女優・安藤サクラ(27)が14日、東京・内幸町のイイノホールで行われた、東京映画記者会(在京スポーツ7紙)が選ぶ「第55回ブルーリボン賞」で、映画『かぞくのくに』で、北朝鮮に渡った兄と再会する在日コリアン2世の妹を熱演し、主演女優賞に輝いた。
母親でエッセイストの安藤和津氏(64)と夫で俳優の柄本佑(26)が会場から見守る中、18年前に主演男優賞を獲った父親で俳優の奥田瑛二(62)と親子2代での受賞となった。
北朝鮮に渡った兄と再会する妹、立場の違いに戸惑い、怒り、悲しみ、気遣いなどの複雑な感情をさりげなく表現したことを評価されての受賞となった。「今日は、ヤン監督と(井浦)新さんと一緒に立てているのが凄く嬉しいです。新さんのごあいさつを聞いて、言葉を聞いていて、自分の受賞と感極まっています」と、緊張しているという。
映画『かぞくのくに』は、わずか2週間で撮影されたそうで、その期間中、ひたすら、ヤン監督の思いにみんなが凄い死ぬ気で闘ったという。安藤は、「監督は、前の作品を作ったために(故郷である)北朝鮮に行けなくなっているのに、こうやって作り続けている。そこに一緒に死ぬ気で闘えたのが嬉しかった。さらに、このように賞なんか頂いちゃって・・・」と、恐縮気味。
そして、「この『かぞくのくに』で思うのは、どんな力でも変えられないものがあるけど、私は人がどこか魂の端っこがちょっとでも動くことで、変えられるんじゃないかと思った。この映画はそのエネルギーが凄くある。見えないものを動かせる力がある。この作品に出会えたこと、作品を通じて大切なものに出会えた」と、ヤン監督との出会いや作品との出会いに感謝した。
司会の竹野内豊(42)から「お父様の奥田瑛二さんも受賞されていますよね」と紹介されると、安藤は満面の笑み。奥田は94年度の「第37回ブルーリボン賞」で、神代辰巳監督の映画『棒の哀しみ』で主演男優賞を受賞。同作品は、作品賞とが監督賞も獲得し、今回、安藤が受賞した作品の『かぞくのくに』同様に3部門に輝いた。
安藤は、「私が小さい時で、18年ぐらい前に、父が主演男優賞を受賞していて、とっても喜んでいたので、ハッキリと覚えています。私が、今26歳で18引いたら…何歳ですか?」と、突然、司会者や登壇者たちに振る。
みな、突然のことで、パッと答えが出てこず、ちょっとの間があってから、「私が8才の時で、偶然なんですけど、いま着ている洋服の色と同じ色の布を切って、ブルーリボンを作って、バッジにしてココに来て父につけました。それを覚えています。そのバッジを父がちゃんと取っておいてくれていて、今日、持ってきているんですが、恥ずかしくてつけなかった」と、天然のような独特のトーンの話し方とワールドで、説明した。
そんな会話を受けて、来場したお客さんを初め、会場にいたほぼ全員の人が思ったのは、来年、視界をやるということ。「ここに、阿部さんと一緒に立つわけですが」と永作が振ると、安藤は、「阿部さんが気の毒です。阿部さんからは、『きっとフォローしきれないと思います』と言われました」と、その意味を知ってか知らずか、サラリと言う。
会場からは笑いが起き、永作が、「来年のブルーリボン賞も楽しみですね」というと、爆笑に代わっていた。阿部も、苦笑い意外のリアクションをとれず困っていた。
【各賞の受賞者と作品】
作品賞 『かぞくのくに』(ヤン・ヨンヒ監督)
外国賞作品賞 『レ・ミゼラブル』(東宝東和の新井重人・取締役宣伝担当)
監督賞 内田けんじ(「鍵泥棒のメソッド」)
新人賞 マキタスポーツ(『苦役列車』)
特別賞 故若松孝二監督(三女で若松プロの伊藤宗子が代理で受け取る)
助演男優賞 井浦新(『かぞくのくに』)
助演女優賞 広末涼子(『鍵泥棒のメソッド』)
主演男優賞 阿部寛(『麒麟の翼~劇場版・新参者』『テルマエ・ロマエ』『カラスの親指』)
主演女優賞 安藤サクラ(『かぞくのくに』)
※在京スポーツ7紙・・・サンケイスポーツ、スポーツニッポン、スポーツ報知、デイリースポーツ、東京スポーツ、東京中日スポーツ、日刊スポーツ。