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役所広司「ぶっ殺してやる!」など狂気のブッ飛んだ父親挑戦で「役者冥利に尽きる」

役所広司「ぶっ殺してやる!」など狂気のブッ飛んだ父親挑戦で「役者冥利に尽きる」
役所広司が狂気の父親役に挑戦した

 俳優・役所広司(58)、女優・小松菜奈(18)が6日、都内で開かれた『GAGAラインアップ発表会2014』で映画『渇き。』(監督:中島哲也/配給:GAGA)舞台あいさつを中島監督とともに行った。

 『下妻物語』や『告白』などを手がける中島監督最新作。第3回『このミステリーがすごい!』大賞に輝いた作家・深町秋生さん原作の『果てしなき渇き』を映画化。失踪した娘・加奈子(小松)を捜し求めるうちに、徐々に“闇の奥”へと向かっていき、常軌を逸した狂気の行動を始める元刑事の父・藤島(役所)を描いたバイオレンスファンタジー。あいさつ前に流されたPVでは、役所の「ぶっ殺してやる!」など過激なセリフもあったりと、相当にブッ飛んだものを伺わせている。

 中島監督から、本作を作ろうと思い立った理由について、「役所さん演じる父親、藤島が娘を探す話なのですけど、本当に凄く酷い人間で、長所がまるでないんです。ここ最近の日本映画で、こんなに酷い人間出てきたことないんじゃないかというぐらい酷い人間。娘を探しているのですが、娘への愛情が一かけらも無い。その男が本当に傷つきボロボロになりながら、だんだん娘に対する想いを自分の胸の中に見出していく、その過程が原作を読んでいてハラハラドキドキしました。主人公の藤島という男に物凄く興味を持って、この男の映画を作りたいなと思ったのが最初です」と、題材を選んだ時の思いを。

役所広司「ぶっ殺してやる!」など狂気のブッ飛んだ父親挑戦で「役者冥利に尽きる」

役所広司「ぶっ殺してやる!」など狂気のブッ飛んだ父親挑戦で「役者冥利に尽きる」
 

 続けて、映像不可能と言われた本作へ挑戦したことへ、中島監督は、「現実と3年前が同時進行で進むんですが、これを映画にした場合どういう映画になるのかっていう自分自身興味がありましたし、きちんと映像化できれば、今までにない相当新しい映画となって、面白くお客様に観て頂けるんじゃないかなと思いました」と、熱を込めた。

 脚本ができあがるまで半年を擁したという中島監督。「脚本ができたときはホッとしたというか、脚本ができた段階で『もういいや!』と思いました。こんな酷い話に誰もお金出してくれないし、誰も出てくれる訳がないと諦めて、自分の中では脚本にして『これは封印せざるを得ない』と思っていたら、GAGAという会社がお金を出すよと話をして頂いて(笑)。それで駄目元で役所さんに台本を読んでいただいたら、『これ面白いから出るよ!』との返事をいただいて、とんとん拍子に映画化が決まりました。自分自身、本当にビックリしてます」と、率直な感想も。

 「ヒドイ」と中島監督が連呼する藤島を演じることになった役所だが、「『パコと魔法の絵本』以来、忘れられてなくて声をかけて頂いて、本当に嬉しかったのと、中島監督の作品には酷い人間がたくさん出てきますけど、中島監督作品の中でもNO1に最悪な男をやらせていただいて、役者冥利に尽きる感じです」との思いからの本作への出演だったのだとか。

 藤島という男について、役所は「喋る事、やる事は単純な男なのですが、心の中が物凄く複雑で、自分で壊してしまった家族に対してどういう気持ちでいるのか、娘に対してどういう気持ちでいるのか、この男の中のどこに愛情があるんだろうなど、本当に複雑な男なのでその辺りが難しかった部分でもあり、挑戦のしがいがある役でした」と、演じてみたことを踏まえてしみじみ。

役所広司「ぶっ殺してやる!」など狂気のブッ飛んだ父親挑戦で「役者冥利に尽きる」
 

 一方のオーディションで本作ヒロインを勝ち取った小松は、「中島監督は恐いと聞いていたので、オーディションでも恐いのかな?と思いましたが、私はずっとモデルをやっていて、モデルの事を話してと言われて、自分の今までやってきたことをすんなり話せて、オーディションというより面談みたいな感じがあり、リラックスしてできました」というと、中島監督は「緊張しているらしいのですが、そんなふうに見えない、図太く見えるところがあるんですよ」と、相好を崩す。

 そんな小松に中島監督は相当に惚れ込んでいるようで、「『加奈子役はこの人しかいない!』と思いましたし、彼女に出会えたことで自分の中でもハッキリしなかった加奈子像が見えました」と言わしめるほど。撮影時にも、「僕はとくに優しかったと思います。1回練習をやるたびに『バナナマン』の日村のフィギュアを毎回あげたりして、彼女が『映画に飽きてもう来ない!』って言わないように必死でした」というエピソードもあったほどだったという。

 小松も、「会う前は凄く怖くて、撮影中もイジメられて怖いんじゃないかと思って、撮影に行っていたんですけど、日村さんのストラップとかもくれて、面白い方で全然厳しいと思わなかったです」と、笑み。

 そんな小松に役所がどんな感じだったかと質問が飛ぶと、「本編ではひどいお父さんですが、役所さんから優しく声をかけて頂きました。その時に、自分の気持ちが楽になって、ちゃんと演技することができました」と、紳士的だったと回想。それでも、役所は、「一緒の撮影は1日だけだったんですけど、そのシーンが小松さんの首を絞めたり殴ったり、変な気持ちになるような演技だったので、あんまり撮影前に優しくして、豹変すると悪いなと思っていたんです」と、当時の心情を吐露しつつ、「新人ならではの初々しさと、透明感のある姿が残っています」と評していた。

 中島監督も、小松の現場の様子について語りだし、感極まって涙していたときのことを、「わざわざ僕の隣に椅子を持って来て泣くんですけど、僕の横で泣かなくてもいいと思うんですよ。まるで『お前のせいだ!』って感じで」と、笑いながら振り返る。続けて、「でも、泣いたのはその1回だけで、あとは幾ら『こんな撮影嫌です』って言っても仕方の無いような状況を作っても、新人の女優なのに伸び伸びと、いつも笑顔を忘れず現場に居てくれたので本当に助かりました。出演者の半分くらいの人とキスシーンがあって、國村隼さんともキスシーンがあるのですが、頑張ってくれました」と、新人女優にはハードな撮影だったことも交えて明かしていた。

 役所から「本当に魅力的な俳優さん達がたくさん出ております。善人は出てこないのですけども、それぞれの俳優さんたちが普段はできない悪い持ち味を生かして伸び伸びと演じております」とアピールがあった映画『渇き。』は7月よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国ロードショー!

役所広司「ぶっ殺してやる!」など狂気のブッ飛んだ父親挑戦で「役者冥利に尽きる」
役所広司
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小松菜奈
役所広司「ぶっ殺してやる!」など狂気のブッ飛んだ父親挑戦で「役者冥利に尽きる」
中島哲也監督
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