今年3月に東京の人気店シェフを破り「人類VS AIの料理対決」に勝利したAI。第二弾は、日本の食文化を代表する「月島もんじゃ」連合と対戦する。題して、「月島もんじゃ大将 VS AI バジルモッツァレラもんじゃ対決」の記者発表会が9月26日都内で行われた。
(取材・撮影:伊藤直樹©ニュースラウンジ)
月島もんじゃ振興会 理事長 松井勝美氏は、「こんな機械かなんかわかんないけど、もんじゃのプロだからね。AIには負けてられないですよ」とジャブを繰り出すと、前回勝利したAIのビジネス支援技術を開発する茨城大学大学院理工学研究科 鈴木智也教授も負けじと「料理が下手でもわからなくても、AIという近代技術を使えばプロに勝てるところを証明します」と応戦する。ジャブの打ち合いは互角と言ったところだが、その後も熱い論戦が繰り広げられ対決を前に早くもバチバチムード。
今回の「月島もんじゃ」対決の条件は、森永乳業「クラフト バジルフレッシュモッツァレラ」を使ったアレンジレシピであること。前回勝利したディフェンディングチャンピオンの鈴木教授が繰り出すメニューは、「牛すじ月見AIもんじゃ」。
メニュー作りには、フレグランスの調香システムとオープンAI ChatGPTを駆使したという。鈴木教授は、「もんじゃは具材の組み合わせの最適化の問題なのかなと。料理というよりは、いかに良い具材をバランスよく組み合わせるか。または独創的な組み合わせを見つけられるかっていう対決なのかなと思ったんですよ。そこで、アロマの各香りをブレンドすると、ユーザーが望んだアロマをAIが提案するっていう組み合わせ最適化するアロマの調香システム作っていたんで、そのシステムを使いました。
もんじゃの素材の組み合わせは、2の100乗にもなる。これを人の作業でやると果てしないけど、オープンAI ChatGPT で評価させれば、コンピューターでわっと高速で計算できますから、10万回、100万回、1000万回のトライアンドエラーを高速でやって、ベストな組み合わせを見つけてもらった。ストレートで、いわゆるお行儀のいい答えしか出てこないので、そっから、ちょっと変化球をつけるためにまたChatGPT とやり取りしまして、意外性を高めたところ、 タバスコとか。そういう面白い案が出てきました」とメニュー作成の裏側を明かした。
これに対しても理事長は、「我々ない素材なんで、すごい楽しみにしてますよ」と言いつつ、「牛スジもんじゃっていうのは、我々もんじゃ振興会でそんなメニュー置いてないと思うんですよ。やっぱりめんたいチーズが結構人気あるんですよ。だから、牛スジにちょっと弱いかなと思って勝ったなと思ったんです。タバスコってピザかなと思うんですけど、もんじゃじゃないでしょ。とピザじゃない」と強気。
さらに、これに対しても月島もんじゃ連合の店長たちは、「毎日トッピング(素材の組み合わせ)のことを考えて、味を追求してるから、負ける気がしない」とあたりまえのことと、意にかえさない。
最後に鈴木教授が「私、新潟出身なんですが、そもそも最初の企画いただいた時に、もんじゃって一体何のことかわからなかった。もんじゃの定義はなんですかと。もんじゃとは一体なんだろうというのを考えながら、対決に挑んでいきたいと思ってます」と強烈なパンチを繰り出し、精神的なダメージを狙うが、松井理事長も「もんじゃを理解してない教授に負けちゃったらね、店を教授に任せたい!家賃大変だと思うけど(笑)」とのコメントで会場を盛り上げた。
主催する森永乳業株式会社マーケティング統括部チーズ事業マーケティング部長の佐藤裕之氏は、「両者、熱い意気込みを持ってもらっていてうれしい。月島もんじゃ振興会さんの伝統と文化、強いプロ意識。それと最新のデータサイエンスを組み合わせたAI技術。この対決を一刻も早く見てみたいというふうに思ってる次第です」と対決に向けての期待をコメント。
月島もんじゃ連合は、系列店を含めた11店舗、7メニュー。各店舗ごとに、AIがつくったレシピ「牛すじ月見AIもんじゃ」が美味しいか、月島もんじゃの老舗が考案した新作もんじゃたちが美味しいかをお客さんの投票で決める。
試食会で松井理事長は、学生さんが作っている「AIもんじゃ」を見ながら、「組み合わせがよくても、作り方で差が出るんだよ。俺が作れば味が全然違うから」というと、実際に「AIもんじゃ」を作ってくれた。学生さんたちが作った「AIもんじゃ」と松井理事長が作った「AIもんじゃ」を食べ比べると、松井理事長のおっしゃる通り、味が全然違った。これが伝統と文化のプロのワザか。ますます「AI」の連覇か、月島もんじゃが老舗の意地を魅せるか、興味津々。結果が待ち遠しい。
9月28日〜10月6日までの期間、対象11店舗で森永乳業「クラフトバジルフレッシュモッツァレラ」を使用した対決もんじゃセットがメニューに加わり、投票で勝者を決定される。
【月島もんじゃの名店11店舗7メニュー】
『おしお』(本店、NST店、和店)「さつまABCもんじゃ」
『誠』(誠、おしお 誠店)「きのこクリーム モッツアレラバジルもんじゃ」
『ことぶきや』「サーモンアボカドバジチーもんじゃ」
『てんてん』「豚キムチバジルチーズもんじゃ」
『もん吉』(新店、西仲点)「イタリアンバジルもんじゃ」
『駄菓子屋』「ジェノベーゼフォンデュもんじゃ」
『だるま 粋な店』「フレッシュバジルチーズもんじゃ」
<月島もんじゃ連合 代表>
おしお 伊藤勇樹(いとうゆうき)様
誠 阿部純人(あべすみと)様
ことぶきや 丹野竜(たんのりゅう)様
てんてん 北川慎(きたがわしん)様
もん吉 青木拓海(あおきたくみ)様
駄菓子屋 小田野善一(おだのよしひと)様
だるま 篠田和秀(しのだかつひで)様
<AI代表>
鈴木智也(すずきともや)
東京理科大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程を修了。
現在は、茨城大学大学院理工学研究科教授複雑データサイエンス研究室で「実務データ×機械学習×人工知能」によるビジネス支援技術を開発。人工知能のビジネス活用における権威。