
演出家・三谷幸喜(51)が8日、東京・渋谷のパルコ劇場で行われた、舞台『ホロヴィッツとの対話 神に選ばれた天才と神に雇われた職人』(作/演出:三谷幸喜)の公開フォトコールに、出演する俳優・渡辺謙(53)、女優・和久井映見(42)、俳優・段田安則(56)、女優・高泉淳子(54)らとともに出演した。
芸能生活25年で、舞台初朝鮮の和久井は、「呼吸の仕方忘れるほど」緊張していたが、演出家の三谷は、「みなさんが知らない“ニュー和久井”をたっぷりとご覧いただける」と、自信たっぷりに語った。
パルコ・プロデュース公演でパルコ劇場40周年 第一弾として三谷が、『コンフィダント・絆』(07年)、『国民の映画』(11年)に続く、海外芸術家シリーズ三作目。
天才とは「神に選ばれし者」。その選ばれし者に従事する者は、「神に雇われた者」となる。代々、ピアノに従事してきた家庭に生まれ育ち、ピアニストの演奏を支え続ける調律師のフランツ・モア。物語は彼が支えたピアニストの1人、20世紀のピアノの巨匠・ウラディミール・ホロヴィッツとのある一夜の会話を中心に展開する。
調律師のモアに12年ぶりの舞台出演で、28年ぶりにパルコ劇場の舞台に立つ渡辺は、「稽古中は自転車には、こう乗るんだよねと身体が覚えていた感じだったんですが、舞台に立った初日、明かりを見たり装置に慣れたりという日だったんですけど、その日は異常に興奮して、えらい早くに入ってくたびれ果てて、気をつけようと思いました」と、気負いがあったと振り返る。

1985年の『ピサロ』以来となるパルコ劇場については、「演劇人としては育てていただいた小屋なので、客席の感じ、袖の感じ、懐かしくて、楽しくやらせていただいてます」と、感慨深げに語った。
渡辺とがっちり一緒に仕事するのが初めてという三谷は、「稽古から見てきて、何てせっかちな人なんだろうと。移動するときには、だいたい走ってますね。すごく細かくて、アイデアとかいってくれて、わずらわしいと言っているんだけど(笑い)。目が合うと、『三谷さん、あそこんだけどさぁ』と、だからなるべく目を合わせないように(笑い)。こういうタイプの俳優さんがいると知らなかったので、僕自身も嬉しいし、刺激あります」と、三谷組に“新しい血”が加わったことを喜んだ。
その妻エリザベスを演じるのは、1988年4月にドラマ『花のあすか組!』で、芸能界デビューしてから25年目で初舞台となる和久井は、「呼吸の仕方を朝から忘れていました。あまりに手が震えているので、イスとか、どこかを触っているんですが、ソファがガタガタしたり、水が揺れていたりして・・・気をつけます」と、緊張しっぱなし。

それでも舞台上では、ホロビッツ夫妻のわがままな注文の数々に、振り回され感情をコミカルに爆発させるエキセントリックなシーンや、その後の夫との2人だけのシーンでは、見慣れた可愛らしい妻を演じるなど、初舞台とは思えないほど堂々と演じていた。
それでも、初舞台の感想も、「顔合わせは浴衣で参加したほうがいいのかとか、知らないことだらけ。みなさんが決して責めることなく、ずっと・・・」と、声がちいさくなって聞き取れなくなるぐらい恐縮しっぱなし。
抜擢した三谷は、「短いシーンを御覧頂いたんですけど、その中だけでも、みなさんがイメージしている和久井映見とは違う新しい面を見ていただけたと思います。みんなの知らない(和久井映見の)引き出しを僕は気づいていたので、早く引き出して見せたという思いがあった。“ニュー和久井”をたっぷりとご覧いただけるんじゃないかなぁ」と、自信満々に語った。
天才ピアニスト・ホロヴィッツ役の段田は、ホロヴィッツそっくりという程のなりきりぶりを絶賛されると、「そのへんの日本の爺さんに見えたらどうしようと、そればっかり不安でやっていた。少しでもホロヴィッツに見れたら、こんな幸せはありません」と、ホッとした様子。

三谷は、「段田安則さんの大ファンであったけど、学生の頃、『夢の遊眠社』が勢いがあって、僕の周りの学生は、みんな遊民社に入りたくて仕方なかった。だから、僕は絶対見るまいと思っていたし、大っ嫌いでした。野田秀樹も嫌い、そのイチの子分の段田安則と絶対に仕事すまいと思っていたんですけど、意外とお会いするといい方。もっと早くあってればよかったなと思ってます」と、独特のワールドで、報道陣を笑わせた。
ホロヴィッツの妻ワンダを演じる高泉は、「三谷さんとも、パルコも初めてで、初めて尽くしで緊張しています」と語ると、三谷演出について、「とても素晴らしい演出ですね。書き手が演出しているのはとても役者にとっては幸せ。言葉の裏にある意味、今回は特に多いのですが。言葉を表すの難しいんだなとあらためて感じています。まだまだ未熟だなと」と、役者としての奥深さを謙虚に語る。
歌うシーンがあり、「あれはアドリブですか?」と聞かれると、「三谷さんから『歌ったらどうですか?』と言われました。いま見ていただいたのは、3場なんですが、5場まであるので、いまのだけ見ると、普段と変わらないおちゃらけを演っているようですが、(この後の場面では)私も新しい自分を出そうという部分たっぷりありますので。ここは一部分です」と、初めてづくしの現場で新しい挑戦をしていることを強調した。
同舞台は、東京公演は2月9~3月10日まで、パルコ劇場。大阪公演が3月13日~31日まで、シアター





















