アニメ「蟲師 特別編『鈴の雫』」(監督:長濱博史)劇場初日舞台あいさつが16日、東京・新宿バルト9で開かれギンコ役・中野裕斗、カヤ役・齋藤智美、“声”を担当する土井美加が登壇した。
漫画家・漆原友紀氏の人気漫画が原作。蟲師を生業としている主人公・ギンコが蟲に関係して起こるさまざまなことにかかわって向き合っていく姿が描かれる。2005年に初めてテレビアニメ化され、14年にその続編が放送されるなどファンからの支持が厚い作品だ。本作では人でありながら、山のヌシとなるように生まれたカヤをめぐっての話が展開される。同時上映ではテレビアニメ第2期『蟲師 続章』の特別編『棘(おどろ)のみち』も上映となる。
落ち着いた作品だけに、上映後の舞台あいさつも温かい感情が静かに流れているような雰囲気。中野は「10年前からなんとか劇場版をと言っていたので、感無量です」と、無事劇場公開されたことを喜ぶと、齋藤も「オーデイション受けた時は、こんな場に登壇できると思っていなかったのですが、こんなにたくさんの方が観てくださって本当に嬉しいです」と、感激。
長濱監督も「こうやってみなさんのお顔を見れると、みなさんがそれぞれのご家庭などの視聴環境のなかで、原作を読んでくださったり、観てくださっていたんだなという思いが浮かんできて、9年前からやってきた作品なので、私も感無量です」と、会心の笑みを浮かべた。
本作の製作経緯へ、長濱監督は、「『鈴の雫』はテレビシリーズでいうと前後編のエピソード。分断して2週に分けて放送というのはやるか、やらないかというので迷っていたんですが、『続章』ではやらないと決めたんです。ということは『鈴の雫』で分割することができなくなって、どう皆さんにお届けしようと考えたんです。テレビ局と交渉して1時間を取るのか、それとも劇場?という可能性を模索した時に、劇場と決めて。視聴者の皆さんそれぞれがそれぞれの場所で楽しんでいたものを最後に同じ場所で、イベント的な感じでもいいので、『蟲師』としてそれが可能だったら、みなさんで同じ感覚を共有する場になってくれればと思ったんです」と、裏話を交えて披露。
また、作品の1つの特徴として、臨場感ある音響を挙げた長濱監督は「音響作業のときスタジオでペットボトルが震えていた」と、迫力を伝えた。
アフレコについては、齋藤は「緊張しすぎて覚えてなくて…(苦笑)。2回あったんですけど、1回目が終わった時に、置物かと言われたくらい固まってました」と、告白。これに長濱監督は、「安定した2人(中野と土井)に挟まれていたから」と、フォローも。
そんなガチガチだったという齋藤へ土井は、「物語の中に自然に入っていっている感じがしましたよ。長いセリフも、すごくいい感じで柔らかい声で。本当に蟲師の世界にスッと入れている感じがして、この子すごいなと。私は10年やっていても、いいのかなと思うことがあって」と、べた褒め。そこで、齋藤に劇中のセリフを実際に言ってもらうというムチャぶりもされたが、言ってみて齋藤は「何か違う(苦笑)」と、はにかむ一幕もあった。
最後に中野から「『蟲師』は永久に不滅です。またいつか」と、観客へメッセージを寄せ沸かせる。
長濱監督は、「原作は全部アニメになってしまったので寂しいです。できてしまいましたよね」と、しんみり。それでも、「次がやれたらいいなと思って、1期から今回の『続章』を始められたんです。それで『続章』が終わっても、また次をやろうと思っている。自分の中ではまだ終わっていない作品なので、また10年空けずに、『蟲師』でやれることをなんとか考えて行こうと思っています」と、続編への意欲を見せていた。
ほか、イベントでは本編で使われた鈴と候補になった鈴が抽選でサイン付きで5人にプレゼントされたり、長濱監督から、見応えあるパンフレットのPRなどがなされていた。
アニメ「蟲師 特別編『鈴の雫』」は16日より劇場上映中!