女優・桜木凛(23)が23日、東京・オーディトリウム渋谷で映画『体温』(監督:緒方貴臣/配給:エネサイ)初日舞台あいさつに緒方監督(31)とともに登壇した。
青年・倫太郎(石崎チャベ太郎)は言葉を発しない、身動きもしない人形・イブキと現実の世界と隔絶しながらも満たされた生活していた。そんなある日、街を歩いていた倫太郎はイブキとそっくりなキャバ嬢・アスカ(桜木)と出会う。本名である倫子とアスカの間で自分を見失いそうになっている倫子に惹かれていく倫太郎。徐々に距離が近づいていく2人は、お互いの中にある孤独を埋めていくのだが…。
「今回の作品は倫子で名前も似てますし、心境も似ているところがありましたね」という桜木は、オファーが来た時について「ビックリしたというのと、イブキ、アスカ、倫子の3役を演じるという中に、楽しみがありました。どういうのだろうと思って」と、感想を。
倫子を演じてみて、「人形の芝居より倫子とアスカの違いをつけるのが難しかったですね」といい、言葉を発することのないイブキについては、「お人形さんってこんな感じなんだって。その中で喋りかけてくれる人の言葉の中の温かさとかを感じられた」という。
倫太郎のような男性をどのように思うかについて、桜木は、「私はゲーム好きなので、ゲームに登場するキャラにドキッとすることがあるんです。人形ですけど、みなさんも何かにドキッとするのではないかと思うんです」と、共感を寄せる。そして桜木は、「倫太郎の初恋の最後の衝撃さが印象的でした。いろいろ楽しめる映画なんだなと思います」と、アピールした。
緒方監督は、桜木が好きな映画に本作と同じく人形と青年の愛を描いた米映画『ラースと、その彼女』を挙げていたことに縁を感じたことなどからキャスティング。その桜木については、「桜木さんは大変じゃないとおっしゃっていたんですが、この作品は大変だと思うんですよ。女優・桜木凛として出ている作品だと思うんです。そこを観て頂ければ」と、ポイントを。
すでに2年半前に撮影が終わっていたそうだが、当時、同じく人形を題材とした是枝裕和監督の『空気人形』(2009年)や米映画『ラースと、その彼女』(日本では2008年末公開)があったため一時制作を断念したという苦い経験があったと振り返る緒方監督。そんな本作の狙いは、青年と人形を通じて「人が普遍的に持つ愛を表現できるんじゃないかと思ったんです」と明かしていた。
また、桜木は体調不良により約1年間活動休止しており、同日が久々となる公の場となることに、ファンらが一致団結して「待ってたよ!」と大合唱。事前にファン有志で配布していた桜の枝を振ってカムバックを祝う。これに桜木は「1年間休業させていただいて1年ぶりに戻ってこれました。熱いコメントとか頂いてありがとうございます支えになりました」と感謝をすると、今後の活動について、「完全復帰ということで観てくださる方に楽しんで頂ける機会があれば初心に返って出して行きたい」と、抱負を語っていた。
映画『体温』は2週間限定レイトショーで23日より公開中!