俳優の浅野忠信（40）と女優の二階堂ふみ（19）が30日、都内で映画『私の男』（監督：熊切和嘉／配給：日活）第36回モスクワ国際映画祭W受賞記者会見を行った。
邦画として新藤兼人監督の『生きたい』以来15年ぶりのグランプリである『最優秀作品賞』を受賞＆加藤嘉以来31年ぶりの最優秀男優賞を受賞した『私の男』。ロシアから運ばれたトロフィーを受け取った浅野は「とてもとても嬉しいです。こういう機会はあまりない。やってきてよかったな」とはにかみながら喜びを語った。受賞の理由を「ひとつひとつのシーンを徹底的にやったことを、もしかしたら見てもらえたのかもしれない」と話し、ずっしり重いトロフィーに「いい重みだな。家に置いといたら絶対に倒しちゃうと思うので会社できちんと飾っていただくと思います」と笑った。
これまでも多数の海外映画に出演し07年の『モンゴル』（セルゲイ・ボドロフ監督）ではチンギス・ハーン役として主演した浅野。「僕自身いろんな国の人たちととりくんで、日本映画でやるときも自分になりに受け止めてやってきた。世界中の人たちにこういう形できちんと評価していただいてほんとうに嬉しい」と話し「記者会見をやると聞いて“何を着ようか？”“これはご褒美にスーツを作るしかないな”と思いました」と語った。
同作のプレミア試写会（参考記事：浅野忠信、二階堂ふみと極寒のラブシーン「ふみちゃんに助けてもらった」）でも淳悟（じゅんご）役は「欲しかった役」と話していたが「自分の中でいろんなことを模索し個人的に抱えて悩んだ。それを活かす上でも、40代に再スタートを迎えたいという時にこの役に出会った。この役に存分にその思いを込めて、やる前からあふれる思いで役に向かった」と全身全力で挑んだという。
浅野は「監督にも生意気な態度を撮り続けたところもあるし、スタッフにもワガママを言ってた部分もある。決して気持ちのいいものではなかったと思う」と率直に明かし、「賞を頂いたときに自分の強い思いがあったことを噛み締めた。役に対してとことん向き合った。自分がムキになるぐらい熱くなった役だったので一番（評価が）欲しいところだった。これからは思いやりをもって接していかないといけないんですけど、ムキになって向かっていかないと伝わらないものもあるのかなと噛み締めたのを覚えてます」と真摯に語った。
台北からスカイプで会見に参加した熊切監督は「（受賞を）聞いたときはタクシーの中で大声で叫んでしまいました」と照れ笑い。浅野に「髪切りました？」と話しかけながら「男優賞を取るんじゃないかなという気がしました。僕も嬉しいです」と祝福。「本当に光栄なこと。これからより覚悟をもって1本1本丁寧に撮っていかないといけないな」と喜びの声を届けた。
また、報道陣から共演したお互いの印象を聞かれると、浅野は「ふみちゃんがいなかったら、淳悟はまったく違うことになってた。僕はふみちゃんがいなかったら（賞を）貰えなかった。とても感謝してます」と絶賛。逆に二階堂は「私はすごい小さいころに母が映画好きで、母と映画館に通っているうちに憧れが強くなってこういう道に。浅野さんがいっぱい出演されてて、なんて素敵な役者さんなんだろうと思っていた。憧れの映画人からお褒めの言葉をいただいてモスクワのグランプリと同じくらい嬉しいですし、光栄です」と微笑んだ。そんな二階堂はW受賞を母に真っ先に伝えたということで「（母は）『いつかは主演女優賞を楽しみにしてます』と言ってました。また頑張ろうと思いました」と浅野に続く活躍を誓った。
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