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行定勲監督 ヒトラーに寵愛された指揮者フルトヴェングラーを語る

行定勲監督 ヒトラーに寵愛された指揮者フルトヴェングラーを語る
トークショーが展開された

 2月1日より上演開始となる舞台『テイキング サイド~ヒトラーに翻弄された指揮者が裁かれる日~』の公開を記念した行定勲監督(44)とクラシックジャーナル編集長・中川右介氏(42)のトークショーが12月27日、東京・銀座の山野楽器内で開かれた。

 舞台は1940年代ドイツ。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者・フルトヴェングラー(平幹二朗)は台頭したヒトラーの寵愛を受け活躍していた。しかし、第2次世界大戦以降立場は一変し、戦犯扱いとなる。彼を取り調べることになったアメリカの少佐アーノルド(筧利夫)はナチスを憎んでおり、その取り調べは過酷さを極めフルトヴェングラーは次第に追い込まれてしまう。その様子を見ていた周囲の者たちの中には、フルトヴェングラーの方に心を動かされてしまう者も現れ…。

フルトヴェングラー像については巨匠と取り扱われることが多かったが、中川氏の著作では矛盾に満ちている上に理解しがたい人物はいない人物として描かれている。行定監督は、「調べてみて、彼は神格化されやすい人物だったのだろうなとは思います。監督でもそうで、神格化されやすい監督っていうのは、全部説明しようとしない監督なんです」と、笑みを見せつつ、分析。

 そんなフルトヴェングラーを中川氏は、「子供のころから学校へ行かず家庭教師から勉強を教わっていて、友人たちと一緒に何かをするということをしないまま大人になりました。コミュニケーション能力の部分でどこか欠落した人だったようにもと思います。ある意味純粋がゆえなのですが、その分、周囲が迷惑するようなこともあったようです」と、話し、「舞台の脚本でも語られているように、悲惨な状況にあったドイツ国民にきちんとした音楽を聴かせ続けたいという純粋な気持ちだったかもしれません」と、その性格について推測している。

 舞台の方について、中川氏が、「私の本を読んだんじゃないかと思うくらい、もちろんありえませんけど、それでも非常に似た視点で書かれたフルトヴェングラーだと思います。それを生身の人物が演じてくれるのですから、自分としても大変興味深く、この舞台を楽しみにしています」と期待を寄せ、行定監督は、「舞台ではアメリカ人少佐に徹底的に追い詰められます。少佐だけではなくほかの登場人物たちにもさまざまな背景があり、そうした背景が分かっている人ほど、この舞台に出てくる人間関係の面白さが楽しめると思うので、熱心なファンの方にはぜひ観ていただきたい」と、アピールしていた。

 舞台『テイキング サイド~ヒトラーに翻弄された指揮者が裁かれる日~』は2月1~11日に東京・天王洲銀河劇場にて!

行定勲監督 ヒトラーに寵愛された指揮者フルトヴェングラーを語る

行定勲監督 ヒトラーに寵愛された指揮者フルトヴェングラーを語る

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