「リアル龍馬」への道!CGとAIと人力に本物の「脱藩の道」で撮影した映像を融合

「リアル龍馬」への道!CGとAIと人力に本物の「脱藩の道」で撮影した映像を融合

「リアル龍馬」への道!CGとAIと人力に本物の「脱藩の道」で撮影した映像を融合

 ヤクルトの新テレビCMでベールを脱いだ「リアル龍馬」。構想から完成まで約1年、CGとAIからどのように28歳当時の坂本龍馬の声と顔を再現させたのか。その舞台裏、制作機エピソードにスポットを当てる。今回制作した「リアル龍馬」が「坂本家公認マーク」第1号に認定された。

 CGとAIで再現した「坂本龍馬」(リアル龍馬)を起用し「Yakult(ヤクルト)1000」の新テレビCMを1月25日から放送する。

 <「リアル龍馬」の顔について>
 ◇CGによる顔の再現を構成する3つの工程要素
 顔の再現は、映画『竜とそばかすの姫』のCGや、ドラマ『今際の国のアリス』のVFXを手掛けたデジタル映像プロダクション「デジタル・フロンティア」が担当。顔を構成するCGの工程要素は主に3つあり、最初にコンピューター上で立体像をつくる「モデリング」、次に表情を付ける「フェイシャルリギング・アニメーション」、最後に現実空間のライティングをCG上で再現し実写素材に対しての合成を行う「ライティング・コンポジット」というという工程を経て、坂本龍馬を再現した。

 ◇現存する数少ない写真、造形物などから脱藩当時の顔を造形
 顔の造形は、現存する6種類の古写真を参照。ただ、現存する写真は正面か斜めから撮影したものばかりのため、写真から把握できないアングルは、坂本龍馬を知る人がまだ存命だった昭和初期に制作された桂浜(高知市)の銅像なども参考にしながら、現代人の思い描く坂本龍馬像にアプローチした。また、頭髪は10のパーツに分け、特に生え際は細かさを重視して制作。今回のテレビCM用に制作されたカツラを参考にしてCG上で表現し、風になびく様子などはソフトウェア上でシミュレーションを行って再現している。顔には産毛も生やし、部位ごとに毛質を変えている。ちなみに、坂本龍馬が脱藩した28歳の時の写真は残っておらず、多くの人がイメージする教科書などに掲載された写真(32~33歳時)よりも、若い頃の顔を想定して造形した。
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 ◇大量のカメラ、照明が配置された特殊機材で複数パターンの表情を3Dスキャン
 表情は一眼レフカメラ58台、照明160個が均等に配置された「ライトゲージ」というドーム状の機材を使って、映像中で坂本龍馬を演じた役者の表情を30パターンほど3Dスキャンし、補完した差分も加えて、最終的に約60パターンの表情を制作。それらの組み合わせで表情を制作。それらの組み合わせで表情アニメーションをつけており、血流の変化による顔の赤みなども再現している。また、カットごとの細かいしわの表現などは、そのたびにCGの形状を自然な表情に見えるよう調整した。
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 ◇人間と見分けがつかないリアルさを引き立てる肌の質感と光の当たり方
 肌の質感は、脱藩当時の年齢に近い30歳前後の日本人の肌の色と、凸凹情報をスキャンしたデータを使用することで、人間と見分けのつかないリアルさを追求。さらに、「脱藩の道」のロケ撮影にCGチームも同行し、夕日のシーンや雨のシーンなどの光の正確な情報を現地で収録し、CG上のライティングに反映している。テイク(1回分の撮影)ごとに光の情報を収録し、OKになったテイクの記録に合わせてCGの光を合わせることによって、映像中で坂本龍馬を演じた役者の体と、CGで造形した顔を合わせた時、それぞれに当たる光も自然となじんで、より臨場感が高まった。映像制作チームが撮影現場で追い求めた美しくドラマティックな風景の中に、まるで坂本龍馬が本当にたたずんでいるかのように見せるため、コンポジット(合成)工程も映画やドラマシリーズと同様のクオリティで細部にまでとことんこだわった。

 <「「リアル龍馬リアル龍馬」」の声について>
 ◇1万以上のサンプルを基にAIでゼロから生成
 現存しない声をゼロからつくり出すことは非常に難しい中、声の制作はCG映像や仮想現実空間の制作などの事業を展開する「ORENDA WORLD」が担当。世界中から顔と声が一致する1万以上のサンプルを基に、「こういう顔(骨格)の人はこういう声を出しやすい」というモデルをAIに学習させて、当時の坂本龍馬に限りなく近いと思われる声を3パターンほど生成。そのAIデータをCGで造形した坂本龍馬の顔に組み込んで、声を出力させ、声質や高低などの微調整を繰り返して制作した。

 ◇AIでの再現が困難な土佐弁のセリフも、とある手法でスムーズに
 声の再現に当たり、最も大変だったのが、抑揚をつけながら「土佐弁」でしゃべる部分。特に方言はAIが苦手とする分野のため、今回は「ボイスコンバージョン」という手法を用いて、土佐弁を話せる声優が発した声を、AIで再現した坂本龍馬の声質に変換していくというアプローチを行い、リアルな方言を追求した。また、AIは抑揚をなくす補正をかけてしまうため、声優にセリフをオーバーに演じてもらうことで、演技の振り幅の大きいデータを収録することができ、「リアル龍馬」が発するセリフに最適な抑揚をつけることが可能になった。

