アニメーション「機動戦士ガンダムUC episode 7 『虹の彼方に』」初日舞台あいさつが17日、東京・新宿ピカデリーで開かれバナージ・リンクス役・内山昂輝、ミネバ・ザビ役・藤村歩、フル・フロンタル役・池田秀一、リディ・マーセナス役・浪川大輔、古橋一浩監督、ストーリー担当・福井晴敏氏が上映後に登壇した。
『逆襲のシャア』から3年後の宇宙世紀0096が舞台。地球連邦政府転覆の可能性すら秘めた『ラプラスの箱』をめぐり、ジオンの残党と地球連邦政府の思惑が錯綜し激しい激突が起こるなか、ガンダムUCを託されたバナージとミネバの『ラプラスの箱』を求める旅の結末が描かれる。その人気は全国35館上映にもかかわらず、ほぼチケットは完売するという熱狂ぶりとなっている。
episode 1から4年という歳月をかけ完結となる本作へ福井氏は、「私は小説から8年かかってまして、まだ誕生もしていなかった息子が小学2年生ですから、えらい長い時間がかかったと思います。けれど、こういう形で1つのシリーズを1点の妥協もなく作り切れたというのは、みなさんがご愛顧いただいたからです。感謝の二文字でそれ以外ありません」と、ファンへ謝辞を。
その一方で、古橋監督は、本作への作り込みへ、何か心残りがあるようで、「間に合わなかった。残念です」と、無念さを口にし、「ハードルが高くて消化不良がある方がいると思います。申し訳ございませんでした」と、ひたすら恐縮気味。それでも、福井氏がファンへ「大丈夫でしたよね?」と、呼びかけると場内からはエールともとれる拍手があふれ、これに感激した古橋監督は、「ありがとうございます!」と、深々と頭を下げた。
「この作品が始まったころ、僕は10代でした」と、語りだした内山は、「episode 7に来るまで23歳になりまして、劇中では約1ヶ月ですけど、現実の時間では数年経っている。そのギャップをどうするかという問題が壁としてありました。その壁は、『頑張る、頑張る!』ことで乗り越えました」と、しみじみ。
本作ではミネバの演説シーンがあるが、この部分が難しかったという藤村。「思ったよりリテイクは出なくて、ホッとはしたんですけど、手を差し伸べて、ミネバの顔がアップになるところがあるんです。そこで、台本のト書きには、『瞳がウルウル』と書いてあって、アフレコ当日までは分からなかったんです。それで、当日にバナージのことを思って瞳がウルウルして涙が流れそうということが分かって、涙を流しそうになりながら、ミネバの感情を乗せつつしゃべったところでした」と、力を込めていたことを明かしていた。
そして、「フル・フロンタルです」と、お茶目に切り出し笑いを池田。しかし、あいさつはそんな軽い雰囲気とは違い、「やっと終わりました。昔ファーストガンダムと呼ばれる作品で、その劇場版の舞台あいさつ…、ごめんなさい…」と、どのキャスト以上に感極まった姿を見せ、場内は静まり返ることに。そして、池田は瞳に涙をため涙声になり「この新宿でやらせて頂きました。あれかれ30有余年…。また、新宿であいさつをさせて頂いて、感無量です。本当にみなさんありがとうございました」と、万感の思いを口に温かな拍手が送られることに。
その後に続いた浪川は「この後ですか」と、苦笑いを浮かべつつ、「本編は約1ヶ月ということで、これだけの表情が変わる。いろんな顔を見せて頂いてとっても演じ甲斐がありましたし、参加できてよかったなとかみしめている次第ですね」と、感想を述べていた。
あいさつにはスペシャルゲストとして機動戦士ガンダムでは、ララア・スン役でおなじみの声優・潘恵子が登壇し、「私も待っていました。完結編本当におめでとうございます。お疲れさまでした」と、労うことに。「私も1巻目から見ていたのでどうなるのかなと、毎回毎回楽しみで、完結してしまうと次の楽しみがないです。ですから、福井さん、またお願いします!」と、福井氏にムチャぶりし、これに福井氏は、「なんとも言えないですね(苦笑)」と、ノーコメントだった。
最後に、内山が、「長い間、本当に応援頂き、ありがとうございました。人生でガンダムに乗るとは思っていなくて、激動の5年間でしたが、頑張ってやって来ました。episode 7まで来れたのは、みなさんのおかげでした」と、思いを口にすると、池田は、フロンタルの口調で、「『それでも可能性を信じて…』頑張っていきましょう!」と、力強く呼びかけた。
そして、古橋監督は、「機動戦士ガンダム30周年で始まりまして、今年35周年になりまして、お祭りで始まりお祭りで終わる作品になりました。初めてで不慣れな部分もありました。でも、5年間に少しはうまくなったかなと思います。お付き合い頂いてありがとうございました。感謝です!」と、思いの丈を口にし、福井氏も「テレビ局と一緒になって宣伝をかけて行ったということなく、作品を愛してくださるみなさんのおかげでここまで来た。ここ10数年のなかでは奇跡のような作品だと思っています。われわれはこれを糧にして次のことを考えていきたいと思います」と、次期作への期待を持たせるコメントを寄せていた。
「機動戦士ガンダムUC episode 7 『虹の彼方に』」は17日より6月13日まで全国35館にて、4週間限定でイベント上映スタート!なお、同日より、先行有料配信も同時スタートとなり6月6日にはBlu-ray&DVDが一般発売(発売元:バンダイビジュアル)される。
(C)創通・サンライズ
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■episode 7 「虹の彼方に」あらすじ
地球連邦政府転覆の可能性を秘めた『ラプラスの箱』の在処が遂に明かされた。
その場所は、事件の始まりの地、インダストリアル7の<メガラニカ>であった。
ビスト財団当主代行のマーサ・ビスト・カーバインは、財団権益を保持すべく、地球連邦政府中枢を担う移民問題評議会議長ローナン・マーセナスと、甥のアルベルト・ビストを伴ってシャイアン基地に直行し、事態の始末を図ろうとする。
一方、『箱』を奪取せんと先行したフル・フロンタルを追い、インダストリアル7に急ぐバナージだが、眼前にバンシィ・ノルンを駆るリディと、アンジェロのローゼン・ズールが立ち塞がる。
『箱』の守人、サイアムが待つ<メガラニカ>に到達する者は果たして――。