歌舞伎俳優・坂東玉三郎(64)が26日、都内で自身が演出を担当する舞台「バラーレ」の製作発表にダンスカンパニー・DAZZLE(ダズル)とともに出席した。
ストリートダンスとコンテンポラリーダンスを融合させたオリジナルダンスで幻想的な舞台作品を発表する注目のダンスカンパニー・DAZZLEと、歌舞伎界の立女方で日本を代表する世界的なアーティスト、さらに近年は演出家としても多彩に活躍する玉三郎がコラボしたもの。玉三郎がDAZZLEにクラシック音楽をバックに踊ることを提案し、音楽選曲から演出までプロデュースする。
この日は、製作発表ながらも、今春から稽古をスタートしているというDAZZLEがさっそくマーラー作曲「交響曲第4番」が流れるなかでダンスパフォーマンスを披露。幻想的な世界観を体現し、報道陣を魅了した。
玉三郎は今回が初のダンス演出。自身が芸術監督を務める太鼓芸能集団「鼓童」のイベントでDAZZLEと出会ったという玉三郎は「日本のストリートから出てきたジャズともバレエとも違うダンスパフォーマンス。素晴らしいなと理由なく感動した。クラシック音楽で踊ったらどんなニュアンスが出るかなと思った」と起用の理由を説明。
「歌舞伎俳優は大きな庇護のもと、ただただ勉強すればいい、という環境で採算もとれない舞台をやらせてもらってきた。でも、いまは若いアーティストたちがそういうサポートを受ける環境がなかなかない。DAZZLEのようなグループに芸術を育てるつもりで、多くのみなさんにサポートいただきたい。そして、みなさんが劇場にいらして、『生きていてよかった!』と思えるような作品を生めるようになるのがいいと思う。経済的にも厳しい時代だが、舞台の間だけはそういうのを忘れて楽しんでいただけるような作品にしたい」としみじみと話した。
DAZZLEのリーダーで舞台の振付けを担当する長谷川達也(37)は「結成して18年。いつか何者かになりたいと活動してきたが、玉三郎さんとの信じられない出会いがあって、一緒に舞台がつくれることになって光栄。ストリートから派生した独特のダンスが、玉三郎さんの力を借りて、また違うカタチになっていくのが楽しみ。いままで観たことのない舞台にしたい」と意気込んだ。
舞台本番は来春だが、この日のパフォーマンスには「きょうはどうでしたでしょうか?」と照れ笑いしながら、「でも、めいいっぱいやりきったかな。まだまだ稽古途中なので、今後さらによりよい作品がつくれるようにがんばりたい」と決意を新たに。
どこまでもストイックなDAZZLEに玉三郎は「(DAZZLEの)みなさんは思いもよらないところが痛くなったと言っているが、それはクラシックだけが問題ではない。揺れ動くニュアンスとか、今春から1年稽古して本番を迎えるが、それだけむずかしい舞台ということ。私は背筋とか側筋とか思いもよらないところを痛くした演出家なんです」と茶目っ気たっぷりに場内を笑わせていた。
2015年3月7日に東京・赤坂ACTシアターで開幕。