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奈良岡朋子 森光子さんへ弔辞で孤高の人の一面を明かす

 女優・森光子さんの本葬が7日、東京・青山葬儀所でしめやかに営まれ、森さんと深い親交のあった女優・奈良岡朋子(83)が弔辞を寄せた。この日、奈良岡は東京・三越劇場で公演中のため参列できず、事前に録音したものが場内に流された。

 ■以下、一部抜粋
 「森光子さん、きょう私公演中なので、お見送りできません。すみません。ですので最初で最後の声のお便りを差し上げます。あなたは太陽のような人でしたね。でも、真夏のギラギラした照りつけるような太陽ではなく、陽だまりで回りを包み込むようなおひさまのような太陽です。優しさと笑顔と、愛らしさと。それととびきりの元気な姿に、どれだけ多くの人たちが生きるエネルギーを頂いたことでしょう」

 「舞台での森さんとの出会いは今から31年前。三木のり平さん演出の舞台『放浪記』でした。私にとって、713回の公演は、毎回がいつも初日のように新鮮で楽しく、芝居の醍醐味を味あわせて頂いたなと、きのうのことのように思い出されます。途中で『放浪記』からはお別れしましたが、その後の付き合いはお食事をしたり、ときに麻雀をしたりと、数えきれません。電話はもとより、旅公演に出ている時もFAXを送ってくださいました。『おふみ』、『お京』と呼び合ってましたね」

 「森光子さん、もう1人のあなたはお月様のような人でしたね。ご自分でおっしゃってましたよね。お月様が大好き……、って。仕事が終わって帰宅した時でも、旅先でも必ず空を仰いでしばし月を見ている。そう話されているときのあなたの顔にはいつもの笑顔はありませんでした。自らの手で孤独を引き寄せ、そこに湛然と座して凛とした姿を想像した時、孤高の人という文字が浮かんだのを強く印象に残っています」

 「森光子さん、再び戻ることのない旅に出かけられました。でも、さようならとは言いません。私もいつの日か、そちらの旅先にまいりますから。その時が来たら、『お京いらっしゃい。ほら、また、幕が開くわよ』って、そう言って笑顔で迎えてくださいね。またお会いしましょうね」

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