俳優・中井貴一(52)が20日、東京・丸の内ピカデリーで主演映画『柘榴坂の仇討(ざくろざかのあだうち)』(監督:若松節朗/配給:松竹)初日舞台あいさつを開き俳優・阿部寛(50)、藤竜也(73)、若手俳優集団『D-BOYS』の近江陽一郎(25)、女優・広末涼子、アイドルグループ『AKB48』メンバーで女優・木﨑ゆりあ、若松監督とともに登壇した。
作家・浅田次郎さん原作の短編時代劇小説を映画化。主人公・志村金吾(中井)は暗殺された井伊直弼(中村吉右衛門)を警護する武士だった。妻・セツ(広末)に支えられつつ主君の仇を探し求め十三年の歳月が流れ、明治になり仇討が禁止されてしまう。そんな中、暗殺者の中でただひとり生き残り、ひっそりと生活していた佐橋十兵衛(阿部)が見つかったという知らせが金吾の元に届く……。
初日を迎えたことに、中井は「育て上げてきた娘を嫁に出すような気持ちです。嫁に出す父の気持ちはこんな感じだろうなと思っています。スタッフ一同頑張ったつもりです。ありがとうございます」と、感無量な声を寄せることに。
司会から本作で愛を感じた部分を問われた中井は、「僕はこの作品をやりながら、これは日本の理想的なかかあ天下だと思いました。金吾は上司に切腹を止められても切腹してたと思います。妻がいなかったら切腹していたでしょう。『あなたはやらなきゃいけないことがあるから』という言葉をかけてもらって、志村金吾は生きたんです。生きるという道を選んだのは妻のためだと思っています」と、思いを熱弁しつつ、「それと若松監督がおっしゃっていましたけど、『ありがとう』とか『おいしい』とか、たまに言うのがいい。いいよね阿部ちゃん?」と、言ってみて照れくさかったのか阿部にいきなりむちゃ振り、それを察した阿部は一緒に苦笑いを浮かべていた。
さらに、近江から、中井と広末のシーンを撮影中観ていたエピソードが語られ、「中井貴一さんを本当にカッコよくて、美しいなと思ったんです。日本の男として立ち居振る舞いだったりが見れました。お芝居を始めるときに周りの空気もかわって、それだからこれだけの作品ができるんだなと思ったんです。将来、“中井貴一”のようになれるようにと思いました」と、ストレートに褒められ、これに中井はほほ笑みながら深々と近江に頭を下げ、近江も恐縮しながら頭を下げるという丁寧さを見せていた。
ほかにも、役者論を中井は熱弁。藤との演技について、「私は人見知りで、初めての方と話ができないタイプなんです。役者というのは芝居をすることでコミュニケーションをとれるので、それでお話しました」と、言葉を尽くさなくても伝わるものがあると語っていた。
最後に中井から、「いま時代劇があまりよくないという時代に入っていますが、真正面から人の心を描いた作品です。時代劇は日本にとっても文化だと思っています。文化の灯を消さないためにも私も努力をしてまいります」と、抱負を述べていた映画『柘榴坂の仇討』は9月20日より全国ロードショー中!