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ビールのニーズも多様化 「とりあえず」から「こだわり」へ!クラフトビール市場が好調

 「とりあえずビール」が当たり前だった時代も今は昔。2015年上半期の販売数量は前年同期比97.4%のアサヒスーパードライを筆頭にビール離れは止まらず、ビール類市場規模は前年比99.4%と、3年連続のマイナス。「消費税率引き上げ」「夏の天候不順」などが理由として挙げられるが、長期低迷傾向は否めない。

 そこで、生活者のライフスタイルや消費動向を調査するリサーチ機関『LifeHackリサーチ』が、月に1回以上ビールを飲む全国の20~60代の男女1000人を対象に、ビール類に関する意識調査を実施した結果を発表した。

 今後どんなビール類が望まれていくのか、求める特徴を尋ねたところ、全体としては「うまみを感じる」(56.9%)、「味わいがある」(53.8%)、「コクがある」(52.6%)、「飲みやすい」(45.2%)といった回答が上位を占めた。

 ビール離れの背景には、これまでのビールと言えば、「キレ」が人気であったが消費者のニーズが変化していることが読み取れる。だが、そんな消費者のニーズをいち早く先取りし、好調なカテゴリーもある。小規模なビール製造所で職人がこだわりの味を追求して造っているクラフトビールだ。

 調査会社の富士経済によると、大手5社以外の醸造所でつくられるクラフトビールの販売額は2006年に307億円だったが、13年は362億円に増え、15年は383億円に拡大する見通しとなっている。巨大なビール類市場の中では1%に満たないものの、大手ビールメーカーの出荷数量が05年から減り続けているのとは対照的で注目を集めている。

 日本で一般的に飲まれてきたビールは、低温で発酵する「下面発酵」という手法で製造され、「キレ・苦味」など、のどごしの良さやすっきりとした口当たりが特徴。一方、クラフトビールは、常温で発酵する「上面発酵」製法で、「甘味・コク」などの風味や香りを重視する。ビールが苦手な人が嫌いな理由に挙げる苦味がない。この「味」の違いにより、20~30代や女性など、「ビールが苦手」とする層へ広がっている。

 さらに、地ビールとして地元でしか飲めなかった以前と比べ、いまでは、コンビニやスーパーでもクラフトビールを気軽に買うことができ、取り扱う飲食店が増えるなど、気軽に飲めるようになった。また、SNSを使っての“口コミ”やコミュニティーの形成、情報の拡散なども追い風となっている。さらに大手メーカーもクラフトビールやプレミアムビールに注力しており、うまみや味わいなどこだわりの味を追求するビールの人気がさらに拡大していくと予想される。

 クラフトビールの好調は、ビール市場が多様性を見せる中、ビールの魅力や楽しさを求めるビールファンにはうれしい傾向かもしれない。

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