
歌手で女優の“まのえり”こと真野恵里菜(22)が22日、東京・東京ビッグサイトで開幕した「アニメ・ジャパン2014」で行われた4月5日より2週間限定で上映される主演映画『THE NEXT GENERATION-PATLABOR- 第1章』(総監督:押井守/配給:松竹メディア事業部)のイベントに、声優で俳優の千葉繁(51)、押井監督(62)らとともに出席した。
実写版オリジナルキャラクターの「三代目」特車二課の第二小隊・一班の操縦担当・泉野明(いずみのあきら)役を演じるまのえりは、「実写ということで、いろいろ不安な方もいらっしゃると思いますけど、私たちは三代目の隊員として、パトレイバー本来の良さを残しつつも、新しい世界観をみんなで生み出すことができたと思っています。これから全7章、来年の劇場公開に向けて、まだまだ特車二課の隊員として頑張るので応援よろしくお願いします」と、パトレイバーファンで埋まった会場に向けてアピールした。
『機動警察パトレイバー』は1988年以降、TVアニメ、OVA、コミック、小説、劇場版などメディアミックス展開の先駆けとなった作品。その誕生から25年。完全オリジナル新作での実写化第1章として、4月5日より2週間限定でイベント上映される。それから来年1月までに第7章のイベント上映とGWに長編劇場版を順次上映していくというビッグプロジェクト。
20世紀末、ロボットテクノロジーの発達により登場した汎用人型作業機械「レイバー」(二足歩行ロボット)は、軍事、産業とあらゆる分野で急速に普及していった。それに伴い急増するレイバーによる事故や犯罪に備え、警視庁は特科車両二課パトロールレイバー中隊(通称:特車二課パトレイバー)を設立した。
そして、21世紀、長期不況により、手間とコストのかかるレイバーは、動かせば壊れる無用の長物となっていた。運用経験の継続の名のもとに、かろうじて存続している特車二課は延々と続く待機という名の怠惰な日々。そこにくだる久々の出動要請に色めき立つ隊員たち。工業用レイバーのクラタスを相手に、見事、華々しい成果をあげられるのか・・・。特車二課存続問題が見え隠れする中、奮闘する「三代目」の活躍を描く新シリーズ。

イベントでは冒頭、スターチャンネルで放送された初代から『THE NEXT GENERATION-PATLABOR- 第1章』に至るまでの特車二課の歴史を描いた『エピソード0 栄光の特殊二課』が15分のみ特別上映。『機動警察パトレイバー』のキャラクターたちの“その後”が、整備班班長・シバシゲオによって語られるシーンや、きびきびとした動きで行われる整備班の朝礼、操縦担当の泉(真野恵里菜)と班長・シバ(千葉繁)とのやりとりなど、会場に集まったファンたちは、ナニカへの胎動を感じさせる展開に、ワクワク感に満ちあれる。
さらに、上映終了後、主人公・泉野明役のまのえり、総監督の押井守、アニメシリーズでは声を担当し、実写シリーズでは俳優として出演と、アニメと実写をリンクさせる重要なキャラクター・シバシゲオを演じる千葉繁の3名が登場。
「こんちわー!」と、パトレイバーファンにとっては聴きなれたシバの大声で、勢いよくあいさつする千葉に、会場から「こんちわー」と、元気なリアクションと拍手が沸き起こる。トークのとっかかりとして、押井監督に「どういう思いで作られたのでしょうか」と、MCが質問すると、「それを話し出すと、時間いっぱい使っちゃう。あちこちで話してますので」と、押井監督らしいトークに、会場からも笑いが起こる。
とはいえ、押井監督は、「アニメの主人公と違う世代を描きたいということと、実写ですので、その方が役者さんにも無理がない」という2つの理由から今回のシリーズ制作を決めたこと。テレビアニメとは別の世代の話であるということが「理解できるようにプロローグとして作った」と、説明した。
実写化の話を聞いたときの気持ちを千葉は、「『おお、やっときたね!』って感じでしたね」と、大声のオーバーアクションで表現すると、キャストも会場からも笑いが起きる。
冷静な声に戻して、「このお話は、けっこう前からそれとなく聞いてはいたいんですが、アニメやっているころから、早く実写にならないなかな、実写にならないかなと、願っていたんですね。ですから。このお話を正式にいただいたときに、鳥肌立ちましたね。やっと来たかぁーッと、本当にうれしかったですね」と、シバ口調を入れながら、その時の感動を表現する。

