石橋凌 インストアライブに渋谷熱狂！「ステージに戻ってきました」

　歌手で俳優の石橋凌(55)が19日、都内・タワーレコード渋谷店でインストアライブを開催。ロックバンド『ARB』時代と変わらぬ歌声とパフォーマンスで、160人のオーディエンスを魅了した。

　現在公開中の映画『逆転裁判』やドラマ『運命の人』(TBS系)に出演するなど、近年は俳優としてのイメージが強い石橋だが、かつては『ARB』でボーカルを務め、活躍。同バンドが06年に解散以来、あまりステージに立つことはなかったが、昨年12月に初のソロアルバム『表現者』をリリース! 久しぶりの音楽活動は、『ARB』のファンや俳優としての石橋しか知らない世代にも刺激を与え、同アルバムを購入した160人がタワーレコード渋谷店に招待された。

　まず場内に石橋のソロデビュー曲「カクテル・トゥナイト」が流れ、開演を待ちわびる観客のゾクゾク感が、こちらにも伝わる。定刻の午後6時、バンドメンバーとともにクリーム色のテンガロンハット、チョッキを着たカウボーイスタイルの石橋が登場すると、場内は拍手喝采！ オープニングナンバーは『表現者』にも収録されている「最果て」で、『ARB』を振り返るのではなく、現在進行形の石橋凌を見せたいという姿勢が現れる。

　そして、「ただいま！ 久しぶりにステージに戻ってきました。うたうたいの石橋凌です」と挨拶。観客から「おかえり?！」とレスポンスが発生すると、「ああ?いまその『おかえり』という言葉が一番嬉しい！ 『おかえり』を全身に浴びたい！ 『おかえり』で頭を洗いたい！」と、ユニークにステージ復帰を喜ぶ。

　バンドメンバーはギター…『THE GROOVERS』の藤井一彦、ベース…『HEATWAVE』の渡辺圭一、ドラム…元『ルースターズ』で現在『HEATWAVE』や『ROCK’N’ROLL GYPSIES』などで活動中の池畑潤二、キーボード…『GROUND NUTS』の伊東ミキオ、サックス…『RCサクセション』をサポートした梅津和時といったロックファンにはたまらないメンバーで構成。『表現者』のレコーディングメンバーでもあり、石橋からメンバー紹介された際、ひとりひとりに観客から温かい拍手が送られる。

　続いて、『ARB』時代のヒット曲「乾いた花」。『表現者』でもリニューアルバージョンが収録されており、ジャズのテイストと石橋が年季の入ったファンを指差し、「ああ、乾いた花?」と歌う微笑ましい姿がマッチする。

　「形見のフォト」では、「みなさん『表現者』を聴いていたら、歌えるはずです！」と観客をあおり、サビの大合唱で会場が一つに!! タンバリンを叩く石橋の顔がどんどん紅潮していき、声量も凄みを増していく。

　『ARB』時代からライブでの定番ナンバー「Daddy’s shoes」では、サビの「Stepping Slipping it’s my Daddy’s shoes」で、観客もノリノリ。

　そして、「時代に喝を入れるために歌ってきました。当時、日本の自殺者は年間数千人ぐらいでしたが、いまは3万人強と言われています。日本は先進国の一つに挙げられていますが、こんな国が幸せで豊かな国だとは思えません」とメッセージを込めて、1979年の『ARB』のデビューアルバムに収録されている「喝！」へ。「今日もどっかの阿呆がビルから飛び降りちまったぜ」という過激な歌詞から始まり、サビでは「ここで一発 喝!」と石橋も観客も拳を突き上げる。

　アンコールでは、ナット・キング・コールの「Route 66」をカバーし、『ARB』時代の人気ナンバー「R&R AIR MAIL」では、石橋と藤井がともにジャンピング！ 約1時間であっという間にライブは終了してしまったが、石橋は「ブラウン管やスクリーンよりも、こうやってみなさんと楽しい時間を共有できるのが幸せだと実感しています。今年は1本でも多く、ステージで歌っていきたいと思います」と、ファンにとっては嬉しい精力的なライブ活動を約束した。

　石橋は89年、松田優作さんの死に衝撃を受け、翌年『ARB』を解散しているが(※その後、98年に再結成)、かつて松田さんからは「自分を紹介するときは歌手とか俳優じゃなくて、表現者でいいんじゃないか」と言われたことがあるという。観客を圧倒する声量もさることながら、表現力豊かなライブパフォーマンスは、『ARB』の石橋凌が帰ってきたというより、まぎれもなく現在進行形の石橋凌だった。