女優・樹木希林(72)が26日、東京・シネスイッチ銀座で映画『あん』(監督:河瀬直美/配給:エレファントハウス)初日舞台あいさつを俳優・永瀬正敏(48)、女優・市原悦子(79)、浅田美代子(59)、河瀬監督(45)、原作者のドリアン助川氏(52)、主題歌『水彩の月』を歌う秦基博(34)とともに開いた。
どら焼き屋「どら春」の雇われ店長として単調な日々をこなしていた千太郎(永瀬)。ある日、「どら春」の求人募集の張り紙をみて、そこで働くことを懇願する1人の老女・徳江(樹木)が現れる。徳江の作るどら焼きの粒あんはあまりにもおいしく、みるみるうちに店は繁盛していくのだが、徳江が昔ハンセン病を患っていたということが近所の噂となり、それが彼らの運命を翻弄しだす…。先日、カンヌ国際映画祭ではオープニング作品となり、30ヶ国以上での上映への動きもある、世界が注目する作品だ。
樹木は徳江になりきり、ハンセン病の療養施設である「多磨全生園から来ました」と、あいさつ。さらに樹木は、秦のマイクと交換してほしいという要望を挙げ「だってマイクに口つけてたんだもん」と、言って観客を沸かせると、「冗談ですよ」と落とす。しかし、逆に秦が、「キュンとする。恋かな?と思いました」と乗っかり、アドリブだらけのあいさつで観客を楽しませた。
舞台あいさつでは、くしくもこの日が河瀬監督の誕生日となり秦から生歌をプレゼントのサプライズ。もともと河瀬監督は秦のファンで、呑みの席で本作の主題歌を依頼した裏話などを披露しつつ、秦のパフォーマンスがスタート。歌がサビにさしかかると涙を拭う女性客も見られ、さらには永瀬も「どうしても千太郎で聴いてしまいますんで。すいません!」といって徳江と重なる(樹木)を抱きしめるという感動的なシーンが展開された。
会見終盤には公開初日をお祝いしようと会場に駆けつけた出演者の1人、兼松若人が、急きょ登壇する一幕も。兼松は「嬉しい限りです」と公開の喜びをかみしめた。
その後、どら焼きのケーキプレゼントが登場し、河瀬監督は感激しつつ「本当にありがとうございます。徳江さんにいただいた手のぬくもり、それを受けた千太郎、ワカナが一歩踏み出した。その瞬間に立ち会っていただけ感無量です。サプライズありがとうございました。どら春は架空で、映画はフィクションだけれども、映画に出てきた人々や風景は存在していた。誰かと比べることなく、自分の人生を愛でていただければ。大好きな誰かにすすめてください!」とPR。
これだけ思いの丈を語った後、樹木にコメントが求められたがやりづらかったのか、は「いまの監督の言葉だけでいいんじゃない?ところであなたいくつになったの?」と希林節を披露。河瀬監督も「26歳です」と冗談でかわし、樹木も負けずに「お若いわぁ。まだまだ頑張って」と高度な“応酬”が繰り広げられていた。
映画『あん』は30日より大ヒット公開中!