全長8メートルのレイバーを操縦する実写版オリジナルの主人公・泉野明(いずみの・あきら)役を演じるまのえりは、劇中の衣装で登場。キャラクターについて、「私が出会ってきた役の中では、一番等身大の女の子だなと思いますね。個性が強い隊員の中では普通の女の子なんです。レイバーが好きで、それを叶えるために特車二課にやってきて、他の隊員たちは、個性が強いキャラクターが多いんですけど、アキラは普通の女の子なんだなぁと。やってて、どんどん好きになりました」と、思い入れを明かした。
実写ならではのこだわりを聞かれた押井監督は、「・・・急に言われてもちょっと思いつかないんですけど、実写だったらこう撮るだろうということを考えながらアニメを作っていたので、(シリーズの)後ろに行けばいくほど、そういう気分だったんですよ。パート2(『機動警察パトレイバー2 the Movie』)とか、ほとんど実写で撮ることを最初に考えて作った作品でもあったので、特に今回実写だからああしようということはなかったですね」と、飄々と語る。
しいていえば、「パトレイバーを実際に作りたかった。実際のパトレイバーを観たときに、やっぱり実写だよなと。やっぱり本物作んないとダメだよなと思った。あと、6人の隊員が揃ったときですかね。この6人の隊員と半年やるんだという感慨はありましたけど。千葉さんを見た時、まんまですから。アニメも実写も変わらないので。千葉君は、アニメと実写を繋ぐキャラクターですね。アニメキャラクターを背負ってというよりは、6人の隊員としてイメージできましたので、さっき千葉君もいってましたが、『やっときたか』という感じでしたから、現場に入っても違和感なかったですね」と、冷静に語る。
また、「パトレイバー」シリーズといえば川井憲次氏の音楽だが、今回は、川井氏の音楽を使用した2分間のオープニング映像も世界で初めて初公開された。
オープニングを見た千葉からは「いやーいいですね……これを見るといよいよだな、いよいよ皆さんに見ていただけるんだなという気持ちが高まってきますね。川井さんの曲が大好きです。元気が出ますね!」と、気分の高揚感を伝えた。

MCが、「実写版パトレイバーの音楽も川井さんにお願いしたというのは、監督の要望だったんでしょうか?」と問うと、押井監督は、「いやもう。最初から決まってましたね。これは川井君以外誰も出来ないでしょう。僕が頼む前から決まってましたから」と、押井監督らしい口調で応える。
締めのあいさつで押井総監督は、「千葉君もいったんですが、『やっとだ』という感じです。撮影自体、半年あって、大変つらい撮影もあったんですが、楽しかったですね。やっと思いが叶ったというのと、僕が考えた以上に面白いことも出てきたので、いまはスタッフよく頑張ったなという思いで1倍です。半分沈下熊で作業が終わって、そろそろ映画の仕上げに入ろうかなという思いです。今年1年間、パトレイバーにつきあうことになりそうです。大変楽しい作品になってますので、ぜひご覧になってください。ただ、大変な手間暇とお金をかけているので、モニターで見るのはもったいないかな。映画館で見ると3倍ぐらいは楽しめます。ぼくは両方確認したんですが、映画館のスクリーンで見てもらったほうが楽しいですね。ぜひ、映画館でごらんになってください」と、劇場での観覧を薦めた。
千葉は『パトレイバー』シリーズでおなじみの、「ハイパーテクノロジーの急速な発展とともにあらゆる分野に進出した汎用人型作業機“レイバー”。しかしそれは、レイバー犯罪と呼ばれる新たな社会的脅威をも生み出すことになった。連続するレイバー犯罪に警視庁は本庁警備部内に特殊車両二課を創設して、これに対抗した。通称パトレイバーの誕生である。そして、きたる2014年4月、待望の出動命令が鳴り響く。『THE NEXT GENERATION-PATLABOR-』三代目、出動せよ!」と、オープニングナレーションを名調子で読み上げると、会場からは拍手喝采が響いた。
最後にまのえりは、「やっと完成して、みなさんの元に届くんだなと思うと、不安もありつつ楽しみのほうが大きくて。実写ということで、いろいろ不安な方もいらっしゃると思いますけど、私たちは三代目の隊員として、パトレイバー本来の良さを残しつつも、新しい世界観をみんなで生み出すことができたと思っています。監督もおっしやいましたが、劇場の大きいスクリーンの方で見ていただけたらなと思っております。これから全7章、来年の劇場公開に向けて、まだまだ特車二課の隊員として頑張るので応援よろしくお願いします!」とアピールしていた。
『THE NEXT GENERATION パトレイバー』は4月5日より第1章の上映開始。2015年1月にかけて第7章までイベント上映され、2015年GWに劇場版長編が公開される。
また、パトレイバーブースには、全長約8メートル、重量約6トンで、手足などは稼働しないが、頭部は上下に動く実物大の98式イングラムが、寝ている状態(レイバーキャリアに乗せられている状態)で展示されている。これは、会場が、高さ8メートル以上の展示物を設置できないため。












