女優・坂井真紀(43)、俳優・井浦新(39)が19日、都内で行われた12月1日スタート(全4話)のWOWOW連続ドラマ『かなたの子』(日曜日・午後10時~[第1話無料放送])の完成披露試写会に大森立嗣とともに登壇した。『対岸の彼女』『八日目の蝉』などで知られる直木賞作家・角田光代さんの短編小説集『かなたの子』が原作。第40回泉鏡花文学賞を受賞した。
ドラマにちなみ、それぞれのトラウマを告白した坂井と井浦。「小学校の時、プールの授業で脱いだパンツがなくなり、ノーパンで授業を受けた」話を恥じらいながら告白する坂井に対し、「2人のシーンでしゃべっているところはビビりながら芝居している」と、語った。
1泊2日の富士登山ツアーに偶然集った参加者たちは、それぞれが過去の「闇」を抱え、救いを求めるように山頂を目指していた。取り返しのつかない過去、罪の意識にさいなまれながら、山道を一歩一歩進んでいく。過去に闇を抱えた人々はどうすれば前を向いて生きていけるのかを描くヒューマンドラマ。
世界遺産に登録されて以後、富士山で行われた初のテレビドラマロケ。実際に、最も過酷とされる富士山の御殿場ルートから頂上まで登りながら撮影が行われた。
監督は、「9月にいったんですけど、9月の頭は天気いいはずと言われた、(キャストの)永瀬(正敏)さんが来たら台風が来て、去ったら台風も去っていった。その間、小屋の中に閉じ込められていて、スケジュール調整でケンカしている人はいるは、スタッフと役者がぐっちゃぐちゃ。20年映画をやってきて一番きつかった」と、振り返った。
井浦は、「雑魚寝でした」と、笑いつつ、「かなたのポスターは、その嵐の真っ最中に、3000メートルの山小屋で撮った」と、説明した。
坂井は、「10日間、登っては降りるの日々」の中で、本当に自然は怖いなぁと思った出来事があったと言う。「途中何回か撮影が中止になったけど、そのときも『撮影を止めて、一刻も早く降りたほうがいい』ということになり、下山していたら、ものすごい風が吹き始めて、自分の命は自分で守らなければいけないような状況に。前を歩いていた伊佐山(ヒロ子)さんが止まっているのが精いっぱいで、転がってしまうんじゃないか。何かあったらドラマ中止になるんじゃないかということを想像したくらい怖い自然だった。命懸けでした……」と、一歩間違えれば大参事という状況でのロケを振り返った。
井浦も、「富士山の下まで持っていかれるんじゃないか」と、思ったそうだ。そんな過酷な撮影だったが、「富士山の300メートルをベースにして、登って降りてを繰り返しているから、御殿場ルートかなり詳しくなりました。これまで、富士山に登るというところでは興味持っていなかったんですけど、いい機会で撮影で登って、いい経験できた。登ってみないと分からなかったことがたくさんありました。霊峰富士といわれる由縁がわかった。めまぐるしく天気が変わる。過酷なんですけど、雲が恐竜や魚に見えたり」と、だんだん楽しくなっていったという。
ドラマにちなみ、司会者から重い過去について聞かれた坂井は、「小学校の時に、プールの授業が終わって着替えようとしたら、脱いだパンツなくなった。なくしたとか言えないから、1時間ぐらいパンツはかないで授業受けていて家に帰るまで、パンツはかないのかと思っていたら、机の横に落っこっていて、あってよかったなというはなし。以来、プールとかで脱ぐたびに、絶対になくさないように、すぐに分かるところに確かめて置いています」と、苦笑い交じりに恥ずかしそうに告白した。
井浦は、「隣にいる坂井真紀がトラウマな存在」というと、坂井はビックリしたような顔で苦笑い。その理由について、「戦友みたいなもので、目の前で芝居しているとつい、遠山(08年公開映画『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』の遠山美枝子役)と言いたくなる。真紀さんも、熱いものを内側に持っていて、見せないふりしてるけどあふれちゃっている。自分はうまくできている方。温度近くて触発される。真紀さんの芝居の熱量すごいから、いままでやってきた流れを大切にしながら、ぶつけあってキャッチボールしながら、すかして、ぶつかって。2人のシーンでしゃべっているところはビビりながら芝居している」と、飲み込まれないように、真剣勝負だという。
最後に、坂井は、「1話は始まりの始まり。2~4話でまとめて一つの話なので、最後まで観ていただきたいなぁと。(豆田)日都子の役を演じて、人を助けられるのは人しかいない。それを忘れちゃいけない。諦めちゃいけない」と、アピールした。
同ドラマは、WOWOWで12月1日より毎週日曜夜10時~放送(全4話のうち、第1話のみ無料放送)