富野由悠季(73)が12月28日、都内でTBS系アニメ『ガンダム Gのレコンギスタ』スペシャル上映イベントに声優の石井マーク、嶋村侑、佐藤拓也、逢坂良太と登壇した。
少し眠そうな表情で登場した富野監督は現在、最終話近くの絵コンテを手がけている真っ最中ということで、「正直言って、今日ここに来なくちゃいけないことにホント腹立って。仕事終わんねえんだよ! 納会どころじゃねえんだよ! そんな心境です」と苦笑しながら告白。さらに「今ここで4人の声を直に聞かせてもらって、物語の展開が変わってくる」と衝撃の発言で会場をざわめかせた。
驚く一同に富野監督は「声の印象でとか物の言い方とかで、最終回で潰しちゃえ(となる)」とニヤリ。富野監督といえば『伝説巨神イデオン』や『Zガンダム』の衝撃的なラストシーンを描いてきたが、騒然とする会場に「うるっせえな! それができるのが私の立場なの!」と吠え、集まった観客の喝采を集めた。
「だってこちらの仕事遅れてて最終回のコンテ年明けなんだもん。だから気分次第」と明かす富野監督。その理由は「最終的な設定というのが出たのが10月の末。11月入っているんです。そこでシナリオベースにしたコンテを書いてきてアイデアを重ねてきたらどうしようもなくなってきちゃって。そしたら全部コンテ書き直し、シナリオ書き直し」と発言。「今全然予定立ってないです。Gレコは楽しい番組で終わらせたい、みんなハッピーになるように」と語りながらも「天国にいってもハッピーなんだからね!」と“富野節”を炸裂させていた。
興が乗ってきた富野監督は「昨日か一昨日、メインアニメーターの吉田(健一)くんと相談しまして『どうしようかね』と。メカデザインの安田(朗)くんという天才がいてね、我々のスケジュールをまったく無視したアイデアを出してきてそのアイデアを全部取り入れると、G-セルフ、絶対に誰も倒せないんだよね、ってなって。じゃあどうしようかねとなってた。昨日解決しました。最終回を楽しみにしてください! 全部ガラっと変えちゃったんだもん。だからこんなところで話してる暇ないんだって!」とハイテンションに胸の内を明かした。
一方で、作品の評判については「全然手応えないです。みなさんがたの熱いご支持をいただいておりまして心から御礼申し上げます…って言えばいいの?」と自虐的。「誰も褒めてくれないんです」と嘆くと紅一点の嶋村から「監督すごいです、いつもみんな褒めてますよ…ね?」とフォロー。「殴るぞ(笑)」と話す富野監督に客席は大きな拍手で称えた。
最後に監督は「おそらく人生でこんなに展開の早い1クールを作ったことはありませんので、お子さんたちを振り落とす気分。アニメとか映画ってこういうこともできるんだぞっていうサンプルを見せているつもりです」と双眸をギラリを光らせ「驚異的な展開をさせてもらいます。分からない子たちにはフォローしていただきたい。最近わかってきたのは小学生が一番理解しているようです、という情報もはいってきた。大人のみなさんもがんばって付いてきてください」と檄を飛ばした。
スクリーンでは現在放送中の“Gレコ”の年明け放送の15話『飛べ!トワサンガへ』が先行上映され、マスクことルイン・リー演じる佐藤は「マスクがないと落ち着かない」と笑いながら「話もだいぶ佳境に入ってきてほぼ毎週新しいキャラクターが出てきて、新しいモビルスーツが出てくる」とコメント。アフレコ前は緊張し不安だったという逢坂も「テストの時にやらせてもらったら、笑っていただいたのでこの現場は大丈夫と思いました。(クリム・ニックは)最初は高笑いというか、貴族っぽい笑いだった。テンション上がっちゃってヒャッハー! みたいな感じになりました」と微笑んだ。
主人公のベルリ・ゼナム役の石井は「うちのお父さんがガンダム好きで、フィリピンから日本に来た時もリビングにザクが飾ってあった。僕が決まったよと言うと、ふーんそうなんだぐらいだったけど、家に帰ったらG-セルフが立ってた。次の週にはもう1体。『塗装中なんだ』と言ってて、それでやっとこのお仕事認められたかなと思いますね」としみじみ語った。
アイーダ・スルガン役の嶋村は「兄がガンダム好きなんですけど、『お兄ちゃん、私決まったよ!』と言うと、『お前のセリフにギュッとこなければ嬉しくない』と言われました」と家族からの励ましを明かし、「これから元気のGを充電して、2015年を元気に迎えていただきたいと思います」と話した。
『ガンダムビルドファイターズ』でも仮面キャラを演じた佐藤は「本当にガンダムが好きで声優を志したので刺激的な年、忘れられない1年になりました。本当にこの1クール駆け抜けてきたな」と感慨深く語った。石井も「収録もうすぐで終わってしまうんですけど残りの回も全力で駆け抜けていきたい」と意気込んだ。