俳優・大地真央が主演を務める映画『ゴッドマザー~コシノアヤコの生涯~』(監督・撮影・編集:曽根 剛/配給:日活 東京テアトル)の公開記念舞台挨拶が5月24日東京・新宿ピカデリー スクリーン3で行われた。
主人公・コシノアヤコ役を演じ、本作で映画初主演となる大地真央、コシノアヤコの娘で、世界的に活躍する日本を代表するデザイナーであるコシノヒロコ役の黒谷友香、ジュンコ役の鈴木砂羽、ミチコ役の水上京香、曽根剛監督が登壇。全国公開を迎えた喜びはもちろん、映画初主演を務め、個性的な“おかあちゃん”アヤコを演じた大地へ黒谷、鈴木、水上から感謝の気持ちとして、カーネーションの花束を贈った。
日本のファッション界に革命をおこし、デザイナーの草分け的存在のコシノアヤコ。2011年にはNHK連続テレビ小説『カーネーション』で、その生涯が放送された。コシノ三姉妹の母で、昭和から平成を駆け抜けたゴッドマザーことコシノアヤコの物語。5月23日より新宿ピカデリーほかにて全国公開中。
大地は15歳から92歳までを演じ切ったが、15歳の演技を観客のみなさんが見たことが話題に上ると、「ちょっと汗が出てきました。焦っております」とコメントして会場の笑いを誘い、15歳の役を演じるコツを聞かれた大地は「開き直りです。自分が(宝塚)音楽学校の予科生のときのことを思い出して、あとは監督にお任せしました」とにっこり。92歳まで演じたことについては「その点は光栄なことだなって思っています」としみじみと語った。
そして、ミシンに恋をして洋裁に夢中になるアヤコのように、これまで夢中になったことを聞かれると、コシノジュンコ役を演じた鈴木は「子どものときはモダンバレエをやっていて、7歳から18歳まで熱量高くやっていましたね。そのおかげで人前に立って表現者になりたいと思ったので、10代の頃が懐かしいですね」と振り返り、コシノミチコ役を演じた水上は「私もクラシックバレエですね。4歳から上京する高校3年生までやっていて、最近お仕事も兼ねて再開したんですけど、やっぱりバレエって痩せますね。全身運動だなと思うので、健康にもいいと思います」とおすすめした。
コシノヒロコ役を演じた黒谷は「ガーデニングを25年くらいやっていて、お仕事じゃないときはそっちを一生懸命やっています」と答え、大地は「このお仕事でしょうか。初舞台から52年目を迎えましたので、そんなに長くやれたのはやっぱり好きだから。そういうことでしょうか」と感慨深げに語り、ネコにも夢中だそうで「うちには3匹いますけど、私が物心ついたときから自宅にもイヌとニワトリがいました。音楽学校の寮生活以外はずっとネコと一緒です」と笑顔で語った。
さらに、厳しい環境でチャレンジを続けたアヤコにちなみ、自身が苦しい状況に陥ったときはどんな方法で乗り越えるか尋ねられると、水上は「誰かに話したほうが元気になれるタイプで、1人で悩むとどんどん落ちちゃって戻ってこられなくなるタイプなので、お父さん、お母さんに当たり散らしていましたね(笑)」と打ち明け、「家族に話していろんな意見をもらって、『そうじゃないんだ』とぶつかりながらここまできたなって思います」とコメント。黒谷は“場所を変える”といい「千葉と東京に家があるんですけど、自然の中に参りまして、ただ散歩をするとか、おいしい空気を吸うとか、雑草を抜いてみるとか、そういう環境に身を置くことで一旦リセットされますね」と語り、鈴木は「私は手負いの獣のようにじっとして、傷が癒えるのを1人で待って、なるべく人との接触を控えます。だいぶ腕が上がってきたなと思ったころに街に出かけて、パーっと飲んでいます」と明かした。
そして、大地は「私はネガティブなことは心で思って、ポジティブなことを口に出します。シャワーを思いっきり浴びながらそういうことを言っていると、“なにこれ”ってふっと笑っちゃうと吹っ切れますね」と笑顔で語り、つらかった時期について追求されると「公演中に父が亡くなったことですね。東京公演で戻れるか、戻れないか。それでも初日は舞台が開くので、絶対に泣かないで公演を続けたとか、節々にありますね」と回顧した。
イベントでは、三姉妹キャストから大地へ真っ赤なカーネーションの花束が贈呈される一幕もあり、母役を演じた大地へのメッセージを求められると、黒谷は「大地さんとお会いさせていただいて、勉強になったことがたくさんあります。お芝居の中でアドバイスをいただきまして、そのおかげで無事にシーンを終えたこともありました。この役を通してコシノアヤコさんのすばらしさ、私たちが演じさせていただいた三姉妹の大変な功績などを知って、本当に日本人でよかったなと思いますし、この役をやらせていただけて大変光栄に思いました」と目を輝かせ、「このお仕事を続けていく中で、大地さんと別の作品でもお目にかかれればいいなと思っております。すてきな出会いをありがとうございました」と感謝した。
鈴木は「憧れの大地真央さんが私のお母さんになるなんて、こんなに夢のようなことがあるのかと思ったんです。撮影中も目の前にいるだけで夢のようで、大地さんがドレスに着替えたときの感激を伝えずにはいられなくて、いつもおしゃべりしたくてそばに行ってしまったことをお許しください(笑)」と声を弾ませ、「大地さんがコシノアヤコという役に命を吹き込んで、そしてスクリーンの中でコシノアヤコさんとして立ち回る姿を鈴木砂羽としては感激して、コシノジュンコとしてはお母ちゃんという気持ちで、こうして出会えてお仕事ができたことを心より感謝いたします」と言葉に力を込めた。
水上は「大地さんがお母ちゃんで、黒谷さんと鈴木さんがお姉ちゃんで、私が横並びにいるのはもう奇跡なんですけど、クランクインはロンドンのお母ちゃんとのシーンで、どういう風に演じようかなと悩んで、答えが出ないまま撮影が始まっちゃったんですけど、大地さん演じるお母ちゃんが目の前にいたので、これだったら最後まで乗り越えられるかもしれないと思ったのは、あの日があったからなので感謝しています」と熱く語った。
そんな三姉妹からのコメントを受け、大地は「ありがとう!」と目尻を下げ、「この作品に出会えたこと、監督、そしてかわいい三姉妹とこの作品を作り上げることができたこと、本当にうれしく誇りに思っております」と吐露。「アヤコさんの生き様からみなさんそれぞれのメッセージを受け取っていただけたらと思います。私たちはお客様が見てくださることで映画をやった意味があって、成長していけるのかなと思っております。みなさま方のお力を借りしながら、この作品を育てていっていただきたいと思います。私はコシノアヤコという役を演じさせていただいたこと、心から感謝しております。ありがとうございました」と晴れやかな表情で語った。
【作品情報】
■作品名:『ゴッドマザー~コシノアヤコの生涯~』
■公開日:5月23日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開中
■出演
大地真央
黒谷友香 鈴木砂羽 水上京香
寺田 光 菊地麻衣 板垣 樹 浅田芭路 永尾柚乃 江原璃莉
矢田亜希子 大西礼芳 庄野?謙 堀田眞三 上西雄大 川?麻世 辰巳琢郎
温水洋一 木村祐一 市川右團次
■脚本 池田テツヒロ
■監督・撮影・編集 曽根 剛
■クレジット:©「ゴッドマザー~コシノアヤコの生涯~」製作委員会
■配給:日活 東京テアトル