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斎藤工目を輝かせて聞き入る!河瀬直美監督に映画「あん」奥深くの話題まで直撃

斎藤工目を輝かせて聞き入る!河瀬直美監督に映画「あん」奥深くの話題まで直撃
斎藤工が河瀬直美監督へ聞きたいことを直撃した

 俳優・斎藤工(33)が14日、東京・シネスイッチ銀座で映画『あん』(監督:河瀬直美/配給:エレファントハウス)大ヒット御礼3夜連続トークイベント初日を河瀬監督(46)とともに開いた。

 5月30日に全国で77館という小規模公開からスタートしたにもかかわらず連日、満席・立ち見の劇場が多くなり今月7日までには1億4869万9400円(観客動員数12万7293人)の大ヒットを記録し話題を呼んでいる。第68回カンヌ国際映画祭『ある視点』部門オープニングフィルム正式出品作品となるなど、世界的な評価も得ている作品だ。物語はどら焼き屋「どら春」が舞台。雇われ店長として単調な日々をこなしていた千太郎(永瀬正敏)。ある日、「どら春」の求人募集の張り紙をみて、そこで働くことを懇願する1人の老女・徳江(樹木希林)が現れる。徳江の作るどら焼きの粒あんはあまりにもおいしく、みるみるうちに店は繁盛していくのだが、徳江が昔ハンセン病を患っていたということが近所の噂となり、それが彼らの運命を翻弄しだす…。

 今回のイベントは生きていく意味を見出していく千太郎の気持ちになって、男性にも『あん』を観てほしいと願い、河瀬監督が企画。初日は斎藤がゲストとなり、斎藤は河瀬監督と仲良く腕を組んで登場し、階段も斎藤が手を貸すジェントルぶりを見せた。

斎藤工目を輝かせて聞き入る!河瀬直美監督に映画「あん」奥深くの話題まで直撃
階段も手を貸すジェントルぶり

 そんな仲良さげな2人だったが、実は今回のイベントで初対面なのだとか。楽屋では、この日、オフィシャルカメラマンとしても入っていた写真家レスリー・キーから、斎藤に「工だから河瀬さんに“壁ドン”しないとダメだ」というリクエストが入り、斎藤はしぶしぶしたのだとか。そのときのことを斎藤は、「僕の一発芸みたいになっているんですけど、初めて会ったのに、壁ドンをしたんです。でも河瀬さんはピクリとも心が動いていないようで、それは正しい反応だと思うんです。むしろ逆に河瀬さんに壁ドンしてもらったんですけど、その“作品”はレスリーのフィルムの中に収まってます」と、壁ドンの話題で盛り上がる。

 そうやって会場を温めたところで作品の話題へ。斎藤は学生時代から河瀬監督の作品を観ているそうだが、観るたびに、河瀬監督の印象が良い方向で上塗りされていっているようで、「いま僕はテレビの方が多くて、テレビの説明的、絵とセリフで説明していく、非常に説明を切り取っていくということをしているんですが、河瀬監督の作品は説明じゃなくて役者さんたちも手抜きじゃないじゃないですか。みんな演技をしないで存在している。それをどうやっているのかと聞いてみたい」と、自分の観た感じを質問としてぶつける。

斎藤工目を輝かせて聞き入る!河瀬直美監督に映画「あん」奥深くの話題まで直撃
真剣に河瀬監督の話に聞き入る斎藤

 すると河瀬監督は、逆に、斎藤に「監督をされたときに、始めるときにどうされていますか?」と、尋ねる。「キャスティングをしたときに、半分くらい仕事は終わったと思って、あとは動線をどうするかだけを死守する。一切あとは言わなかったんですけど、絵が成立していた。映画の作られるプロセスの知識があるわけではないので、変に背伸びをするのはやめようと。白旗を上げますので、各パート人お願いしますと言ってました」と、説明する斎藤。

