モデル・栗原類（19）と“美人すぎる”美術アーティストとして知られる清川あさみ（35）が10日、東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで映画『ヴィオレッタ』（監督：エヴァ・イオネスコ／配給：アンプラグド）公開初日記念トークイベントを開いた。
1977年に母親がわずか11歳の実娘のヌードを撮るという反道徳的なテーマで、フランスのみならず世界でセンセーショナルを巻き起こした写真集『鏡の神殿』（初版タイトル）。その写真集の被写体だったエヴァ監督が34年の時を経て、自身の体験をアレンジして映画化した作品となる。世間に理解されることのない孤独な母親への反感、それと同時に沸き起こる本当の姿を知ることでの理解、そこから自身の立場からの脱却へ向けて前を向いて歩く姿などが描かれる。
センセーショナルさが先行したものとして話題となりがちなテーマだが、栗原は「すごくアートというのはなんなのかを考えさせられる作品です。ヌードと裸の写真はなんなのかというのを考えさせられた。母親と子どものドラマも現実的な部分もあった」と、感想を。
清川は女性という部分をクローズアップして観ていたようで、「少女の目覚め方というか、自分に注目がくることによってヴィオレッタが女性として目覚めたり、その中にあるエゴだったりとか、母親のエゴだとか、心の入れ方とか、心情が変化していく姿が面白かったですね」と、自身の切り口を披露した。
本作で描かれる、アートのためにモラルを逸脱してしまうという行為について、栗原は「カメラマンである母親は助けを求めていたんだと思うんですよ。自分の思うことを言っていたからこそ、あれは彼女なりに心の底から助けを求めていたんだと思うんです。ある意味、彼女も被害者の1人なのかなって。モラルというよりエゴが大きくなってボーダーラインを超えて。悪いのは誰だというのではないという部分で、今の人たちにも共感できると思います」と、栗原自身の視点で語っていた。
ちなみに、作品にかけお互いの印象についてどう分析しているかという質問がされると、清川は「類くんは特殊で、見た目も美しい人だと思うんです。私は中身に惹かれるんですが、中身に興味があって、頭の中はどうなっているんだろうというところに美しさを感じるんです。個性的だなと思えた瞬間、あまり見ないなと思った瞬間が美しいと思っています」と、たとえる。
一方の栗原は、清川へ「僕が2年前に清川さんとご一緒させていただいたとき、中身の方に惹かれるというので、やはりその人の内面的な部分を引き出して、人間とは何なのかというのを表現されていて、清川さんもそんな方なのではないかなと思うんです」と、挙げると、正解を言い当てたのか、清川は「嬉しいです！全部を表現するのではなくて、少しずつ隠しながら出すというのを気づかれているのかもしれませんね」と、笑みがこぼれていた。
また、あす11日が母の日ということで、栗原に母親のことを語ってもらうと、「母親は普通の人間です。とくに面白みはありません。これというものがないほどです」とは言ったものの、モデルを始めるきっかけには母親の姿があったそうで、「小さいころからやっていて、僕も気づいたらモデルをやってたという感じで、どんどん年を取っていくとともに、本格的にやりたいというので、母親が事務所に『思い出づくりで登録しようか』というので始まりました」と、エピソードもあったのだとか。
そこで、何かプレゼントしないのかと問われると、栗原は「ノーコメントです」と、頑なな様子だったが、「（記事とか映像観たら）期待しちゃうかもしれないんで」と、理由を明かし、場内の笑いを誘っていた。
最後に、清川からは、「映画自体がアート。ヴィオレッタ中毒にかかりそうなぐらい、女性独特の心情の変化が楽しめる。女の人って、親子ってなんだろうと考えるきっかけになってもらえれば」とアピールし、栗原から「衝撃が頭の中に残って、何度も観たくなって、いろんな視点からいろんな分析が可能な作品。1回限りではなくて、何度も観てほしいです」と、PRしていた。
映画『ヴィオレッタ』はシアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー中！
