舞台『銀河英雄伝説 初陣 もうひとつの敵』(演出:大岩美智子)公開ゲネプロが1日、東京・日本青年館で開かれた。
作家・田中芳樹による1982年から5年にわたって刊行され累計1500万部の売上を誇ったスペース・オペラ作品。過去、河村隆一、中川晃教らといったメンバーで数度舞台化され、いずれも人気を誇っている作品だ。
本舞台は専制君主制の銀河帝国と“常勝の天才”ラインハルト・フォン・ローエングラム(間宮祥太朗)と民主共和制をとる自由惑星同盟の“不敗の魔術師”ヤン・ウェンリー(田中圭)が出会う前に起こった第五次イゼルローン要塞攻略戦が描かれる。皇帝から寵愛を受けるラインハルトの姉であるアンネローゼも巻き込んだ背景的事情も丁寧に描かれており、謀略渦巻く帝国内の内情とともにラインハルトの栄達していく姿などは、人物的魅力が好きな原作ファンならずとも楽しめる作品に仕上がっている。
若き日のラインハルトとジークフリード・キルヒアイス(橋本淳)の初陣の中での謀略による暗殺者との戦いなど、激しいながらも優雅な殺陣シーンや、舞台いっぱいのスクリーンで表示される艦隊戦などは圧巻の様相となり、観る者を銀河英雄伝説の世界に引きこむ工夫が満載となっている。
終了後には間宮、田中、橋本の3人による囲み会見が開かれ、同日に迎える初日公演へ間宮は、「稽古ではセットと絡むのがなかったけど、ゲネやった感じで危険なところはなかった」というと、田中も「凄いスムーズだったので、そこに気持ちを載せていれば、芝居は稽古で作っていますし、お客さんも入ると空気感も変わると思います」と、準備は万端な様子を見せる。
田中演じるヤンの舞台に出ている時間は少なめなため、田中は「これまで自分の舞台を客観的に観たことがあまりなかったんですけど、客観的に見ることができてます」といい、これまであまり同じ舞台に立つことのなかった事務所の後輩の間宮に「裏でこうやった方がいいよとアドバイスしてますね」と、裏方にも入っているのだとか。
橋本が「楽屋に居座ってますよね」と、明かし笑いを誘うと、間宮も「自分のシーンじゃなくても言ってくれて、優しい感じでした。楽屋にきてくれるのは嬉しいです。きのうも、楽屋が会場に移ったのでここに『圭さん来るだろうね』と言っていたらすぐ来てました」と、後輩思いな一面も見せているという。
間宮が本作で気に入っているのは殺陣だそうで、「裏で流れているのがクラシックでやっていて気持ちがいいという感じで」とはにかみつつ、「上品でいながら美しくもありという感じです」と引き締めることも。ラインハルトへは、「間宮祥太朗に持っていないものを持っているので、魅力的だなと思っています」と、思いを。
本作でも人気のキャラクター・ヤンを演じることに田中は、「あんまりヤン・ウェンリーに対する知識を持たずに臨んで、台本を読んで脚本を見て作って、その後に、資料を見たりとかしました。人気があるキャラクターだからといって、モノマネをする気はないので、みんながイメージするヤンとかけ離れないところでヤンがあればいいと思っています」と、自身の演技を語ってた。
また、現在、芸能界では歌手の土屋アンナ(29)が主演予定だった舞台が中止となるなど騒動となっているが、このことについて質問が飛ぶと、これにもしっかり対応し、田中が「間宮祥太朗がしっかり座長をしていて、間宮を信頼してお芝居を作っている。素敵な座長だなと思っています。僕ぐらいですついてかないぞと思っているのは」と笑う。
間宮も原作の田中氏をインタビューをしたときのことを語り、「小説が息子に当たるわけで、そこからアニメ、舞台とあるのですが、『(舞台は)孫だ。僕は孫の教育に口を挟むつもりはない。孫は孫は健やかに自由に楽しく育ってくれて、誰かを楽しませたら素敵なことじゃないか』と言ってくれて、その言葉をありがたく感じてやっている次第です」と、しみじみと語っていた。
舞台『銀河英雄伝説 初陣 もうひとつの敵』は8月1~6日まで同所にて全8公演で上演!