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中村蒼「前向きだけではなく、後ろ右も左を見て欲しい」

中村蒼「前向きだけではなく、後ろ右も左を見て欲しい」
会場の同世代の大学生へ呼びかけた

 俳優の中村蒼(22)と佐々部清監督(56)が14日、都内で映画『東京難民』(監督:佐々部清/配給:ファントム・フィルム)の大学生限定試写トークイベントを行った。

 どこにでもいる大学生だった時枝修。彼は父親が借金を抱え失踪してしまったことをきっかけに雪崩を打って人生から転落する。授業料の未払いで大学を除籍され、住んでいるアパートからも強制的に退居。ネットカフェに泊まりながら日雇いの仕事で食いつなぐ…現代に生きる若者たちを真正面から描く衝撃作がいよいよ公開する。

 時枝を演じた主演の中村は大学生が集まった会場に「年が近い人が多いので緊張しますね」と登場。作品について「ネットカフェ難民とか知ってはいたんですけど、今までどこか別世界のこと、自分には起こらないだろうなと思ってました」と振り返り「全然自分にもあるなと思いました。僕は全然勉強はできないし、この仕事をとったら何の資格もない。危機感を持つようになりました」としみじみと語った。

中村蒼「前向きだけではなく、後ろ右も左を見て欲しい」
中村蒼

 演じた時枝について「前半のシーンは基本的にひとりでお芝居をしているんですけど、なにもかも人のせいにしているその時が一番精神的にキツかった。後半は状況は過酷になっていくんですけど、心は満ちてきているんですよ」と明かした。そんな中村に、佐々部監督は「初めて会った時は『せめて髪の毛ぐらいはきちんとしてこい』というぐらいボサボサ」と笑いながら「50代の僕が20代の若者を撮る時に、この役は掴みどころが無いほうがむしろ撮りやすいと思ったんですね。22年間生きてきた中村蒼を投影してくれ、と。等身大の中村蒼と、時枝修をダブらせたかった」と背景を語った。

 現代の日本が抱える問題にフォーカスした作品だが、佐々部監督は「まさに僕の現状が東京難民と近い。(昨年の)10月以降まったく無職な社会人ですから。家族もいて、子供もいて、どこに行けば次の作品に繋がるか探している」と告白。同じ世代が集まった会場に中村は「僕と同い年の人は社会人1年目。みんな『こうなりたいからこの会社を受ける』という友達がいなくて、みんな『上手く合格したら嬉しい』という感じだった」と話すと、会場の大学生もうなずいていた。

 最後に中村は「生きてるって基本大変。周りと比べるとどうして自分にはドラマチックなことが起きないんだろうとか考える。でも温かいお風呂に入って気持ちいい、ご飯が美味しいとかに気づくと平凡だと思っていた毎日がキラキラする。前向きだけではなく、後ろ右も左を見て欲しい」と呼びかけた。

 『東京難民』は2月、ロードショー。

中村蒼「前向きだけではなく、後ろ右も左を見て欲しい」

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