演歌歌手・八代亜紀（62）が16日、都内で行われたワーナー・ブラザース創立90 周年記念として、トーキー映画『ジャズ・シンガー』（1927年公開）の特別上映会にゲストとして登場。生バンドで、往年の名曲『フライ・ミートゥー・ザ・ムーン』と『クライ・ミー・ア・リバー』の2曲をジャズアレンジで歌った。また、映画コメンテーターの有村昆（36）も登場し、ワーナー・ブラザース90周年の輝かしい映画史について熱く語った。
演歌の女王として確固たる地位を築いてきた八代亜紀。1971年に演歌歌手としてデビューしてから42年目にあたる昨年10月、自身のルーツであるクラブシンガー時代に思いを馳せ、本格的なジャズアルバムとなる『夜のアルバム』を発売。同作は音楽配信サービス『iTunes Store』などで世界75ヶ国に同時配信されて、世界デビューを果たした。
真っ赤なロングドレスで登場した八代は、『フライ・ミートゥー・ザ・ムーン』を英語と日本語で歌い分けると、「八代亜紀がジャズ歌うっていうことで、（お客さん）緊張してない？八代亜紀は演歌歌手。ジャズ・シンガーはAKI YASHIRO」というと、1曲聴いて、ハスキー・ヴォイスが艶っぽくて大人な薄暗い空間にマッチする歌声に酔いしれたお客さんたちは、拍手で応える。
続いて、「クラブで18番で歌ってました」と、『クライ・ミー・ア・リバー』を披露した。歌い終えた八代に司会者が、「バーで飲みたくなった」と感想を語ると、「バーで歌ってましたから」と、ニッコリ。
実は、八代とジャズは関係が深く、「原点です」という。15歳の時に、熊本県から東京に上京し、年をごまかして、銀座のクラブでスタンダード・ジャズを歌っていた。ところが、そのことを言いつけられて、「父から『不良になった』ってもの凄い叱られて、追い出されました」と、当時を振り返った。
3月27日には、ニューヨークの名門ジャズクラブ『バードランド』で、『AKI YASHIRO with Special Guest Helen Merrill（仮）』と題して初のジャズ公演を行い、憧れのアメリカのジャズシンガー、ヘレン・メリル（82）と共演する予定になっている。
八代は、「心が決まってないの。こんな感じだといけない。ビシっとした心構えで行かないといけない。まだ、フワフワしてるの。ギアが入る前の感じ」と、地に足がついていない感じだが、「『舟唄』と『雨の慕情』をジャズアレンジで歌いたい。“だんちょうね”を、日本語で言ってくる」と抱負を語った。
一方、今回、初ブルーレイ化される『ジャズ・シンガー』は、映画史上初めてのセリフとなった「You ain’t heard nothin’ yet!（お楽しみはこれからだ！）」と、歌声が映画から流れた世界初のトーキー映画。
有村は、「映画は技術革新の繰り返し。モノクロからカラー、無声からトーキー。今はその瞬間が見れるいい時代。映画の歴史とともにブルーレイで楽しんでほしい」と、歴史を変えた記念碑的な作品を手軽に楽しんで欲しいとPRする。
また、有村は、丸岡いずみと結婚してから、「ありがたいことに映画に絡めて出るほうが多い。奥さんネタも多いのでありがたい。（奥さんネタの）小出しのテクニック教えてください」と、報道陣に逆質問。
2人でどんな映画を見るか問われると有村は、「（丸岡さんは、）ミュージカル映画が好きです。（『ジャズ・シンガー』も）ブルーレイバージョンを夫婦で見返し、歌った。ハートフルなものが好きで、アクション、ホラーは苦手ですけど、プロレスDVDが大好き。そういう時は夫婦別に見ています」と、プライベートを語った。
そして、15日に肺炎のため亡くなった大島渚監督について、有村さんは、「『愛のコリーダ』を始め、最近だと『御法度』。タブーに挑戦するのも映画の歴史だと思う。どこまでがエロスでどこまでが芸術なのか。誰かが石を投じないと誰も気づかない。大島監督は、誰もやらないことに問題提起をし、踏み入れていた。後に続く人がいるんだろうかと考えると、すごく偉大な人を亡くしたなと思う。残念です」とコメント。
大島監督の妻で女優の小山明子（77）と舞台で共演した際に大島監督ご本人とも対面したという八代も、「映画はハードで、ちょっと怖い感じだと思ったんですけど、お会いしたときはすごく子供っぽいんですね。奥様の小山明子さんに甘えっぱなしで『ハイ、ハイ』って。全然違うんだなという印象でしたね。男と女っていうのがいいのかなぁ。子供っぽいのがいいのかなぁ」と、偲んだ。
【初回限定生産】となる「『ジャズ・シンガー』ワーナー・ブラザース90 周年記念エディション」は、2013 年1 月18 日にワーナー･ホーム･ビデオより、ブルーレイを3980 円（税込）で発売。
