなりの告白。確かに、樹木は2004年に乳がんが発覚し、翌年に右乳房を全摘出手術。その後も転移が見つかり放射線治療を受けていることなどを公表していただけに、心配なところ。
続けて、「若い監督、若い役者が出てきていいなぁというのが実感なんです。私はもうおまけです。実の(現金)振り込みだけは頂いて、(沢尻)エリカ様にでもあげたい」と、最後までマイペースな発言で沸かせていた。
囲み会見では、全身がん発言について「病院に行かれたんですか?」と報道陣が尋ねると、「医者に行くと見つかるから行ってない。治療は何もしていない」といい、「誰でも精密な機械で検査すると、ガンの1個や2個あるのよ」と、当たり前のように返答していた。



■各賞の優秀作品賞ならびに最優秀作品賞は以下の通り。(★が最優秀)
●優秀作品賞
『あなたへ』
『北のカナリアたち』
★『桐島、部活やめるってよ』
『のぼうの城』
『わが母の記』
●優秀アニメーション作品賞
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
★『おおかみこどもの雨と雪』
『ももへの手紙』
『friendsもののけ島のナキ』
『ONE PEACE FILM Zワンピースフィルム ゼット』
●優秀監督賞
犬童一心/樋口真嗣『のぼうの城』
阪本順治『北のカナリアたち』
原田眞人『わが母の記』
降旗康男『あなたへ』
★吉田大八『桐島、部活やめるってよ』
●優秀主演男優賞
★阿部寛『テルマエ・ロマエ』
堺雅人『鍵泥棒のメソッド』
野村萬斎『のぼうの城』
森山未來『苦役列車』
役所広司『聯合艦隊司令長官 山本五十六-太平洋戦争70年目の真実-』
役所広司『わが母の記』
●優秀主演女優賞
★樹木希林『わが母の記』
草刈民代『終の信託』
沢尻エリカ『ヘルタースケルター』
松たか子『夢売るふたり』
吉永小百合『北のカナリアたち』
●優秀助演男優賞
★大滝秀治『あなたへ』
香川照之『鍵泥棒のメソッド』
高良健吾『苦役列車』
佐藤浩市『あなたへ』
佐藤浩市『のぼうの城』
森山未來『北のカナリアたち』
●優秀助演女優賞
寺島しのぶ『ヘルタースケルター』
広末涼子『鍵泥棒のメソッド』
満島ひかり『北のカナリアたち』
宮崎あおい『わが母の記』
★余貴美子『あなたへ』
●新人俳優賞
武井咲『るろうに剣心』『愛と誠』『今日、恋をはじめます』
二階堂ふみ『ヒミズ』『悪の教典』
橋本愛『桐島、部活やめるってよ』『HOME!愛しの座敷わらし』『Anotherアナザー』
染谷将太『ヒミズ』『悪の教典』
チャンミン(東方神起)『黄金を抱いて翔べ』
東出昌大『桐島、部活やめるってよ』
松坂桃李『ツナグ』『麒麟の翼』『今日、恋をはじめます』
●外国映画作品賞
『アルゴ』
★『最強のふたり』
『ダークナイトライジング』
『ドラゴン・タトゥーの女』
『007 スカイフォール』