 それに対して河瀬監督は、「普通はスタートからカットまでここまで歩いてその間に『おはよう』と言ってくださいというのがあるんです。でも私の場合は、360度何をしてもいいようにしていて、俳優からもカメラが見えない状態。それはケーブルの1本でも。工くんと真逆かもしれないけど、テストはなくて、キャストがどこに立つかというのはスタッフたちが大体それを受け止めて、場を作っているんです」と言い、この演出方法に斎藤は目を輝かせて聞き入りつつ、「それは演技学校に行っている人からすると真逆で、でも河瀬さんの作品は海を越えていろんな国のいろんな方の琴線に触れる。それは本質的に役者の責務という気はするんです」と、頭に浮かんだことをそのまま話しているようだった。

 さらに、作品の序盤で永瀬演じる千太郎が仕込みをしているシーンについて斎藤が、「望んで作っていないというか、愛情が持ててない人がいるというのを、情感だけで分かるというか、千太郎のそれまでの時間が切り取られていて。その秘訣は?」と、見入ったシーンの意図を尋ねると、「本当に孤独で夢もなくて、やるしかないという感じでやってるというのを永瀬くんが千太郎が生きてきた40何年という時間を入れてきてくれた」。

 キャスティングについては、斎藤はキャスト間の空気感を挙げると、河瀬監督は「狙いはあります。リアリティーを追求すると言っても、行き先は船長が決めていないといけない。どこの道を通って、迷うことも冒険だけど、ちゃんと出口も見えておかないと。永瀬くんも希林さんも本人たちは否定されますけど、すごく切れる人です。すべてを言わなくてもちゃんとキャッチして技術的にも表現できる人たち。私はすべての演出は言ってないし、彼らは覚えてくるし、読んでくる。『たとえば、きょうどら春に来るのが最後の日だったらという感じで撮りましょうか?』と希林さんに言ったら、希林さんはエプロンのたたみ方を変えてくるんです。ちょっと時間があって、間合いがあって、真正面にお辞儀するんですよね。その表情を私がそう言っただけでできるというのはすごいと思うんです」。

 続けて河瀬監督は「日本の俳優さんたちはそれができる人たちだと思うんですが、そういう時間のかけ方をしてもらえないのかなって。『もうちょっと、何秒かちょっと置いてみようか』という言い方をしてしまうと、型にはまってしまう。感情のことを言ってあげれば、いろんなことができると思うんですよ。そういうのを積み上げていくと、中盤以降、彼らは勝手に動き出して勝手に大きくするんですよ(笑)」と、深い部分まで話す。そのことをうまく言葉で表現できずもどかしそうにする斎藤へ、河瀬監督は、本トークイベントの時間が規定の時間より押してしまっていることを例に、「(巻きの指示も)たぶんこういうのを見えないふりをしているような感じ」と、ウィットを含んで展開し、斎藤も「なるほど、現実の時間の問題ですね(笑)」と、何か合点いったようだった。

 また、斎藤は小学校時代にシュタイナースクールに通ったあとに中学では公立校に転校した際、「美術の授業で空を描けと言われたんですけど、隣の人とかを見ていたら、みんな同じ青で、雲の輪郭を描いて。僕は暑かったんで、朱色で空を描いたんですよ。僕だけ違うんで、怒られるのかと思っていたんですが、先生から『斎藤の絵は非常に感情を表現してて素敵だと思う』っていう言葉に救われたんです」と、幼少のエピソードも披露することも。

 終盤に斎藤は、河瀬監督の印象を「シュタイナーっぽいなと思いました」と話すと、河瀬監督は「目が合った時にかわいいなと思いました。壁ドンをしたときに飼っておきたいなと思いました」と、場内の女性ファンも納得のコメントで沸かせていた。

 トークを終えて河瀬監督は、斎藤に感じ入るものがあったのか「どこかでご一緒できれば。そのときまでに役柄を考えておきます」と、今後、河瀬作品への出演オファーがあるかもしれないということに、感激の笑みを浮かべ、来た時と同じく、腕を組んでその場を後にしていた。

 映画『あん』は全国公開中!

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斎藤工目を輝かせて聞き入る!河瀬直美監督に映画「あん」奥深くの話題まで直撃
斎藤工
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河瀬直美監督
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壁ドンを再現する斎藤
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腕を組んで登場
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斎藤工目を輝かせて聞き入る!河瀬直美監督に映画「あん」奥深くの話題まで直撃
河瀬監督が斎藤の監督作をPRしてくれこれに感じ入ることも
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