米アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭『ショートショートフィルムフェスティバル & アジア 2013』のアワードセレモニーが9日、都内の明治神宮神宮会館で行われた。
今年で15周年を迎える同映画祭。自ら立ち上げ、実行委員長をつとめる俳優の別所哲也(47)は「今年で15年を迎えました。『なんで俳優が映画祭を始めるんだ、しかも短編映画で』と言われ、変わり者だと思われていましたが、15年の間に一緒にツノをつけてくださる方が、この会場にもたくさんできました」と感無量。「ショートフィルムは映画の原石。俳優としても人間としてもたくさんのことを学びました。映画も人生も起承転結より奇想天外の方が面白い。それがショートフィルムです。もっともっと語り合いましょう」と呼びかけた。
世界各国から集まった4538本の作品の中からグランプリに輝いたのはイギリスのガブリエル・ゴーシュ監督の『人間の尊厳』。失業問題をテーマにした作品に審査員を務める宝田明(79)は「演出、脚本、俳優、すべてが素晴らしい。申し分ない」と絶賛。『インターナショナル部門』の優秀賞にも選ばれたゴーシュ監督は「ウレシイ」と日本語で喜びを語りながら「衝撃で言葉が出てきません…俳優、プロデューサーら全ての人に感謝します」と感激した。
惜しくもグランプリは逃したが『アジア インターナショナル部門』にはイランのティナ・バクラバン監督による『私の街』。『ジャパン部門』には東京大学を卒業後シンガポールのニューヨーク大学で映画を学んだ田中希美絵監督の『寿』がそれぞれ受賞した。審査員のアミール・ナデリ監督は「(イスラム教圏のイランで)イランの女性監督が受賞したということは私にとっても大切なこと」とバクラバン監督を祝福。女優の成海璃子(20)は「本当におめでとうございます」と田中監督を称えた。
各賞の審査は紛糾したということで、原田眞人監督(63)は「審査員が変わると、受賞作も別の作品になったと思うほど拮抗していた」と振り返りながら「しかし、審査員の一致した意見は日本映画はダメだということ。全体を通じて日本部門が弱かった。毎年恒例のことらしい」と苦言をていした。
グランプリに輝いた『人間の尊厳』は来年の米アカデミー賞短編部門のノミネート作品に選ばれるほか、コンペティション部門の優秀賞に選ばれたゴーシュ監督、バクラバン監督、田中監督は東京都の支援のもと“東京”をテーマにしたショートフィルムを作成する。
また、映画祭には審査員をつとめた女優の岸本加世子(52)、モデルの森理世(26)、司会をつとめたクリス・ペプラー(55)、LIZA(23)、歌手のAI(31)、俳優の斎藤工(31)、でんでん(63)、タレントのなだぎ武(42)、ガレッジセールのゴリ(41)、叶姉妹、LiLiCo(42)、元NHKアナウンサーの堀潤(35)ら多数のゲストが来場した。