
劇場アニメーション『宇宙戦艦ヤマト 2199 星巡る方舟』Blu-ray&DVD発売前夜マトークが26日夜、東京・新宿ピカデリーで開かれ出渕裕総監督、西井正典チーフメカニカルディレクター、桐生美影役・中村繪里子が登壇し、司会は小林治氏が務めた。
宇宙戦艦ヤマトの知られざる航海が描かれた作品。西暦2199年、苦難の航海を経て目的地イスカンダルで<コスモリバースシステム>を受領したヤマトは、地球への航海を始めた。そんななか、ヤマトは戦闘民族<ガトランティス>と遭遇し襲撃!地球への一刻も早い帰還を目指すヤマトクルーたちはワープで追撃を振りきったものの、薄鈍色(うすにびいろ)の異空間に迷いこんでしまい、謎の惑星へと誘われていく。その星にはヤマトへの復讐を誓ったガミラスのフォムト・バーガー少佐の姿があり、物語は混沌とした方向へと進んでいく…。
ヤマトーク常連の観客が多数集まる中でのイベントに。出渕総監督は、「トークイベントもとりあえずこれで最後という形で、楽しく最後を飾りたいと思います」と、長年にわたって手がけた『宇宙戦艦ヤマト2199』の締めを飾ることにどこか感慨深げ。

トークでは、これまでの3人の『宇宙戦艦ヤマト2199』イベント出演回数を振り返る思い出話から始まり、中村は『宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海』でヤマトファンの前に立ったときのことを「『追憶の航海』からの出演で、TVシリーズをヤマトークのために、徹夜で観まして、そのファンのテンションのまま総集編という新しい作品になるんですか!!という感じで来ました」という中村に、出渕総監督は、「逆にファンのテンションで立ったからよかったと思いますよ。お客さんの親近感もあったと思いますよ」と、そのスタンスを褒める。
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桐生役について、中村は、「まずはヤマト2199の世界観を掴むのに必死でした。可愛らしい少女として描かれていますけど、落ち着いた部分であったりを出してほしいと言われてどうしようって」と、大変さがあったようだが、「ラジオドラマだと明るくて快活で、ちょっとおっちょこちょいという岬百合亜ちゃんとは対照的には描かれていたラジオドラマでした。ドンドン可愛らしい女の子の顔も出てきて」と、ラジオなどでキャラクターへのイメージを膨らませていったそうだ。

中盤では桐生のキャラクター設定画がスクリーンに表示。小林氏が「実はポニーテールの髪の長さが違います」と指摘すると、出渕総監督は「それは(キャラクターデザインをした)結城(信輝)に言って」と苦笑い。その桐生についてはBlu-ray&DVD化するに当たりリテイクが多くあったそうで、出渕総監督は、「これが大変だったんだよ!!頭につけてるのがリボンなのかシュシュなのかっていう問題があって。七色星団海戦のときに、ぶっちゃけて言いますけど結城くんはリボンで描いてきたんです。いいんじゃないって言ったんです。そうしたら結城くんは『でもやっているとリボンっていうのはアレだと思うんですよ。シュシュでもいいかな』って言ってきたんです。じゃあすればいいじゃんと。それで、ラフのまま流れちゃったりとか、『星巡る方舟』でキャラクターデザインを起こし直すときに、結城くんが『リボンでもいいと思った』って言って。おいちょっと待てよ、俺どっちだっていいよと言ったのに(笑)。それで現場混乱しちゃったんです。本編の中で、リボンのシーンとシュシュのシーンがグッチャグチャに混ざってる。本作では直してますが、混ざってるんです。でも、それはちゃんと理屈をつけています」と、ヤマトークならではの裏話が飛び出し笑いを誘っていた。
ほかにも、劇場公開されたときから、芝居を小さい部分でつじつまが合うように変えたり、レイアウトから修正を入れたり美術を描き直したりと、上映までの時間の制約でできなかった撮影処理も含めて全体の約2/5となる600カットほど手直ししたそうだが、出渕総監督は「直すというのは分かってほしいから直しているわけじゃなくて、そこの部分が無意識下で厚みになるんです。優先順位的に低いかもしれないですけど、ものの作りとしては正しいかなと。黒澤明監督がタンスが出てきたら開けなくても服を入れておけと。映画は細部に宿るというか」と、考えを明かしていた。

終盤には本作のサントラCDも27日から発売されることとなり、出渕総監督は「庵野(秀明)にさあ、『いつCD出るんだ?』ってうるさいんだよ、あいつ(苦笑)。Blu-rayだったらあるって言ったら、『車の中で聴けないじゃん』って」と、リクエストがあったというエピソードが飛び出すことも。
最後に中村は、「毎回会場が違っても、呼んで頂いて、みなさんがたくさんいてくださることにハッと息を呑んでしまうんです。本当に嬉しい事だなと。きょうもそんな感動をみなさんから最初に頂けて幸せです。『宇宙戦艦ヤマト2199』がきょうこの日を迎えるなかで、私は2014年のAnimeJapanのときにみなさんとお会いしてそれからたった1年ちょっとしか経ってないのに、こんなにも楽しい思いをさせて頂けたということをあらためて噛み締めています。またみなさんにお会いしたいなと感じています。その願いがかなえばいいなと感じています」と、再会を願う。
西井氏も、「8年は長いですよ!50歳超えてしまいましたからね(苦笑)。長い間やり続けてきて、その結果、いまがあってこういった形になっていって、こういう場所にみなさんが来て頂けるのは本当にありがたいことと思っています。今後の話については、私から何も言える状態ではありませんし、なんとも言えないんですが、今回最後かもしれませんし、ヤマトークとしてまたあるのかは神のみぞ知るというところです。でもまたこういう機会があれば集まって頂ければ嬉しいなと思っています」と、観客に呼びかけ。
そして、出渕総監督は、「僕も西井さんも8年くらいやりました。実働してからは4年くらい。アタマの半分の4年は匍匐前進しながらどうなるか分からないという状況のなかでした。僕ら作っている側だけが旅をしていたというわけではなくて、みなさんと一緒に旅をしているというのが本当の気持ちです。これからまたあるかもしれないですけれど、本当にありがとうございました」と、観客にお礼を言って終わるかと思いきや、脚本集について読み返したことを話しだし「シーンのここを落としたなとかあって…」と、まだまだ話題は尽きない様子を見せていた。
アニメーション『宇宙戦艦ヤマト 2199 星巡る方舟』Blu-ray&DVDは5月27日より発売!なおレンタルDVDは7月24日より全国のショップにてレンタル開始も決定している。
※記事内写真は(C)西﨑義展/2014 宇宙戦艦ヤマト 2199 製作委員会


























