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子どもの“遠距離看病”実態調査!往復4時間以上62.4%が「毎日付き添い」、負担が家庭に重く

 現在、難病で苦しむ子どもの数は全国で20万人とも言われている。そして、病状が重く、難病になればなるほど、「適切な治療環境が整った医療機関」への入院が必要不可欠となる。その結果、「自宅と病院の距離が遠く離れてしまう」ことになる場合がある。

 距離が遠くなればなるほど、自宅と入院先との二重生活により、患者の家族たちは、「移動」「時間」「経済的」負担や離れて過ごすことによる精神的負担など、様々な負担が重くのしかかってくる。

 そこで、公益財団法人『ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン』(理事長 柳澤正義)は、病気と闘う子どもたちとその家族のための滞在施設『ドナルド・マクドナルド・ハウス』の取組みが、1974年にアメリカで始まって以来、世界で40周年となるのを機に、病気と闘う子どもと、その家族のための滞在施設への支援の必要性を広く伝えるため、子どもの入院実態に関する調査を実施した。

 子どもがいる男女のうち、「自分の子どもに入院経験がある」方は、37.5%(1万人あたり3755名)。その中でも、「自宅と病院の距離が2時間以上」と定義した場合の“遠距離看病”は、子どもが入院している家庭全体のうち2.1%が該当しており、実に50人に1人の割合だったことがわかった。

 “遠距離看病”経験の親へ「どの程度の頻度で付き添いましたか」と質問したところ、最多層は「毎日/週7日(62.4%)」、週平均は5.63日だった。ただし、「物理的に負担に感じたことは何ですか?」との質問では「移動距離(53.1%)」「時間/多忙さ(38.4%)」「経済的負担(31.4%)」を挙げた。

 また、“遠距離看病”層を含む“子どもの入院経験がある親”の82.7%が、「親が子どもに付き添いやすい施設の充実」を望んでおり、病児はもとより、その親・家族も含めた支援が必要だということがわかる。

 ■ドナルド・マクドナルド・ハウス子どもの入院実態調査について
 今回の調査では子どもを持っている方8万0767名から、無作為に「子どもの入院経験がある」家庭を抽出し、調査の対象とした。また、これら入院経験がある家庭に対し、さらに「自宅から入院先の病院までの距離」について尋ね、病院までの距離に応じて「0~1時間未満」(出現率90.8%)「1~2 時間未満」(出現率7.0%)「2時間以上」(出現率2.1%)の3グループに分け、各グループの258名ずつの母集団を形成。特に「2時間以上」のグループを“遠距離看病”の該当者として着目し、自宅から病院までの距離が遠いことで発生する影響を調査している。

 <調査概要>
 調査期間: 2014 年 11 月 27 日~2014 年 12 月 1 日
 予備調査対象:予備調査を80,767名対象に実施
 回答者属性:年齢30才以上、既婚、子どもありの男女
 調査方法:インターネット(マクロミルによる回答回収)
 集計サンプル数:774名(自宅と病院の距離のグループごとに、258名ずつ均等割り付け)

 予備調査の結果:37.5%の親が「子どもの入院経験あり」
 入院経験あり(37.5%)
 入院経験なし(62.5%)

 入院経験あり
 自宅から病院まで1時間未満(90.8%)
 自宅から病院まで1~2時間未満(7.0%)
 自宅から病院まで2時間以上(2.1%)

 子どもが入院したときの状況は…
 ・子どもは「未就学児」だった=76.0%
 ・「母親も働いていた」=35.0%
 (子どもの入院経験があるn=774が回答)

 調査結果1“遠距離看病”となる理由
 ■“遠距離看病”となる理由、「適切な治療のため」37.2%、「病院から紹介を受けた」50.4%
 「お子様の入院先として、その医院・病院を選んだ理由」を尋ねた結果は次の通り。比較的近距離にある医院・病院を選んだ家庭に比べ、自宅から病院までの距離が遠い家庭では、「その医療機関でなければ適切な治療が受けられないと指定されたから」という理由が多い。病状が重い、難病を罹患したなどの場合にこのような選択をする機会があると推測される。

