劇場アニメーション『宇宙戦艦ヤマト 2199 星巡る方舟』Blu-ray上映舞台あいさつが10日、東京・新宿ピカデリーで開かれ出渕裕総監督、西井正典チーフメカニカルディレクター、別所誠人チーフディレクター、桐生美影役・中村繪里子が登壇した。
宇宙戦艦ヤマトの知られざる航海が描かれる作品。西暦2199年、苦難の航海を経て目的地イスカンダルで＜コスモリバースシステム＞を受領したヤマトは、地球への航海を始めていた。そんななか、ヤマトは戦闘民族＜ガトランティス＞と遭遇し襲撃される。地球への一刻も早い帰還を目指すヤマトクルーたちはワープで追撃を振りきったが、薄鈍色（うすにびいろ）の異空間に迷いこんでしまい、謎の惑星へと誘われていく。その星にはヤマトへの復讐を誓ったガミラスのフォムト・バーガー少佐の姿があり、物語は混沌とした方向へと進んでいく…。
まずは、中村が1人最初に登壇し、「まさかこのような形でお会いできるとは。舞台あいさつというと映画が上映している間で、やったとしても最終上映までということで、なかなかないにもかかわらず、このタイミングで劇場にみなさんと来れるというのはヤマトが愛されているんだなって」と、感激している様子を。
続いて、全員が登壇。出渕総監督から西井氏と、別所氏について作品のクオリティを支えるキーマンであると説明がされると、中村は「（水戸黄門の）助さんと角さんみたいな感じ？」と、言い出し会場を沸かせると、出渕総監督は「右大臣、左大臣みたいな感じです」と、返しさらに笑いを誘う。さらに、西井氏が「うっかり八兵衛って言われたらどうしようと（笑）」と、乗っかり、中村が「それじゃあ私はお銀さん」で、笑うと、出渕総監督が「それだとどっかで脱がなきゃいけなくなる（笑）」と、水戸黄門の由美かおるの入浴シーンを引き合いに、場内の空気を温めた。
そして、いよいよヤマトの本題へ。本作の台本をもらったときのことについて、中村は、「分厚いと思いました（笑）。ずっと待ち望んでいたのでやっと手にできたと実感しましたし、これ一晩で読み切れるかなというのでページをめくったんです」と、相当な量だったのだとか。そこに、出渕総監督から、「シナリオがあって、それを元に絵コンテを作るんですけど、実はアフレコ台本に書いてあるト書きって、絵コンテのト書きなんですよ。シナリオのト書きじゃないんです。アフレコ台本は実際に絵コンテをしているところから（セリフやト書きを）拾っているんです」と解説が。
すると中村は、「だから後半の方になると勢いのある感じになっていて」と、何かが納得いったようで、出渕総監督は、「シャレで書いた冗談がそのままアフレコ台本に印刷されているという事故も起こったりするんです（苦笑）」と事情を明かし、中村は「他作品の名前とか出てることあって、パロディーなのかなって（笑）？」と、普段は視聴者が目にすることのない裏話で盛り上がった。
尺を話題に移ると、出渕総監督は「途中でバッサリ切っていかないといけない」と、時間の都合上最低限物語がつながるようにしたところもあるそうだが、「（Blu-ray＆DVDには）バッサリ切ったところも入っているかも」とも。
メカニックの話題では、西井氏は本作で、「ヤマトが積んでいる武器を使い切ったと思います。ロケットアンカーをやっと武器として使えたので満足しています」と、満足げに話すと出渕総監督も、「ロケットアンカー好きな人多いんですよ（笑）。俺もそうですけど、やりたかった」と、こだわりを語っていた。
別所氏は、「テレビアニメの打ち上げをやったときに、古代進役の小野大輔さんが、『僕は後半、（森）雪！雪！としか言ってないです』と話をしてたので、今回は古代にスポットを当てて、古代からその先の世代に伝えていくお話を考えたんです」と、エピソードとともに披露し、その一例に、出渕総監督は「古代が沖田（十三）戦法を受け継いで、古代戦法を作っている感じ」としみじみだった。
また、本作には2カットほど庵野秀明氏が描いたところがあるそうだが、出渕総監督は「ネットで『ここをやったのでは？』と書かれていたのですが、それは全部外れてました。1カットは橋本くんが手を入れています」と言い、そのカットはオーディオコメンタリーでそれとなく明かされているそうだ。
ディープな話も宴もたけなわで、最後に西井氏は、「手を入れられるところは、きょう観て『あっ違う！』というところがたくさんあると思います」というと、別所ディレクターは、「映画のときに押さえ切れなかった作画とか表情の部分とかをかなり直していますので何度も観て楽しんで頂ければ。それでも、できれば映画の時と比較映像をネットにあげないでいただきたい（苦笑）」と呼びかけ、出渕総監督からは、「上映では至らなかったところもあり、キャラも手を入れたりしているので、それだけでも観る価値があると思います。ディテールも観て分からないところまで手を入れていて、気がつかないところまでこだわっていくのが我々の仕事なので楽しんで頂けたら」と、アピールしていた。
アニメーション『宇宙戦艦ヤマト 2199 星巡る方舟』Blu-ray＆DVDは5月27日より発売！
※記事内画像は©西﨑義展／2014 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会
