映画監督の神田裕司(47)と小中和哉(50)、女優の有森也実(45)が11日、都内の新宿K’s cinemaで映画『TOKYOてやんでぃ 〜 The Story Teller’s Apprentice〜』(監督:神田裕司/配給:アイエス・フィールド)のトークイベントを行った。
高校時代にぴあフィルムフェスティバルで2年連続最年少入賞し、俳優としても活躍。その後はプロデューサーとして『下妻物語』など数々の作品にたずさわった神田監督の初の映画は、落語の楽屋が舞台の“楽屋話”。9年5ヵ月も前座を務める立花亭ピカッチ(ノゾエ征爾)が立て続けにハプニングにみまわれる1日を“爆笑&スリリング”に描く疾走感あふれるコメディ作品となっている。
86年に公開された小中監督の映画『夜空のむこうの国』に主演し、有森と共演した神田監督。そんな神田監督の初めての映画に、小中監督は「映画っぽい映画。映像が独特で他にない映画だな」と賞賛。キヤノンの5Dを使って狭い楽屋の中をダイナミックに撮影したと語る神田監督に「演技の部分にフォーカスが合ってくる。一眼レフカメラならではの表現」と映像談義で盛り上がった。
久しぶりに一堂に会したということで『星空のー』の撮影を振り返り神田監督は「(有森を)悩みを聞きながら口説いちゃおうと思ってたけど上手くいかなかった」とリップサービスを交えて笑いを誘うと、同作が女優デビュー作だった有森は「お兄さんみたいな存在だった」とさらりと話していた。
同作を「最初で最後。もう引退」とうそぶく神田監督だったが「プロデューサーはお父さんなんです。いっぱい種をつけていいのが生まれるのを待つ。監督はお母さんなんです。十月十日育んでいく」としみじみ。小中監督から「でも一回撮ると、またやりたくなるでしょ?」と水を向けられると「シリーズ50本行きたいんです。この反響しだい」と笑いながら「本当に、撮って死んでもいいと思いました」と明るく語っていた。
映画の見どころを尋ねられると「山田洋次監督の『東京家族』と“東京対決”だとケンカをふっかけたんですけど、無視されました」と苦笑しながら、神田監督は「東日本大震災があって、何を作っていいのかわからなくなった。ピカッチは決して上手な生き方をしているわけじゃないけど“いろんな生き方があっていいんだぜ”というのが伝われば」と訴えた。
『TOKYOてやんでぃ 〜 The Story Teller’s Apprentice〜』は新宿K’s cinemaほか全国順次公開。