アーティスト・ファンタジスタ歌磨呂氏とフォトグラファー・蜷川実花が26日、東京・TSUTAYA TOKYO ROPPONGIで『ファンタジスタ歌磨呂×蜷川実花 スペシャルトークイベント in TSUTAYA TOKYO ROPPONGI』（MATOI PUBLISHING）を開催した。
クリエイティブマガジン『“QUOTATION”』のSPECIAL ISSUEとして、注目を浴びるファンタジスタ歌磨呂をフィーチャーしたカルチャー誌『WHAT’S A FANTASISTA UTAMARO！？ by “QUOTATION”』が24日より創刊されたことを記念してのトークショー。歌磨呂氏の手がけた作品の数々や、長澤まさみ、村上隆らコラボレーションしたアーティストらとのインタビューなど、この1冊で歌磨呂氏の仕事の全体像や、作品へかける思いが伝わってくるものとなっている。
まずは、本誌の創刊に歌磨呂氏が「僕自身普段デザインの仕事をやっているので、本を編集長として作る機会は初めてだった、いろいろ勉強になりました」と、感想を。その喜びに、「自分で10冊買いました」と、ちょっとしたエピソードも。
「歌ちゃん」「実花さん」と親しみながら呼び合う蜷川との出会いは昨年8月。関係者を介して新宿にある『ロボットレストラン』で出会ったという。シンパシーを感じたそうで2、3分で意気投合し、「そんな最近会ったの？といわれるぐらい」（蜷川）なのだとか。
これまでに4回ほど仕事を一緒にしたという2人。具体的にはアイドルグループ『AKB48』のミュージックビデオ『Sugar Rush』に出てくる文字を歌磨呂氏が手がけたり、歌手でモデルのきゃりーぱみゅぱみゅが関係するアプリ（蜷川TOKYO MAP）などだそうで、歌磨呂氏は「全部ヴィヴィッドでしたね！」と、振り返る。
そんな2人の関係は“師弟関係”のようで、仕事のことでは「僕も自分でものを作るときに、こういうときどうしたらいいですかねとよく相談したりするんです。大学の先輩でもあるので」というと、蜷川は「これだけ自分のカラーが濃くて、それをやっていながら、いろんな仕事をしていくのが似ているところがあって、多少私ができるアドバイスがあるかなって。ほっとけない、なんとかしてあげようって気にさせる才能があるんです」とのこと。
蜷川がなぜそんなに歌磨呂氏に入れ込むのだろうか？それは「歌ちゃんに仕事を頼むと絶対120％死ぬまでやってくれるっていう信頼感がある。頼んだら頼みっぱなしというか、手を抜いてくるなというのは思いつかないんです。最終的によくなかったとしても、歌ちゃんが120％やってくれたというのが分かるんです。でも、よくなかったっていうのがないんですけどね（笑）。信じ切れるのが重要なこと」と、そのスタイルだそう。
続けて蜷川はフォトグラファーとして「写真もそうなんですけど、ほんの1歩前に出て撮れるか、とかなんです。なんか撮れちゃったり、とかは誰でもあるんです。でも、最後の1ミリ2ミリに迫れるかというのは大きな違いで、歌ちゃんはそこがしつこい」と、歌磨呂氏と2人で笑いあう。
それに対し、歌磨呂氏は「絶対に裏切れないというか、最初からできませんと言いたくないし、嫌われたくない。情熱というか意地ですかね、自分に負けたくないっていう」と、裏側にある思いを明かしていた。
ほかにも、蜷川が「写真撮ってても、映画撮ってても、ここが超カワイイって思っているところは、超カワイイって伝わるよね。作り手の思っていることが思ったより伝わってる」と水を向けると歌磨呂氏も「そうですよね！やってることって、すごく伝わる！」と、うなずく。
蜷川が監督した映画『ヘルタースケルター』などのこだわりの部分にも共感し、歌磨呂氏は「怨念というか思いが入っていて、そういうのが人に伝わるんだって思って。初音ミクのミュージックビデオ（『Tell Your World』）を作ったときも、初音ミクがどうやって生まれてとか考えたんです。僕はニコニコ動画で感動していたんで、そこをぶつけると見ている人は感動してくれる、意外とシンプルなんだと感じたんです」と、明かしていた。
仕事論として、歌磨呂氏は「会わないでやる仕事は事故しやすい。直接声を聞くと、それ以上のものが伝わってくるので、デザインが起こしやすくなったりするんです」と、しみじみ。蜷川も「フリーランスで仕事をしている限りは、よくなかったらあっという間に切られるじゃないですか。2度目の仕事がきたら前よりいいものを出さないと尻すぼみになってしまうとか。あれが転機になったという仕事はいくつかあるんですけど、1個1個の仕事を超マジメにやるしかないんです」と、展開していた。
今後について歌磨呂氏は「アニメーションや漫画が好きで、サブカルチャーとかポップカルチャーが一般的に普及してきて」と、そちらの分野に興味を示しつつ、2～3年の動きについては、「準備ができたので、テキスタイルのブランドを作ってアート活動も始めていこうと思っているんです。今回（の創刊）がきっかけになれば」と、前を向いた。
また、2人がまたコラボするのかどうかについては、歌磨呂氏は「声かけてくれないかなって思っています（笑）」と冗談交じりで、蜷川も「まだ何かというのはないけど、一緒に遊びに行くという予定はいっぱいある」と、笑顔。歌磨呂氏は「年内で何かやりたいですよね」と、話していた。
ファンタジスタ歌磨呂の由来がページをめくるごとに感じられるカルチャー誌『WHAT’S A FANTASISTA UTAMARO！？ by “QUOTATION”』は780円（税込）で好評発売中！さらに、TSUTAYA TOKYO ROPPONGIでは、ファンタジスタ歌磨呂氏とコラボした特設ブースも6/19(水)まで設置され、その世界観を感じられるものとなっている。