 調査結果2“遠距離看病”家庭に生じる悩み
 ■付き添い日数は距離が長くなっても減少はわずか
 「お子様の入院時の付き添い日数」について尋ねた。自宅と病院の距離に関わらず、「毎日」付き添いをされていたという家庭が60%以上となっている。しかし、付き添い日数の平均値は自宅からの距離が遠くなると、わずかに減少する傾向が見られる。距離1時間未満グループに比べて週0.3日、月に単純換算すれば1日以上は少なくなっていると考えられる。

 また今回の調査では「理想として、本当はどの程度の頻度で付き添いをしたかったか」についても尋ねた。「毎日」付き添いたいとの回答が、遠距離看病の家庭は、そうでない家庭に比べて約5%低く出ており、遠距離看病が毎日付き添うという意欲を下げてしまう影響が推測される。

 ■遠距離看病でも、子どもとのコミュニケーションは「面会」が最多で72.9%。しかし、距離1時間未満の家庭に比べると14.3%のダウン。
 「入院中のお子様とのコミュニケーション手段」を尋ねた質問が下記。
 自宅から病院までの距離が2時間以上になっても、「面会」が「電話」・「メール」等の他の手段より圧倒的に多く、72.9%となった。親が子どもとの面会を大切にしていることが見て取れる。しかし、距離が「1時間未満」の家庭では「面会」が87.2%だったことから、距離「2 時間以上」の家庭では直接会う機会が減少してしまう実情がわかった。

 調査結果3 もしも子どもが入院したら
 ■子どもの入院時に起こり得る負担、「家に残された兄弟姉妹や他の家族」が全体で33.2%
 遠距離看病では「移動距離」「経済的負担」が増
 もしも子どもが入院したときには、どのような負担が待っているのか。下記は「入院時につらいと感じたこと」を挙げていただいた結果だ。
 多くの方が「子どもの病状自体」(全体,n=774で77.3%)と回答しているが、次に続くのは「病院までの移動距離」(全体で34.5%)、「家に残された兄弟姉妹や他の家族の負担」(全体で33.2%)となっている。子どもが一人ではない場合など、入院している子ども以外の兄弟姉妹へも負担がかかることがわかる。
 また、特に“遠距離看病”によって負担が重くなる項目としては「移動距離」のほか、「経済的負担」に回答の増加が見られました。

 調査結果4 子どもが入院するご家庭のために
 ■「親が付き添いやすい施設を紹介してあげたい」53.0%
 過去に子どもが入院した経験を持つ、今回の調査対象者へ「今後、経験者としてアドバイスしたいこと」を確認したところ、「親が子どもに付き添いやすい施設の紹介」(53.0%)、「家族の悩み相談を受けてあげたい」(40.1%)、「仕事や家事などの負担を減らすための協力」(28.0%)といった項目が挙がった。

 公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン(略称:DMHC)が運営する『ドナルド・マクドナルド・ハウス』は、“HOME AWAY FROM HOME(我が家のようにくつろげる第2の家)”をコンセプトに、遠隔地から入院している病気と闘う子どもと、その家族のために高度小児医療を行う病院に隣接して設置された滞在施設。

 世界37ヵ国342ヵ所(2014年11月末現在)に建設され、日本では北海道、宮城県、栃木県、東京都(3ヵ所)、愛知県、大阪府、高知県の9ヵ所で建設・運営されている。また、10ヵ所目となる施設が、2015年春、福岡に開設される予定だ。日本ではこれまで、延べ3万4749家族がハウスを利用している。

 また、日本マクドナルド株式会社は、付き添う父母の笑顔は病気と闘う子どもたちの元気や笑顔に繋がるという思いから、財団設立当初よりドナルド・マクドナルド・ハウスへの支援を、継続して行っています。

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