俳優・内博貴（28）、藤井美菜（26）、前田美波里（66）らが11日、神奈川・KAAT神奈川芸術劇場ホールで舞台『ペール・ギュント』（演出：白井晃）の一部を報道陣向けに公開した。
ノルウェーの国民的劇作家ヘンリック・イプセンの傑作戯曲。「自分自身であるとは何か？」を問いかけ回り道をしながら、世界中を放浪する主人公ペール・ギュント（内）を喜劇的に描いた作品。
劇場内は凝ったセットというよりは、広い空間でキャストが演技を始め、その背景にあるであろう舞台を観るものの想像をかきたてるようなものに。舞台中央にはバンドセットも組まれ生演奏と演技が楽しめる。
その中で、内は放蕩者のペール・ギュントを快活に演じ、キャストたちもその中でのびのびとした演技を見せることとなった。
終了後の囲み会見で内は、これまでにあまり類を観ないような作品となっていることから「ぶっちゃけると、めっちゃ怖い。今までの舞台の中で一番難しくて、僕にとってはチャレンジングな作品。裏に引っ込んでではなく、ステージ上で服装の着替えもある」と、少し苦労しているよう。
報道陣が「演出（の白井）が怖くない？」と、問いかけると、内は「丁寧に丁寧に作ってくださって、すべて白井さんに任せてという気持ちで」と、信頼を寄せている姿を見せる。そんな内へ前田は「内くんってひょうひょうとやっているようで、苦労を見せない」と、褒め称えると、内は「平然とやっているように見えるかもしれませんけど、内心ではめっちゃ焦ってる。正直、自分のことでいっぱいいっぱいで」と、苦笑いを浮かべた。
一方、藤井は久々の舞台となるそうだが、「この中で一番舞台経験が少ないですが、舞台ってこんなに生きているものなんだなって。きょう（公開げいこ）も動きが変わっているところがありました。私も心配性なので動きがかわったりして不安なところもありますが、ときめいているところとかを出していければ」と、気合を入れ直す。すると報道陣から「内さんいい男でしょ？」と、声をかけられ「そうですね」と、ほほ笑んでいた。
また、劇中、藤井演じるヒロインらに向かって内が「夜は“オオカミ”になり襲う」という、ちょっと過激なセリフもあるが、実生活ではどう？との質問が飛ぶと、「いやいや、それは違います。そりゃね、草食ではないですけど、オオカミってほどでは……。トイプードルくらい？そうですね。それ以上に大人なシーンもあるので、観に来て頂ければ」と、ニコリとほほ笑んでいた。
舞台『ペールギュント』は11日から20日までKAAT神奈川芸術劇場ホール、25、26日に兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて上演！
■STORY
落ちぶれた豪農の息子で、母とともに暮らしている男ペール・ギュントは、かつての恋人イングリを結婚式から奪取して逃亡する。しかしイングリに飽きたら彼女を捨て、トロル（妖精）の娘と婚礼寸前まで行くが逃げ出す。その後、純情な女ソールヴェイと恋に落ちるが、穢れないソールヴェイにふさわしい自分自身を見つける事が出来るまで、彼女を待たせたまま放浪の旅に出る。
山師のようなことをやって金を儲けた果てに無一文になったり、砂漠をさまようなど、世界各国を遍歴をした後、老いて帰郷する。死を意識しながら故郷を散策していると、死神の使者であるボタン職人と名乗る男とである。彼は天国に行くような大の善人でもなく、地獄に行くほどの大悪党でもない「中庸」の人間をボタンに溶かし込む役割の職人だった。
「末路がボタン」というのだけは御免だと、ペール・ギュントは善悪を問わず自分が中庸でなかったことを証明しようと駈けずり回るが、誰もそれを証明してくれず、ペールの人生の無意味を気づかせただけだった。疲れ果てたペールはずっと待っていたソールヴェイのもとにたどり着く……。
■出演
内博貴、藤井美菜、加藤和樹、堀部圭亮、橋本淳、三上市朗、河内大和、小山萌子、桑原裕子、辰巳智秋、瑛蓮、宮菜穂子、皆本麻帆、荒木健太朗、青山郁代、益山寛司、高木健、チョウヨンホ、間瀬奈都美、大胡愛恵、薬丸翔、石森愛望、前田美波里