 <「リアル龍馬」の映像演出について>
 ◇「Yakult1000Yakult1000」CMシリーズを手掛ける演出家が映像に込めた思い
 映像の演出は、従来の「Yakult1000」CMシリーズと同じく、箱守惠輔監督が担当。「多くのファンを持つ偉人だからこそ、どういうイメージで描くのか、映像を見てどう思うのかということに誠実に向き合いました」という箱守監督。「在りし日の坂本龍馬を現代によみがえらせて、誰も見たことがない映像を届けることで、挑み続ける人たちを応援する「Yakult1000」のメッセージを伝え、日本の皆さんが少しでも元気になってほしいと思います」と、今回のテレビCMに込めた思いを熱く語った。

顔はCG・声はAI 最先端技術で坂本龍馬を完全再現!ヤクルト1000 CM

 ◇数ある坂本龍馬の名場面の中から「脱藩の道」を舞台に選んだ理由
 撮影に当たって、関連書物・文献を読み込み、研究者や専門家に取材するだけでなく、全国の龍馬会の皆さんをはじめ、さまざまな人に話を聞き、制作チームのスタッフとも何度も議論を重ねて、坂本龍馬の人物像を掘り下げたという箱守監督。その中で、「生きている坂本龍馬を丁寧に描こう」という方針を立て、最終的に「脱藩の道」をCMの舞台に選んだ。この選択について、「映像を見た方に、一歩踏み出してください、挑戦してくださいというメッセージを伝えるには、坂本龍馬が決意を持って土佐藩を飛び出し、土佐人・坂本龍馬から日本人・坂本龍馬になった瞬間を描くのが最もふさわしいと思いました」とのこと。また、その場面で発するセリフも、「挑み続ける人へ。」というコンセプトに合致する、実際に坂本龍馬本人が書き残している言葉を使用している。

 「土佐一国にて学問致し候得バ、一国だけの論(に)いで(ず世界を)横行すれバ、
 又夫だけの目を開き、自ら天よりうけ得たる知を開かずバならぬとハ、今に耳ニ残居申候」
 土佐藩士・川原塚茂太郎へ宛てた手紙(文久3年8月19日付)より

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 ◇CG撮影の常識にとらわれない演出で生き生きとした坂本龍馬を表現
 CGを使った今回のような撮影の場合、人物やカメラの動きを激しくすると、その分CGとなじませる作業に時間と技術を要するため、そうしたカットは極力回避するケースがほとんど。ところが、箱守監督は目線の上げ下げや口の開き具合といった細かい表情の指示や、ぼかした被写体にゆっくり焦点を合わせていくフォーカス・アウトという技法など、あえて通常の役者と同じ演出をすることにこだわって、生き生きとした「リアル龍馬」を表現した。また、「その人の意志みたいなものが表れる」という考えから、目の表情を重視し、視線の動きや光の当たり具合、うつむかないでもっと上を向かせたいなど、CGチームに何度も調整をしてもらった。

CM本編URL:<60秒> https://youtu.be/DsQai3dSvFg

 <「坂本家公認マーク」第1号認定について>
 ◇「リアル龍馬」を監修した坂本龍馬のご子孫も認める再現度の高さ
 ビジュアルや声、テレビCMのセリフや撮影場所など、時代考証・監修には、歴史写真研究者で渋谷龍馬会 共同会長の倉持基(くらもちもとい)氏と、坂本龍馬のご子孫で坂本家十代目当主の坂本匡弘(さかもとまさひろ)氏に協力いただいた。膨大な古写真をデジタルアーカイブに 蓄積・整理し、デジタル化された古写真を相互に比較・参照して共通点や相違点を検討することで、単に1枚の写真を眺めただけでは分からなかったものが見えてくる。こうした手法で学問的に古写真を研究し、歴史情報を引き出す学問「歴史写真学」の確立を目指している倉持氏に、できるだけリアルに再現したいと相談し 「最初に聞いたとき、ついにそういう時代が来たかと思いました。ITを使って復元する技術を持っていたら、私自身がやりたかったぐらいです」と、監修の依頼を引き受けた。現存する全種類の坂本龍馬の写真を使うことや、CM内で再現するシーンについても脱藩のシーンを推薦された。
 一方、同じく監修をお願いした坂本氏は、2024年から坂本家当主として坂本龍馬に関する 新たな商品やサービスのうち、坂本家に伝わる坂本龍馬の遺志、遺徳にふさわしいと認めたものは坂本家の「公認」とすることとし、このたび、「Yakult1000」のテレビCM用に制作した「リアル龍馬」が「坂本家公認マーク」の第1号として認定された。坂本氏は「今回のテレビCMに登場する「リアル龍馬」について、坂本家としてもしっかりと意見を述べ、完成した顔や声に対して、また歴史観につきましても、事実誤認がないよう監修を務めさせていただきました。責任を持って坂本家公認とさせていただきました」とコメントした。

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 ■テレビCM概要
 タイトル:Yakult1000「坂本龍馬」篇(15秒・30秒)
 放送開始日:2024年1月25日(木)
 放送地域:全国
 CM本編URL:<15秒>https://youtu.be/lnaBW6RAjGQ
       <30秒> https://youtu.be/P0G9fBG39pk
       <メイキング> https://youtu.be/QVu1K35pBkw

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