反芻動物の曖気中に含まれるメタンガスを安全に低減!研究論文をScience of the Total Environmentに受理

株式会社サンクトと2022年1月に共同研究開発を目指した契約を締結した帯広畜産大学名誉教授の高橋 潤一先生らが、最小有効量のL-システインと硝酸ナトリウムを組み合わせることで、反芻動物の曖気中に含まれるメタンガスを安全に低減可能とする研究論文を投稿し、2023年10月にScience of the Total Environmentに受理されました。

反芻動物のルーメンから産生されるメタンガス排出量を低減する有効な硝酸ナトリウムとL-システインの組み合わせを検討

本試験では、反芻動物のルーメンから産生されるメタンガス排出量を安全に低減するために最適な硝酸ナトリウムとL-システインの組み合わせを検討するため、めん羊4頭に開放循環式呼吸ヘッドフードシステムを用いて検証が行われました。

反芻動物のルーメン内メタンガス産生量を低減する新たな手法が発見

(2) 硝酸ナトリウム群:乾燥物中に硝酸ナトリウム0.18 %を含むアルファルファのヘイキューブを給餌(3) 硝酸ナトリウム+L-システイン群(高濃度):乾燥物中に硝酸ナトリウム0.18 %とL-システイン0.74 %を含むアルファルファのヘイキューブを給餌(4) 硝酸ナトリウム+L-システイン群(低濃度):乾燥物中に硝酸ナトリウム0.18 %とL-システイン0.37 %を含むアルファルファのヘイキューブを給餌

硝酸ナトリウム0.18 %を含む干し草を摂取させることで、平均メトヘモグロビン値が11.2 %増加し、ルーメン内のメタン生成が47 %低減しました。しかし、L-システイン0.74 %または0.37 %を併せて投与することで、硝酸ナトリウムの単独摂取で形成されるメトヘモグロビン値がそれぞれ68 %と58 %減少しました(P < 0.05)。一方で、L-システインを投与した場合、メタンガスの排出削減量は、いずれもコントロールと比較して35 %減少しました。本研究の結果から、硝酸ナトリウムの含有量を干し草の乾燥物中で約0.18 %に維持し、L-システイン添加量を0.37-0.74 %に調整した飼料を与えることで、メトヘモグロビンの形成を抑えつつ、反芻動物のルーメン内メタンガス産生量を低減できることが明らかとなりました。

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