
元キックボクサーの“野良犬”こと小林聡(40)が1日、都内・銀座シネパトスで行われた映画『名無しの十字架』(監督:久保直樹/配給:アークエンタテインメント)初日舞台挨拶に俳優・神尾佑(40)、和田聰宏(35)、女優・松尾れい子(34)、ロックバンド『カラーボトル』、久保監督とともに出席した。
かつて全日本キックなどで活躍した小林が、郷一郎原作の『名無しの十字架』(角川文庫刊)に惚れ込み、ついに映画化。都市伝説として知られていた幻の地下ビデオ『虎対人間』を探す男と、突然姿を消した伝説のキックボクサーが出会い、横浜を舞台に彼らは危険な運命に巻き込まれていく!
元キックボクサー・新崎新太郎役の小林は、「ここに来るまでにいろんなことがありまして、燃え尽きたという意味で髪の毛白くしようとしたんですけど、引退した後の井岡(弘樹)さんみたいになっちゃってすみません」と、自身の茶髪をネタに挨拶。
改めて、今回映画化に至った動機を「東日本大震災の後にこの本を読んで、日本中が自粛ムードだったときに、どうしても自分が訴えたい作品。原作者の郷先生が、『これは小林さんの作品ですから』って言ってもらったので、是が非でもやろうと思って。自分のことを応援してくれる人に背中を押されて、ガムシャラにやってきたんですけど」と、説明した。

現役時代とは違い、身体作りにも苦労したようで、「人生初のプロテイン飲んで、ウエイトも一生懸命やって身体作ってきたんですけど、痩せなきゃいけないってなっちゃって、下剤飲みました。それで、できたのがあんなもんですよ」と、照れくさそうにポスターを指差していた。
横浜でプロレスショップを営む三上役の神尾は、映画初主演。「この年になって初めて主演をやらせていただくのは光栄ですし、役者を続けていてよかったというのが正直なところ」と感慨深げだったが、「撮影期間が短くて、タイトスケジュールの中、真夏の炎天下でやっていたので、暑かったのと眠かったのが一番ですかね」と、ハードな現場だったことを明かす。
新崎の恋人・柳瀬雪江役の松尾は、「謎を小出しにしていくのが、心理戦みたいなもので、どうやってそれをお客さんにわかるのかとかやったけど、実は神尾さんとは旧知の仲。10年前ぐらいから知っているので、芝居としてはやりやすかったです」と、その謎めいた役どころを演じた楽しさについて語った。
風俗店経営のショーン河井を演じた和田は、「自分で見て気持ち悪かったですね。あのヒッピーのようなサイケの服を監督に着させられたけど、やっぱり気持ち悪かった」と、“気持ち悪い”というワードに終始。

主題歌「やぁ、野良犬。」を歌った『カラーボトル』は、クランクアップ時には歌詞が未完成であせっていたというが、そのときに小林と挨拶し、「名詞に野良犬って、小林さんがリングで呼ばれていた名前が載っていたので、野良犬というキーワードがずっと残っていた。人間らしく、泥臭く、地に足をつけて一歩一歩前に歩いていく歌が作れるんじゃないかという思いで作りました」と、主題歌にまつわるエピソードを。
最後に、小林が「自分がやりたいという一言で始まって、一流のスタッフを揃えていただいて、劇場公開にもなったので、奇跡が奇跡を呼んだ。皆さんで人をいっぱい集めて、また奇跡を起こしてください」と、観客にメッセージを送った。






