ナレーターに俳優・浅野忠信（40）を迎え、2月14日から2月16日まで、東京・池袋「東京芸術劇場プレイハウス」にて上演される、ストリートダンスユニット『DAZZLE』の新作公演『二重ノ裁ク者』の取材会が28日、東京・渋谷「クラブクアトロ」で行われた。10人のメンバーが新作の触りの部分を特別パフォーマンスした。
今回の作品は物語の大部分をナレーションで展開するため、ナレーターは非常に重要な役割を負うことになる。そこで、脚本を担当する飯塚浩一郎は、「僕は脚本を書くときに、誰がその世界の中で生きているんだろうと思い浮かべた方が書きやすい。浅野さんと親交が元々あり、浅野さんがピッタリだなぁ」と思い、以前から親交があった浅野に依頼したところ、快諾を得たという。
飯塚は、現在も普段は大手広告代理店に勤務しており、「数年前に浅野さんとご一緒したのが始まりです。海外の撮影で一緒に過ごす時間があったんです。その時、浅野さんはハリウッド映画の出演でアメリカにいました。そのころ、DAZZLEも韓国公演を終え、ルーマニアに行こうとしていいた時期でした。そこで、芸術やエンターテイメントの世界を話しているうちに親しくなり、その場でDAZZLEのDVDを手渡しました」と、浅野との知り合った経緯を話す。
その後、会ってはいないそうだが、「どこまで見ていただいたかはわからないんですけど、オファーをしたら快諾していただいたので、気に入っていただけたんだと思います」と、苦笑いした。
飯塚は、「浅野さんは、映画など“映像の人”で、「舞台はやらない」と断言されていた。それに対して、僕は“舞台の人”。舞台は、お客様に向かって力を発散する力が強いが、映像は、人を惹きつける力が強い。浅野さんの声でどのように見えるのか、DAZZLEとの融合が楽しみ」と、期待を寄せる。
また、主宰で演出を担当する長谷川達也は、「彼の独特な声がDAZZLEの世界観と相まって、すごく魅力的な作品になるんじゃないかな」と相乗効果に期待。
『DAZZLE』は、総合演出を務めるダンサーの長谷川達也（37）が、1996年に大学生のダンスサークルとして、気の合う仲間4人、5人でスタート。ストリートダンスとコンテンポラリーダンスを融合させた世界で唯一のオリジナルダンススタイルを追求している。
「すべてのカテゴリーに属し、属さない曖昧な眩さ」をスローガンに掲げ、独創性に富んだ作品を生み出し続けている。ダンス、芝居、ミュージカル、アスリートファンまでも魅了するステージはエンターテインメント界の新しい潮流を生み出している。
日本で数々の賞を受賞したばかりか、海外公演も積極的に行い、SAMJOKOアジア演劇祭（2010年・韓国）、世界三大演劇祭の一つであるシビウ国際演劇祭（2011年・ルーマニア）、中東最大の演劇祭であるファジル国際演劇祭（2012年・イラン）で『花ト囮』を上演。全観客がスタンディングオベーションをする熱狂を巻き起こし、ファジル国際演劇祭では審査員特別賞・舞台美術賞の二冠獲得した。
現在、正式メンバーは平均年齢32～33歳の9名だが、舞台ではボリュームをだしたいということで、後輩やダンスをやっている仲間たちがサポートメンバーとなっている。
長谷川は、「今回の作品では、ストーリーだけでなく、音楽と映像、照明がシンクロさせ、そこにメンバーのダンスが加わるという試みも行います。ダンス公演を見たことがある人でも、見たことがない人でも楽しんでもらえると思います」と、アピールした。
【ストーリー】人口増加による危機に直面する国家を救済するため、クーデターにより政権を握った独裁者。その政策は50歳以上の者たちの追放と、悪疫をもたらす他民族の粛正。誰もが正しいと思いながら殺人を繰り返していく。やがて世襲によって権力を得た息子は、支配者としての責任と、ひとりの人間としての心の声との間で葛藤する。「親と子」「教師と教え子」という関係における「愛」や「教育」の洗脳性が浮き彫りになり、人間の本能と理性のあり方が問われていく。
同舞台は、2月14日～16日まで、東京・池袋「東京芸術劇場・プレイハウス」にて上演。
